【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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第2部 5章

31 少女の初恋①

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 ディアナを招くお茶会の日になった。
 このお茶会は、ディアナとアリシアたちの繋がりを見せる為のものなので中央庭園に席が設けられている。
 傍を通りかかった貴族たちは、華やかだが品のあるパラソルや見ただけで上質なものだとわかるテーブルクロスが掛けられたテーブルとその一角を守るように立つ凛々しい近衛兵の姿に、ここで何が行われるのかと興味深そうな目を向けていた。
 
 王宮の庭園とはいえ、お茶会の出席者を見れば近衛兵が配置されているのも当然のことだ。
 まずお茶会を主催しているのは王太子夫妻である。
 招かれているのも、レイヴンの弟妹であるカナリー、ジェイ、アイビス、ノティス、パトリシアと、王族が多く集まっている。その他の出席者も、公爵令息のレオナルドとその婚約者のディアナなのだ。近衛兵の間にも緊張感が漂っている。


 レイヴンとアリシアは揃って招待客を迎え入れる。
 2人にとっては馴染みのある面々だ。特に気構えることもなく挨拶を交わしていく。
 カナリーとアイビスは一緒に訪れた。続いて、レオナルドとディアナが姿を見せる。
 招待客の中では一番身分が劣る2人である。遅すぎず早すぎることもなく、丁度良いタイミングと言えるだろう。レイヴンとアリシアに挨拶をした後は、カナリーとアイビスへ挨拶に向かう。

 2人の挨拶が終わるタイミングでジェイとノティスが一緒に訪れた。この2人も王族らしく優雅に礼をする。
 アリシアが嬉しかったのはパトリシアが来てくれたことだ。招待状を出した時は断られるかもしれないと思っていた。
 だけどパトリシアは出席してくれた。王太子夫妻からの招待に阿ったところはあるだろうが、パトリシアも新年の宴ではノティスと一緒に話をしていたので受け入れる気持ちになってくれたのかもしれない。実母がユリアというのも大きいのだろう。

 席に着くと、レイヴンが主催者として挨拶をした。
 茶会への出席に謝意を述べ、自由な発言を許可する旨を告げた後に、レオナルドとディアナを主賓として紹介する。
 カナリーはディアナと交流があるが、ジェイやアイビス、ノティスはディアナと初対面なのだ。パトリシアも学園で同じ学年なので顔と名前は知っていても言葉を交わしたことはない。

 レオナルドが紹介の礼を述べ、軽く話をした後でディアナが自己紹介をして頭を下げた。
 それを受けて、パトリシアも挨拶と自己紹介をする。同じ学年の女性同士ということで、最初に名乗り出てくれたようだ。
 
 この場所を訪れた時、パトリシアはマルグリット所生の子どもたちの中で一歩引いた立場を取っていた。だけどレイヴンが自由な発言を許可したことでその一歩を詰めることにしたようだ。
 ディアナの存在はそんな意味でも役に立ったといえる。
 
 あら?どうしたのかしら。

 ジェイに続くノティスの自己紹介を聞きながらテーブルを見渡していたアリシアは違和感に気がついた。
 大好きなカナリーの友人に会えると、はしゃいでいると思っていたアイビスが暗い顔をしているのだ。




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