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第2部 4章
72 休暇の過ごし方
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その次の日はオレリアが訪ねて来たし、その次の日はロバートが訪ねて来た。
どちらの時も変わらないのは、レオナルドが一緒だったことである。
「僕の妻だ」
「僕の妹です」
毎日繰り広げられる無益な争いに、オレリアもロバートも呆れた顔をしていた。
だけどアリシアは、自分を案じるレオナルドの気持ちが感じられて嬉しい。
王都を離れていたアリシアが戻ると、今度はレオナルドが王都を離れることになる。
そうでなくともレオナルドは、毎年傍にいることができない年末年始休暇を案じていた。
『王太子妃として相応しく、誰にでも公平に』を心がけるアリシアには友人と呼べる相手がいない。いや、友人がいたとしても、アリシアの友人となる程の身分の者なら年末年始休暇は領地に戻っているだろう。
去年の今頃は身近にいる侍女たちとも距離を取っていた。
夫と大した交流もなく、訪ねて来る友人もいないアリシアが、休暇をどのように過ごしているのかレオナルドは心から案じていたのだ。
最もアリシアとしては、レオナルドが思う程孤独な休暇を過ごしたつもりはない。
レオナルドが休暇に入る前に大量の本を届けてくれていたし、普段はあまりできない刺繍や詩作をすることもできた。
年明けに開かれるサロンで、アリシアの詩はいつも高い評価を受けている。
毎日気を張り詰めて忙しく過ごしているアリシアは、誰にも会わずに好きなことだけができる、この2週間ほどの休暇を満喫していた。
問題があるとすれば、何度そう伝えても、レオナルドが信じてくれないことだけだ。
だけどアリシアは考える。
今年はそんな過ごし方が変わるかもしれない。
既にレオナルドから届けられた本が山になっているけれど、レイヴンはどうするのだろうか。
アリシアはこれまでの年末年始休暇をレイヴンがどう過ごしていたのか知らなかった。
嬉しかったことといえば、ロバートがこの年末をモルガン伯爵家の領地で過ごすという。
「この年末をどうしようか考えていたんだ。父上たちは領地へ戻るのに、僕だけ王都の邸に残るわけにもいかないし。キャンベル侯爵家のマナーハウスへ行くこともできるけど、僕は侯爵家の一族じゃない。一族じゃない僕の為に家人が休めないのは気の毒だ。国内にいくつか家はあるから、休暇の間だけそこへ行っていることも考えたんだけど、……兄上が、領地へ一緒に帰らないかと誘ってくれたんだ」
ロバートは独立して以来、一度も伯爵家の領地を訪れていない。
今でもルーファスとロバートを比べて、ロバートが跡継ぎではないことを残念がる者がいるからだ。
そんな声は今年も聞こえるだろう。その度にルーファスは嫌な思いをする。
だけどもう気にしないと、ルーファスは決めたのだ。
「良かったわ。本当に……!」
アリシアがそう言うと、ロバートは照れたように笑った。
それからジェーンからの文も届いた。
ジェーンが国を離れてからまだ数か月しか経っていないが、既に何度か文のやり取りをしている。文の中継をしているのはレオナルドだ。
ジェーンとレイヴンの噂を人々はまだ覚えている。
そんな中でジェーンからの文が頻繁に王太子宮へ届くのは要らぬ憶測を生んでしまう。
その点ルトビア公爵家ならアダムがジェーンの後見をしているので、近況報告の文が届いてもおかしくないのだ。
だからジェーンは、アダムへ向けた文の中にアリシアへ宛てた文を同封してくる。それをレオナルドが王太子宮へ届けてくれていた。
アリシアはメトワへ行ったことも、メトワであったことも、すべて書いて送っていた。
こんなに早く返事か返ってきたのは、メトワの城であったいざこざを心配したからだろう。読んだその場で返事を書いたに違いない。
