【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

文字の大きさ
540 / 697
第2部 5章

54 進み出す時間①

しおりを挟む
 舞踏会の日から数日経った。
 あの日の翌日、ジェーンは書類の手続きを終えて子爵になった。そして今日、遂に侯爵となったのだ。

「おめでとう、ジェーン!」

「ありがとうございます。アリシア様」

 アリシアは心から祝福の言葉を贈る。
 ジェーンも心からの笑顔を見せていた。

 ここはリトマインの調度品が並んだアリシアの部屋だ。
 今日この部屋に集まっているのは、アリシアとレイヴン、ジェーン、レオナルド、それにロバートである。
 カナリーやノティスは来ていない。
 ジェーンが王都を離れるまであまり日がなく、お茶会に出られるのも1度だけだろう。それならば最も強い絆で結ばれた者たちだけで集まった方が良いと遠慮してくれたのだ。彼女たちからはまた別に祝いがあるはずである。
 勿論アリシアたちもそれぞれ祝いの品は用意しているが、それだけではなく直接祝いの言葉を伝えられた方が良い。レオナルドやロバートも口々に祝いの言葉を口にしている。
 
 

「それにしても、やはり1年国を離れると様々な変化があるものですね。少し驚きました」

 しばらくそうして談笑した後、ジェーンがしみじみそう言った。
 一番の変化はやはりカナリーの結婚だろう。王籍を離れたカナリーはもう王宮にいない。
 その他にもレオナルドとディアナは婚約したし、ノティスは学園に通い出して友人ができた。昨日のノティスの様子はジェーンも見ていたはずだ。
 そしてアリシアにも新しい友人ができた。

「実は舞踏会の後、カロリーナ様より文をいただいたのです。学生時代の態度の謝罪と、舞踏会を欠席して直接謝れないことへの謝罪でした。イリーナ様やジョアニー様もそうですが、皆さま良い方たちなのですね」

 カロリーナからの謝罪の文はアリシアにも届いていた。
 ジェーンへの仲介を依頼していながら直前で欠席したのだ。ジェーンへ宛てた文より深刻な謝罪の文である。
 アリシアはその文への返信として、舞踏会を欠席したことは全く怒っていないので気にしなくて良い旨を記した文を書き、見舞いの品と一緒に贈った。
 カロリーナからは見舞いの品に対する礼状が届いたけれど、あれから一度も会っていない。
 元々カロリーナが王宮へ来なければ会う機会がないのだから仕方のないことだ。

「王都を離れる前にカロリーナ様にも一度お会いしてみたかったのですが、日程が合わず無理なようです。残念ですわ」

 そう、カロリーナたち3人を招いたお茶会の話も出たのだが、結局日程を合わせることができなかった。
 それはディアナも同じで、レオナルドとディアナを招いたお茶会も断念している。
 
「ディアナ様とも舞踏会で1年ぶりにお会いしましたが、とても美しくなられていて驚きました。公爵家の教育を良く吸収しておられるのですね」

「ジェーンから褒められたことを知れば、彼女も喜ぶだろうね。ディアナはジェーンに憧れているんだよ」

「まあ、私に?」

「うん。壮行会でのスピーチをするジェーンを見て、『私もこうなりたい』と思ったそうだ。おかげで勉強も礼儀作法も熱心に取り組んでくれている。ジェーンがいなければこんなに順調に進んでいなかったかもしれない」

「有難いことですが、それでは褒め過ぎですわ」

 ジェーンが扇で口元を隠して笑う。

 ディアナが壮行会のスピーチを聞きに行ったのは、カナリーに誘われたからだった、
 そんなところでもカナリーは一役買ってくれているのだ。




しおりを挟む
感想 441

あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

処理中です...