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第2部 4章
57 病院巡り①
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馬車に乗ったアリシアは、背もたれに身を預けると大きく息を吐いた。
既に数か所の町と村をまわった後である。
王領だからなのか大きな街に近いからなのか、思っていた程悲惨な状況の場所はなかった。
それでも高齢の医師が夫婦で診療所を開いているような場所も複数あり、アリシアの取り組みを知ると涙を流さんばかりに喜んでくれた。
アリシアとしてはむやみに期待させることは言えない。
この取り組みは始まったばかりで、国中の町や村へ医師を派遣できるわけでもない。
医師を志す者の理由もそれぞれで、困っている人を助けたいという者もいれば、実入りの良い職に就きたいという者もいる。故郷の村で開院したいという者は故郷へ帰るし、実入りの良い職に就きたいという者は王都から離れないだろう。
それでも彼らは歓迎してくれた。
例え新しい医師の派遣が数年先になろうとも、必ず派遣されてくるのだと思えばそれまで頑張れるというのだ。
老境に差し掛かった医師が妻と手を取り合って喜ぶのを見たアリシアは、この取り組みを必ず成功させようと心に決めた。
また、彼らは医師がおらずにここまで歩いて治療を受けに来きている近隣の村のことも教えてくれた。
アリシアはそれらの情報を元にして、卒業者の中から行き先が決まっていない者たちを振り分けることになる。
個人的に嬉しかったこともあった。
それはアリシアが考えていたより領民に嫌われていないということだ。
そもそも大きな街から外れた町や村の民たちは、王家の慣習など知らなかった。
王太子妃が田舎の町や村へ訪れたことに驚いていたけれど、皆暖かく迎え入れてくれた。
帰る時には、その町や村で尊敬を集める医師が心からの敬意と感謝を捧げる姿を見て、何が話し合われたのか知らない民たちも、「先生がすることに間違いはない。先生が喜んでいるなら良いことだ」と心からの敬意と感謝を示してくれた。
今も歓声を上げながら手を振り、アリシアを見送る民たちの姿がようやく見えなくなったところだ。
だけどこれからはまた気を引き締めなければならない。
これから向かうのは、領地の名称ともなっている街だ。
メトワで一番の人口と繁栄を誇るこの街には、複数の診療所とひとつの王立病院がある。
そして昨日の晩餐でアリシアの元へ訪れた子息の中に、この王立病院で働く医師がいたのだ。
彼はアリシアが建てた学校も、行っている施策のことも知っていた。
知ったうえでアリシアのところへ話をしに来たのだ。
彼はアリシアの取り組みを称賛した上で、この施策の問題点を指摘してきた。
そしてその問題点を解消する為にある提案をしてきたのだ。
彼の話す問題点はアリシアも考えていることだった。
そしてその解消方法もほとんど同じだった。
ただそれはアリシアが一存で決められることではない。議会の承認を得て、国王の許可を得なければならないことだ。
王太子妃になって2年と半年。
1つ目の取り組みがまだ何の結果も出していない中で、簡単に実現できることではなかった。
既に数か所の町と村をまわった後である。
王領だからなのか大きな街に近いからなのか、思っていた程悲惨な状況の場所はなかった。
それでも高齢の医師が夫婦で診療所を開いているような場所も複数あり、アリシアの取り組みを知ると涙を流さんばかりに喜んでくれた。
アリシアとしてはむやみに期待させることは言えない。
この取り組みは始まったばかりで、国中の町や村へ医師を派遣できるわけでもない。
医師を志す者の理由もそれぞれで、困っている人を助けたいという者もいれば、実入りの良い職に就きたいという者もいる。故郷の村で開院したいという者は故郷へ帰るし、実入りの良い職に就きたいという者は王都から離れないだろう。
それでも彼らは歓迎してくれた。
例え新しい医師の派遣が数年先になろうとも、必ず派遣されてくるのだと思えばそれまで頑張れるというのだ。
老境に差し掛かった医師が妻と手を取り合って喜ぶのを見たアリシアは、この取り組みを必ず成功させようと心に決めた。
また、彼らは医師がおらずにここまで歩いて治療を受けに来きている近隣の村のことも教えてくれた。
アリシアはそれらの情報を元にして、卒業者の中から行き先が決まっていない者たちを振り分けることになる。
個人的に嬉しかったこともあった。
それはアリシアが考えていたより領民に嫌われていないということだ。
そもそも大きな街から外れた町や村の民たちは、王家の慣習など知らなかった。
王太子妃が田舎の町や村へ訪れたことに驚いていたけれど、皆暖かく迎え入れてくれた。
帰る時には、その町や村で尊敬を集める医師が心からの敬意と感謝を捧げる姿を見て、何が話し合われたのか知らない民たちも、「先生がすることに間違いはない。先生が喜んでいるなら良いことだ」と心からの敬意と感謝を示してくれた。
今も歓声を上げながら手を振り、アリシアを見送る民たちの姿がようやく見えなくなったところだ。
だけどこれからはまた気を引き締めなければならない。
これから向かうのは、領地の名称ともなっている街だ。
メトワで一番の人口と繁栄を誇るこの街には、複数の診療所とひとつの王立病院がある。
そして昨日の晩餐でアリシアの元へ訪れた子息の中に、この王立病院で働く医師がいたのだ。
彼はアリシアが建てた学校も、行っている施策のことも知っていた。
知ったうえでアリシアのところへ話をしに来たのだ。
彼はアリシアの取り組みを称賛した上で、この施策の問題点を指摘してきた。
そしてその問題点を解消する為にある提案をしてきたのだ。
彼の話す問題点はアリシアも考えていることだった。
そしてその解消方法もほとんど同じだった。
ただそれはアリシアが一存で決められることではない。議会の承認を得て、国王の許可を得なければならないことだ。
王太子妃になって2年と半年。
1つ目の取り組みがまだ何の結果も出していない中で、簡単に実現できることではなかった。
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