ジェーンの文に目を通したアリシアは、暖かい気持ちになって微笑んだ。
どちらの時も変わらないのは、レオナルドが一緒だったことである。
「僕の妻だ」
「僕の妹です」
毎日繰り広げられる無益な争いに、オレリアもロバートも呆れた顔をしていた。
だけどアリシアは、自分を案じるレオナルドの気持ちが感じられて嬉しい。
王都を離れていたアリシアが戻ると、今度はレオナルドが王都を離れることになる。
そうでなくともレオナルドは、毎年傍にいることができない年末年始休暇を案じていた。
『王太子妃として相応しく、誰にでも公平に』を心がけるアリシアには友人と呼べる相手がいない。いや、友人がいたとしても、アリシアの友人となる程の身分の者なら年末年始休暇は領地に戻っているだろう。
去年の今頃は身近にいる侍女たちとも距離を取っていた。
夫と大した交流もなく、訪ねて来る友人もいないアリシアが、休暇をどのように過ごしているのかレオナルドは心から案じていたのだ。
最もアリシアとしては、レオナルドが思う程孤独な休暇を過ごしたつもりはない。
レオナルドが休暇に入る前に大量の本を届けてくれていたし、普段はあまりできない刺繍や詩作をすることもできた。
年明けに開かれるサロンで、アリシアの詩はいつも高い評価を受けている。
毎日気を張り詰めて忙しく過ごしているアリシアは、誰にも会わずに好きなことだけができる、この2週間ほどの休暇を満喫していた。
問題があるとすれば、何度そう伝えても、レオナルドが信じてくれないことだけだ。
だけどアリシアは考える。
今年はそんな過ごし方が変わるかもしれない。
既にレオナルドから届けられた本が山になっているけれど、レイヴンはどうするのだろうか。
アリシアはこれまでの年末年始休暇をレイヴンがどう過ごしていたのか知らなかった。
嬉しかったことといえば、ロバートがこの年末をモルガン伯爵家の領地で過ごすという。
「この年末をどうしようか考えていたんだ。父上たちは領地へ戻るのに、僕だけ王都の邸に残るわけにもいかないし。キャンベル侯爵家のマナーハウスへ行くこともできるけど、僕は侯爵家の一族じゃない。一族じゃない僕の為に家人が休めないのは気の毒だ。国内にいくつか家はあるから、休暇の間だけそこへ行っていることも考えたんだけど、……兄上が、領地へ一緒に帰らないかと誘ってくれたんだ」
ロバートは独立して以来、一度も伯爵家の領地を訪れていない。
今でもルーファスとロバートを比べて、ロバートが跡継ぎではないことを残念がる者がいるからだ。
そんな声は今年も聞こえるだろう。その度にルーファスは嫌な思いをする。
だけどもう気にしないと、ルーファスは決めたのだ。
「良かったわ。本当に……!」
アリシアがそう言うと、ロバートは照れたように笑った。
それからジェーンからの文も届いた。
ジェーンが国を離れてからまだ数か月しか経っていないが、既に何度か文のやり取りをしている。文の中継をしているのはレオナルドだ。
ジェーンとレイヴンの噂を人々はまだ覚えている。
そんな中でジェーンからの文が頻繁に王太子宮へ届くのは要らぬ憶測を生んでしまう。
その点ルトビア公爵家ならアダムがジェーンの後見をしているので、近況報告の文が届いてもおかしくないのだ。
だからジェーンは、アダムへ向けた文の中にアリシアへ宛てた文を同封してくる。それをレオナルドが王太子宮へ届けてくれていた。
アリシアはメトワへ行ったことも、メトワであったことも、すべて書いて送っていた。
こんなに早く返事か返ってきたのは、メトワの城であったいざこざを心配したからだろう。読んだその場で返事を書いたに違いない。
ジェーンの文に目を通したアリシアは、暖かい気持ちになって微笑んだ。
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