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第2部 6章
71 過保護
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それから出産までは早かった。
王領から戻った翌日、2人は揃って国王と王妃の元を訪れた。
多大な迷惑と心配を掛けたと謝るアリシアに、2人は笑って首を振る。マルグリットは涙ぐみながらアリシアの回復と懐妊を喜んでくれた。
暫く向かい合って歓談した後、マルグリットがアリシアの大きくなった腹に触れる。
赤子もそれがわかっているようで、存在を主張するように何度も腹を蹴っていた。
「私もおばあちゃまになるのねぇ……」
感慨深く呟かれたその言葉に、誰もが頬を緩める。
まだまだ若々しく美しいマルグリットが祖母になるというのはなんだか不思議な心地がするが、それはオレリアも同じである。反対に国王とアダムはそれぞれ国の重鎮として貫禄があり、祖父と言われてもしっくりときた。
本当は国王も腹に触れたがったのだ。だけどレイヴンがそれを許さない。
アリシアを抱きかかえ、「絶対に駄目です!!父上とはいえ、他の男がアリシアに触れるなんて許せません!!」と威嚇する。
レイヴンの腕の中でオロオロするアリシアだったが、マルグリットの「仕方ありませんから諦めてください」の一言で国王は渋々諦めてくれた。
その後も大変だった。
王都に戻ってきた以上のんびりしているわけにはいかない。
これまでマルグリットに代わってもらっていた分を取り戻す為にもアリシアは公務に復帰する気満々だったが、過保護になったレイヴンがそれを許してくれない。「何かあったらどうするの?!」とアリシアにへばり付き、アリシアは寝室に閉じ込められることになってしまった。
それだけではなく、アリシアの傍から離れたがらないレイヴンは執務室へ行くのも拒否をする。
困ってしまったアリシアだったが、公務を放棄するのはまずいというのはレイヴンの頭の中にもあったようだ。2日目には「ここで仕事をする」と言って執務机を運び込み、すっかり寝室の中で働く態勢を整えてしまった。
「本当によろしいのですか……?」
アリシアは困惑するが、レイヴンは上機嫌である。
本来なら苦言を呈するはずのレオナルドも黙認していて何も言わない。
レオナルドとしては自身の机も運び込みたいくらいなのだ。だけど立場上そんなことをするわけにはいかない。
レイヴンがここに居れば仕事中も訪ねてくる理由になると、内心では歓迎しているくらいだった。
結局それからの約2ヶ月間、レイヴンが処理するべき書類はすべて王太子夫妻の寝室へ届けられた。
「これだけは」とマルグリットより返された王太子宮の管理についても、気がつけばレイヴンが処理をしてしまっていた。
とはいえ運動不足も毒となる。
王宮に戻った後、主治医となった侍医長に「出産には体力が必要ですから」と説得されたレイヴンは、渋々朝晩の散歩を許可してくれた。
最もそれはレイヴンが一緒の時だけで、レイヴンに手を取られて慎重に歩いていく。
後ろから侍医が付いてくるような厳戒態勢での散歩となった。
そうして暑くなり始めた頃……。
とうとうその時がやってきた。
王領から戻った翌日、2人は揃って国王と王妃の元を訪れた。
多大な迷惑と心配を掛けたと謝るアリシアに、2人は笑って首を振る。マルグリットは涙ぐみながらアリシアの回復と懐妊を喜んでくれた。
暫く向かい合って歓談した後、マルグリットがアリシアの大きくなった腹に触れる。
赤子もそれがわかっているようで、存在を主張するように何度も腹を蹴っていた。
「私もおばあちゃまになるのねぇ……」
感慨深く呟かれたその言葉に、誰もが頬を緩める。
まだまだ若々しく美しいマルグリットが祖母になるというのはなんだか不思議な心地がするが、それはオレリアも同じである。反対に国王とアダムはそれぞれ国の重鎮として貫禄があり、祖父と言われてもしっくりときた。
本当は国王も腹に触れたがったのだ。だけどレイヴンがそれを許さない。
アリシアを抱きかかえ、「絶対に駄目です!!父上とはいえ、他の男がアリシアに触れるなんて許せません!!」と威嚇する。
レイヴンの腕の中でオロオロするアリシアだったが、マルグリットの「仕方ありませんから諦めてください」の一言で国王は渋々諦めてくれた。
その後も大変だった。
王都に戻ってきた以上のんびりしているわけにはいかない。
これまでマルグリットに代わってもらっていた分を取り戻す為にもアリシアは公務に復帰する気満々だったが、過保護になったレイヴンがそれを許してくれない。「何かあったらどうするの?!」とアリシアにへばり付き、アリシアは寝室に閉じ込められることになってしまった。
それだけではなく、アリシアの傍から離れたがらないレイヴンは執務室へ行くのも拒否をする。
困ってしまったアリシアだったが、公務を放棄するのはまずいというのはレイヴンの頭の中にもあったようだ。2日目には「ここで仕事をする」と言って執務机を運び込み、すっかり寝室の中で働く態勢を整えてしまった。
「本当によろしいのですか……?」
アリシアは困惑するが、レイヴンは上機嫌である。
本来なら苦言を呈するはずのレオナルドも黙認していて何も言わない。
レオナルドとしては自身の机も運び込みたいくらいなのだ。だけど立場上そんなことをするわけにはいかない。
レイヴンがここに居れば仕事中も訪ねてくる理由になると、内心では歓迎しているくらいだった。
結局それからの約2ヶ月間、レイヴンが処理するべき書類はすべて王太子夫妻の寝室へ届けられた。
「これだけは」とマルグリットより返された王太子宮の管理についても、気がつけばレイヴンが処理をしてしまっていた。
とはいえ運動不足も毒となる。
王宮に戻った後、主治医となった侍医長に「出産には体力が必要ですから」と説得されたレイヴンは、渋々朝晩の散歩を許可してくれた。
最もそれはレイヴンが一緒の時だけで、レイヴンに手を取られて慎重に歩いていく。
後ろから侍医が付いてくるような厳戒態勢での散歩となった。
そうして暑くなり始めた頃……。
とうとうその時がやってきた。
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