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第2部 5章
52 ジェーンの帰国②
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アリシアにとって特別な日であったとしても、舞踏会の課程は変わらない。ダンスの後は貴族たちの挨拶を受けることになる。
この時交わせる言葉は二言三言だ。それでもジェーンの番がまわってくるのをアリシアはジリジリしながら待っていた。
「久しぶりね、ジェーン。元気そうで安心したわ」
「お久しぶりです、妃殿下。お陰様でこうして無事帰国することができました」
顔を合わせた2人はそう言って微笑み合う。
アリシアが見せているのは王太子妃としての笑顔だ。ジェーンも侯爵令嬢としての表向きの笑顔である。
多くの貴族が集まるこの場所で気持ちを曝け出すことはできない。それでも視線を合わせただけで伝わる気持ちが確かにあった。
「ジェーン嬢の活躍は耳にしているよ。本当にご苦労だった」
「勿体ないお言葉、ありがとうございます」
ジェーンはレイヴンとも笑顔を交わす。
2人の姿を目にしても、とやかく言うような者はもういない。
アリシアはジェーンのパートナーへ視線を向けた。
ジェーンが学園に入学して以降、社交界へ出る時にエスコートしていたのはレオナルドである。
だけどレオナルドにはディアナという婚約者ができた。今日の舞踏会はディアナをエスコートして出席している。
ジェーンのパートナーはどうなるのか心配していたアリシアだが、今日はロバートがジェーンをエスコートしていた。
「ロバート殿とお会いするのも久しぶりね。1年ぶりかしら」
「そうですね。ご無沙汰をしてしまい、申し訳ありません」
ロバートとアリシアが直接顔を合わせたのは、昨年行われた壮行会の翌日、王太子宮へ招いた時が最後である。
その後年末辺りまではキャンベル侯爵領と王都のモルガン伯爵邸を行き来していたようだが、アリシアがロバートと会うことはなかった。
忙しいロバートが今回王都へ戻ったのは、ジェーンとの引継ぎの為だろう。
ジェーンは手続きが済み次第、まずは子爵になる。
その後ジェーンの望むタイミングで侯爵位を受け継ぐことができるが、ジェーンはすぐに爵位を継承すると思われた。その手続きにも数日必要なのでその間に侯爵邸で引継ぎを行うのだろう。
ロバートの当主代行ももうすぐおしまいである。
その後、アリシアたちと一言二言言葉を交わした2人は一礼して立ち去った。
「ロバート殿もなんだか以前より良い表情をするようになったね」
2人を見送るレイヴンが小声で囁いた。
アリシアにはその理由がわかる気がする。
まだまだ続く挨拶の列だが、その中にはモルガン伯爵夫妻の姿があった。その後ろにいるのはルーファスとサラだ。
ロバートが王都を避けていたのは、ルーファスとの間に余計な摩擦を起こさない為だった。ルーファスも心無い噂を避ける為に王都を避けていた。
だけど今、2人の間に蟠りはない。互いに王都にいる時は同じ伯爵邸に滞在しているようだ。
兄や家族との関係を改善できたことがロバートの表情を明るくさせているのだろう。
アリシアはこちらも心から嬉しく感じていた。
この時交わせる言葉は二言三言だ。それでもジェーンの番がまわってくるのをアリシアはジリジリしながら待っていた。
「久しぶりね、ジェーン。元気そうで安心したわ」
「お久しぶりです、妃殿下。お陰様でこうして無事帰国することができました」
顔を合わせた2人はそう言って微笑み合う。
アリシアが見せているのは王太子妃としての笑顔だ。ジェーンも侯爵令嬢としての表向きの笑顔である。
多くの貴族が集まるこの場所で気持ちを曝け出すことはできない。それでも視線を合わせただけで伝わる気持ちが確かにあった。
「ジェーン嬢の活躍は耳にしているよ。本当にご苦労だった」
「勿体ないお言葉、ありがとうございます」
ジェーンはレイヴンとも笑顔を交わす。
2人の姿を目にしても、とやかく言うような者はもういない。
アリシアはジェーンのパートナーへ視線を向けた。
ジェーンが学園に入学して以降、社交界へ出る時にエスコートしていたのはレオナルドである。
だけどレオナルドにはディアナという婚約者ができた。今日の舞踏会はディアナをエスコートして出席している。
ジェーンのパートナーはどうなるのか心配していたアリシアだが、今日はロバートがジェーンをエスコートしていた。
「ロバート殿とお会いするのも久しぶりね。1年ぶりかしら」
「そうですね。ご無沙汰をしてしまい、申し訳ありません」
ロバートとアリシアが直接顔を合わせたのは、昨年行われた壮行会の翌日、王太子宮へ招いた時が最後である。
その後年末辺りまではキャンベル侯爵領と王都のモルガン伯爵邸を行き来していたようだが、アリシアがロバートと会うことはなかった。
忙しいロバートが今回王都へ戻ったのは、ジェーンとの引継ぎの為だろう。
ジェーンは手続きが済み次第、まずは子爵になる。
その後ジェーンの望むタイミングで侯爵位を受け継ぐことができるが、ジェーンはすぐに爵位を継承すると思われた。その手続きにも数日必要なのでその間に侯爵邸で引継ぎを行うのだろう。
ロバートの当主代行ももうすぐおしまいである。
その後、アリシアたちと一言二言言葉を交わした2人は一礼して立ち去った。
「ロバート殿もなんだか以前より良い表情をするようになったね」
2人を見送るレイヴンが小声で囁いた。
アリシアにはその理由がわかる気がする。
まだまだ続く挨拶の列だが、その中にはモルガン伯爵夫妻の姿があった。その後ろにいるのはルーファスとサラだ。
ロバートが王都を避けていたのは、ルーファスとの間に余計な摩擦を起こさない為だった。ルーファスも心無い噂を避ける為に王都を避けていた。
だけど今、2人の間に蟠りはない。互いに王都にいる時は同じ伯爵邸に滞在しているようだ。
兄や家族との関係を改善できたことがロバートの表情を明るくさせているのだろう。
アリシアはこちらも心から嬉しく感じていた。
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