【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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第2部 5章

53 ジェーンの帰国③

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 挨拶に来る人の波が落ち着いてくるとレイヴンとアリシアもフロアに降りる。
 人波の奥へちらりと視線を向けるとノティスが楽しそうに笑っていた。

 最初にノティスの元へ挨拶に訪れたのは、サディアスとカナリーだった。侯爵子息夫人となり王籍を離れたカナリーは、臣下として挨拶に訪れる立場になっているのだ。
 その後、ルトビア公爵夫妻やレオナルドとディアナも挨拶するのを見て、様子を見ていた者たちも続々と挨拶の列に加わった。ロバートとジェーンも既に挨拶を終えている。
 ノティスは今、学園の友人たちと談笑しているようだ。少し見ただけでも楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
 1人所在無げに佇んでいた頃には考えられない姿だった。

 ただアリシアには少し気に掛かることがあった。
 ノティスは今日もパートナーは持たずに1人で出席していたはずだ。
 それなのに令嬢が1人、パートナーのように寄り添っている。

 あの令嬢は、確か子爵家の……。

 アリシアは以前ノティスに友人を紹介された時のことを思い出す。
 あの時も確かにあの令嬢は一緒だった。

 あの時一緒に勉強していたのは、ノティスと同じクラスの友人たちだ。
 子爵令嬢がBクラスに入れたのなら優秀な生徒なのだろう。更にAクラスを狙うというのだから猶更である。だけど友人との距離の取り方には問題があるようだ。
 アリシアはその令嬢の顔と名前を頭の片隅に入れておくことにした。


 レイヴンと一旦別れ、女性同士の社交に移る。
 しばらく令嬢や夫人方との会話を楽しんだ後、ジェーンのところへ向かった。

 ジェーンも以前と違って多くの人に囲まれている。
 その多くはジェーンと同様、家の後継者として届け出られた女性たちだ。他にも学園に通っているような若い令嬢の姿が多く見られた。
 ディアナが言っていたように、壮行会でジェーンを見て憧れる令嬢が多くいるのだろう。 
 それでもジェーンは近づいてくるアリシアに気がつき笑顔を見せる。
 

「ジェーン、少し良いかしら?」

「勿論ですわ、妃殿下」

 ジェーンを囲んでいた令嬢たちが遠慮して離れていく。
 そこでアリシアは、イリーナとジョアニーをジェーンへ紹介した。

 紹介などしなくても2人は学生時代の同級生だ。ジェーンも2人を良く知っている。
 だけど学生時代はとても友好的な関係とはいえなかった。だからジェーンに謝罪をする為に舞踏会で紹介して欲しいと予め頼まれていたのだ。

 アリシアも両者が友好的な関係を築くには、アリシアが仲立ちをするのが近道だと思う。
 それに上位貴族に嫁いだ2人と信頼関係を築くのはジェーンの為にもなるだろう。

「私のお友達を紹介させてちょうだい。とは言っても、あなたも勿論知っているとは思うけれど、イリーナ様とジョアニー様よ。最近親しくしているの」

「勿論存じ上げていますわ。イリーナ様、ジョアニー様、お久しぶりでございます」

「久しぶりにお目に掛れて光栄ですわ、ジェーン様」

「本当に美しくなられて……。壇上のジェーン様を見て、私、感動してしまいました」

 アリシアと文のやり取りをしているジェーンは、アリシアが2人と親しくなったと知っていた。
 本当は2人ではなく3人のはずだ。だけどここにいるのは2人だけで、カロリーナの姿はない。
 ただそれを指摘するようなジェーンではなかった。何も知らないような顔で2人と挨拶を交わしている。

 カロリーナは今日の舞踏会を欠席していた。
 本当はカロリーナにも同様のことを頼まれていたのだ。だけど出掛ける直前で体調を崩したらしい。
 先程挨拶を受けていた時に、カロリーナの夫から謝罪を受けている。

 王宮の舞踏会を直前で欠席するのは相当なことだ。無礼だと非難を受けたり、王家の怒りを買うこともある。
 それなのに欠席するというのは、余程具合が悪いのだろう。
 舞踏会が終わったら見舞いを贈ろうとアリシアは決めていた。




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