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第2部 5章
69 協力関係①
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「私は、キャンベル侯爵家当主として改めて協力をお約束致します」
ジェーンが片手を胸に当て、背筋を伸ばして宣言をした。
以前にもジェーンは賛成を表明していたが、その時はまだ当主ではなかった。今回侯爵位を正式に継承したことに伴い、改めて己の立場を表明したのだ。
「……モルガン伯爵家の意志はわかりません。ですが、ロバート・モルガン子爵、個人として協力をお約束致します」
続けてロバートが協力を表明した。
これにはレイヴンもレオナルドも驚く。以前話した時は「考えておく」と言っただけで、協力するともしないとも言わなかったのだ。
「以前お話したでしょう。わたしと関わりの深いアルスタもシェルツも女王を認めています。二国の歴史を調べたところ……、まあ、愚王が出る確率は王でも女王でも変わりませんね」
それは王子と王女も同じだった。
同じ親から生まれても、本人の資質や覚悟、そして受ける教育次第でとんでもなく愚鈍な王子に育ったかと思えば、驚くほど利発な王女に育つこともある。つまりやる気があって真剣に学べば王女でも名君になれるし、やる気なく怠惰に過ごせば王子でも暗君になってしまうのだ。
それならば王女にチャンスがあっても良い。
「それにわたしはいささか腹を立てているのですよ。貴族たちのあの態度。あの者たちの望みが殿下に側妃を娶らせることならば、側妃を娶りたくないという殿下の希望に掛けてみるのも良いかと思いましてね」
先ほども言っていた通り、ロバートはアリシアを妹だと思っている。
その妹を苦しませ、悩ませるものなら徹底的に邪魔をしてやる。
幸いロバートは爵位を賜った。
モルガン伯爵家から分家されたわけではなく、ロバートが国王から賜った爵位だ。
「ありがとう。心強いよ」
レイヴンがにこりと笑った。
「それでは報告をさせていただきますね」
レオナルドが状況を話していく。
ジェーンやロバートが協力してくれるといっても2人の出番はまだ先だ。
女領主をどう思うのか、王女に継承権がないのは不公平ではないのか、レオナルドたちとは関係のない貴族たちへ、この議論が浸透していかなければならない。
「女領主についての議論はほぼすべての貴族たちへ広まったと考えて良いでしょう。女領主の第一号として、この度ジェーンが爵位を継承しました。これからはより一層厳しい目がジェーンへ向けられることでしょう」
「覚悟はしております。『やはり女領主など認めるべきではなかった』と言われないように励みますわ」
この計画とは関係なしにジェーンの動向が注目されることはわかっていた。なんといっても女領主第一号なのだ。ジェーンの素行如何によっては女性に継承権を認めた改憲自体が間違いだったと言われかねない。
国中の貴族たちから一挙手一投足を見張られるのはとてつもない重圧だろう。
それでもデミオンの陰に押しやられ、領地が壊されていくのを見ているより良い。
「そうですね。今でも男たちはジェーンに領地を治める能力があるのか疑問視しています。まずはその者たちを納得させなければなりません」
計画についてはまだ第一歩目だ。
女領主については賛成でも反対でも良い。まずは議論を広めることが重要なのである。
ただこれについてはレオナルドたちが手を加えていないところでも急速に広まった。
実際に後継者の変更を申し出るところが相次ぎ、既に他人事ではなくなっているのだ。
ジェーンが片手を胸に当て、背筋を伸ばして宣言をした。
以前にもジェーンは賛成を表明していたが、その時はまだ当主ではなかった。今回侯爵位を正式に継承したことに伴い、改めて己の立場を表明したのだ。
「……モルガン伯爵家の意志はわかりません。ですが、ロバート・モルガン子爵、個人として協力をお約束致します」
続けてロバートが協力を表明した。
これにはレイヴンもレオナルドも驚く。以前話した時は「考えておく」と言っただけで、協力するともしないとも言わなかったのだ。
「以前お話したでしょう。わたしと関わりの深いアルスタもシェルツも女王を認めています。二国の歴史を調べたところ……、まあ、愚王が出る確率は王でも女王でも変わりませんね」
それは王子と王女も同じだった。
同じ親から生まれても、本人の資質や覚悟、そして受ける教育次第でとんでもなく愚鈍な王子に育ったかと思えば、驚くほど利発な王女に育つこともある。つまりやる気があって真剣に学べば王女でも名君になれるし、やる気なく怠惰に過ごせば王子でも暗君になってしまうのだ。
それならば王女にチャンスがあっても良い。
「それにわたしはいささか腹を立てているのですよ。貴族たちのあの態度。あの者たちの望みが殿下に側妃を娶らせることならば、側妃を娶りたくないという殿下の希望に掛けてみるのも良いかと思いましてね」
先ほども言っていた通り、ロバートはアリシアを妹だと思っている。
その妹を苦しませ、悩ませるものなら徹底的に邪魔をしてやる。
幸いロバートは爵位を賜った。
モルガン伯爵家から分家されたわけではなく、ロバートが国王から賜った爵位だ。
「ありがとう。心強いよ」
レイヴンがにこりと笑った。
「それでは報告をさせていただきますね」
レオナルドが状況を話していく。
ジェーンやロバートが協力してくれるといっても2人の出番はまだ先だ。
女領主をどう思うのか、王女に継承権がないのは不公平ではないのか、レオナルドたちとは関係のない貴族たちへ、この議論が浸透していかなければならない。
「女領主についての議論はほぼすべての貴族たちへ広まったと考えて良いでしょう。女領主の第一号として、この度ジェーンが爵位を継承しました。これからはより一層厳しい目がジェーンへ向けられることでしょう」
「覚悟はしております。『やはり女領主など認めるべきではなかった』と言われないように励みますわ」
この計画とは関係なしにジェーンの動向が注目されることはわかっていた。なんといっても女領主第一号なのだ。ジェーンの素行如何によっては女性に継承権を認めた改憲自体が間違いだったと言われかねない。
国中の貴族たちから一挙手一投足を見張られるのはとてつもない重圧だろう。
それでもデミオンの陰に押しやられ、領地が壊されていくのを見ているより良い。
「そうですね。今でも男たちはジェーンに領地を治める能力があるのか疑問視しています。まずはその者たちを納得させなければなりません」
計画についてはまだ第一歩目だ。
女領主については賛成でも反対でも良い。まずは議論を広めることが重要なのである。
ただこれについてはレオナルドたちが手を加えていないところでも急速に広まった。
実際に後継者の変更を申し出るところが相次ぎ、既に他人事ではなくなっているのだ。
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