【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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第2部 5章

17 婚約挨拶①

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「殿下、妃殿下。本日は私共の為に時間を取って下さり、ありがとうございます」

 レオナルドが臣下の礼をする。
 隣に立つディアナも、レオナルドに合わせてカテーシーをした。
 ディアナのカテーシーは以前に比べて格段と美しくなっている。

「今日は良く来てくれた。楽にして良い」

 レイヴンの声に2人がさっと顔を上げる。
 その動きもぴったり合っていた。

 年明けからこれまでの間に色々なことがあった。
 ルトビア公爵邸ではレオナルドとディアナの婚約披露パーティーが行われ、2人は世間的にも婚約者として認められている。
 今日は王太子夫妻に婚約者を紹介する為に、レオナルドがディアナを連れて来たのだ。

「お2人とも素敵ですわ。それはモルガン伯爵領の織物ね」

 アリシアが指摘すると、2人が顔を見合わせて笑う。
 レオナルドがシャツに手を滑らせながら口を開いた。

「今日のことをアシュリー殿に話したのですよ。そうしたら届けて下さったのです」

 王太子宮に自由な出入りが許されているレオナルドである。
 普段であれば仕事の合間に気軽く顔を出していく。服装にも頓着していない。
 だけど今日は正式な訪問の為、レオナルドもディアナも正装していた。
 そのレオナルドのシャツとディアナのドレスがどちらもモルガン伯爵領の織物で作られているのだ。

「アシュリー殿も、レオナルド殿の婚約を喜んでおられるのね」

「そうでしょうね。心配を掛けていたのだろうと思います」
 
 レオナルドが苦笑する。
 実際のところ、20歳を過ぎても結婚どころか婚約者さえ作らないレオナルドを、公爵家の血族は皆案じていた。
 そのレオナルドがやっと婚約したのだ。
 年が離れているので結婚まではあと2年待たなければならないが、レオナルドが結婚する意志を見せたことで誰もが安堵していた。

「まあ落ち着いて話をしよう。2人共座ってくれ」

「ありがとうございます」

 レイヴンが座るよう促すと、2人は対面のソファへ座る。
 エレノアは紅茶の支度をするとさっと部屋の隅へ控えた。
 
 2人が婚約披露パーティーを終えてから既に数か月が経っている。これまでも夜会や舞踏会で2人と顔を合わせることはあった。
 それなのに正式な挨拶が遅くなったのは、ディアナの教育を優先していたせいだ。レオナルドはディアナが次期公爵夫人として最低限の振る舞いを身につけるまで待っていた。

 ディアナは元々伯爵令嬢としての教育を受けている。だけど公爵夫人としてはそれだけでは足りない。
 侯爵令嬢だったオレリアが嫁いでから苦労したほどである。ディアナも今、次期公爵夫人としての教育をオレリアから受けているのだ。

 ただカナリーによると、ディアナはジェーンに憧れているという。
 ジェーンは困難に打ち勝って美しい所作を身につけた。
 そのジェーンに憧れるディアナは、積極的に公爵邸で教育を受けている。
 その成果が先程の美しいカテーシーだ。
 アリシアは会うたびに美しくなるディアナの所作に目を細めていた。



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