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第2部 5章
22 ノティスの様子①
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「学園といえば、今年異母弟が入学したんだけど知ってるかな?」
「ノティス殿下ですね。勿論存じ上げております」
レイヴンが問い掛けるとディアナが頷いた。
王子の入学を知らないはずがない。今の国王は子どもが多いので毎年誰かが入学しているが、その度にお近づきになろうとする生徒たちで大騒ぎになっている。
だけどノティスは、他の王子や王女たちと少し事情が違っていた。
これまであまり社交界に縁がなかったディアナでも、幽閉された側妃とノティスのことは知っている。将来を思うならお近づきにならない方が良い王子だったのだ。
だけどそれも少しずつ変わってきていた。
確かに入学当時は遠巻きにされていたノティスだが、その中でも友人と呼べる相手ができたようだ。そしてその友人たちと交流する内に、少しずつ友人の輪が広がっていた。
そのきっかけとなったのは、やはり壮行会の舞踏会だろう。
あの時、レイヴンとアリシアがノティスへ声を掛けた。
ノティスを避ける者たちへ、互いの間に禍根はないと示したのだ。あれから王宮の舞踏会でもノティスのところへ挨拶に訪れる者たちが増えてきている。
「ノティス殿下とは学年が違うのであまりお姿を見かけることはありませんが、友人方と楽しそうにお過ごしだと聞いています。勉学にも随分力を入れておられるとか」
ディアナも図書室や学習室で何度かノティスを見かけたことがあった。
学習室とは少人数で使える自習室みたいなものだ。図書室では話ができない為、友人同士で勉強する時は学習室を使うことが多い。ノティスは図書室や学習室の常連と言われていた。
「うん。ノティスも学園に通い出して欲が出てきたようだ。来年はAクラスを目指すらしい」
ノティスも今年はBクラスである。
王子としての教育は受けているので学力は問題なかった。だけど学園は討論に力を入れているので、入学テストにも論文の発表と数名の教師との質疑応答があるのだ。
ノティスはそこで躓いた。
自分の考えを上手く伝えたり、相手の考えを取り入れるのが不得手なのだ。
過去に自己主張をし過ぎて失敗したのが心の傷になり、自分の考えを主張することができない。相手に強く主張されるとすべて取り入れて流されてしまう。
その結果、学力テストの成績と合わせてもBクラスという判定だった。
ただクラスについてはマルグリットもレイヴンも十分だと思っていた。
Aクラスに入れるのは特に優秀な者だけで、Bクラスは貴族として平均的、Cクラスでは高位貴族は恥ずかしいといったところである。
元から学園に通うのは人との関り方を学ぶ為で、成績は二の次だと思っていた。それなのにBクラスに入れたのだから充分だろう。
だけどノティスの気持ちは違ったらしい。
ノティスは入学してすぐに友人ができた。それが心の余裕になったのだろう。
王族としてBクラスなのは恥ずかしいと感じるようになった。
確かにレイヴンやカナリー、ジェイは3年間Aクラスで、2年生にいるユリアの娘、パトリシアもAクラスである。
王族でBクラスになったのはノティスだけだった。
「ノティス殿下ですね。勿論存じ上げております」
レイヴンが問い掛けるとディアナが頷いた。
王子の入学を知らないはずがない。今の国王は子どもが多いので毎年誰かが入学しているが、その度にお近づきになろうとする生徒たちで大騒ぎになっている。
だけどノティスは、他の王子や王女たちと少し事情が違っていた。
これまであまり社交界に縁がなかったディアナでも、幽閉された側妃とノティスのことは知っている。将来を思うならお近づきにならない方が良い王子だったのだ。
だけどそれも少しずつ変わってきていた。
確かに入学当時は遠巻きにされていたノティスだが、その中でも友人と呼べる相手ができたようだ。そしてその友人たちと交流する内に、少しずつ友人の輪が広がっていた。
そのきっかけとなったのは、やはり壮行会の舞踏会だろう。
あの時、レイヴンとアリシアがノティスへ声を掛けた。
ノティスを避ける者たちへ、互いの間に禍根はないと示したのだ。あれから王宮の舞踏会でもノティスのところへ挨拶に訪れる者たちが増えてきている。
「ノティス殿下とは学年が違うのであまりお姿を見かけることはありませんが、友人方と楽しそうにお過ごしだと聞いています。勉学にも随分力を入れておられるとか」
ディアナも図書室や学習室で何度かノティスを見かけたことがあった。
学習室とは少人数で使える自習室みたいなものだ。図書室では話ができない為、友人同士で勉強する時は学習室を使うことが多い。ノティスは図書室や学習室の常連と言われていた。
「うん。ノティスも学園に通い出して欲が出てきたようだ。来年はAクラスを目指すらしい」
ノティスも今年はBクラスである。
王子としての教育は受けているので学力は問題なかった。だけど学園は討論に力を入れているので、入学テストにも論文の発表と数名の教師との質疑応答があるのだ。
ノティスはそこで躓いた。
自分の考えを上手く伝えたり、相手の考えを取り入れるのが不得手なのだ。
過去に自己主張をし過ぎて失敗したのが心の傷になり、自分の考えを主張することができない。相手に強く主張されるとすべて取り入れて流されてしまう。
その結果、学力テストの成績と合わせてもBクラスという判定だった。
ただクラスについてはマルグリットもレイヴンも十分だと思っていた。
Aクラスに入れるのは特に優秀な者だけで、Bクラスは貴族として平均的、Cクラスでは高位貴族は恥ずかしいといったところである。
元から学園に通うのは人との関り方を学ぶ為で、成績は二の次だと思っていた。それなのにBクラスに入れたのだから充分だろう。
だけどノティスの気持ちは違ったらしい。
ノティスは入学してすぐに友人ができた。それが心の余裕になったのだろう。
王族としてBクラスなのは恥ずかしいと感じるようになった。
確かにレイヴンやカナリー、ジェイは3年間Aクラスで、2年生にいるユリアの娘、パトリシアもAクラスである。
王族でBクラスになったのはノティスだけだった。
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