【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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第2部 6章

94 アリシアの友人

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 レイヴン側の招待客が決まった後はアリシア側の招待客だ。
 アリシアにはドレスの作成に集中して欲しいので、アリシア側の招待状もレイヴンが用意することにしている。
 親族として出席するのはルトビア公爵夫妻、それにレオナルド夫妻だ。友人としてカロリーナ、イリーナ、ジョアニーをそれぞれ夫婦で招待している。
 3人とはアリシアが王都に戻ってからすっかり友情を取り戻していた。
 今回友人として招かれると知り、恐縮しながらも喜んでいる。

 アリシアの友人として外せないのはロバートとジェーンだ。
 だけど3兄弟の内ロバートだけを招待すれば、また外野が煩く言うだろう。折角ルーファスとの関係が修復されてきたのに、また拗れるかもしれない。その要因になるのだけは避けたかった。

「……ルーファス兄様を招待してもよろしいでしょうか」

 招待客の一覧を見ながらアリシアが言う。それは友人ではなく親族として招くということである。
 確かにレイヴン側の親族と比べてアリシア側の親族は少ない。ロバートとマリアン、そしてルーファス夫妻を親族として招けば両家のバランスを取ることができる。
 ただ問題となるのは、この結婚式が側妃の結婚式に即しているということだ。側妃の結婚式では両親と兄弟、それに少数の友人しか招くことができない。だからレイヴンは親族であっても国王やマルグリットの家族を招いていなかった。

「正式なものではないし、そこまで拘らなくても良いと思うけど……」

 それでも側妃の結婚式に即すると決めたのは、収拾がつかなくなるからだ。
 貴族は皆、このプライベートな催しに招かれたがっている。アリシア側だけ親族の幅を広げるとなれば、臣下に下った国王の弟妹たちが黙っていないだろう。
 
 それにもう1つ問題があった。伯爵家の次男、リカルドだ。
 リカルドは今も財務大臣の元で働いている。当初の予想通り実力を見せつけ、人事改正が行われる度に階級を上げているリカルドは、対立派閥が期待した通りレオナルドの有力な対抗馬となるだろう。
 リカルドの真意はわからないが、ここでリカルドだけを外して招かなければ、世間はルトビア公爵家がリカルドを敵対勢力と見做したと受け取るだろう。

 この件に関してはレイヴンも頭を悩ませていた。
 マリアンを通じてロバートから「国外に出ていようか」という提案もあった。国外に出ていれば物理的に参列することができない。「参列できないとわかっているから招待状を送らない」という体裁を整えることができるのだ。
 マリアンもそれで良いと言う。

「私はクロウ殿下付きの侍女として控えていますので問題ありません。むしろその方が自由に動けて好都合かと」

「……私は、これを貴族となったマリアンが初めて参加する催しにしたいのよ」

 子爵家の養女となったマリアンだが、元平民という経歴はついてまわる。
 だけど王太子妃の友人として認められていれば、少なくとも表面的な尊敬は得られるだろう。それだけで社交界での立ち位置が変わってくる。
 極少数の友人しか招かれない催しに参加すれば、それだけアリシアにとって大切な友人だと示すことができるのだ。


「……それじゃあマリアンを招くのはどうかな?」

 それを思いついたのはレオナルドだった。
 ポンッと手を打ち、アリシアを見る。
 訳が分からず見返すアリシアに、レオナルドは「良いことを思いついた」と満足そうな笑みを見せた。

「ロイを招待しようとするから問題が起こるんだ。だからマリアンを招待するんだよ。マリアンの同伴者は必然的に婚約者のロイになる」

「あ……っ!」

 盲点だった。
 どうしてもアリシアやレイヴンはロバートを優先的に考えてしまう。
 ロバートの同伴者はマリアン。その考えから抜け出せなかったのだ。

 だけどレオナルドの言う通り、マリアンもアリシアの友人である。そしてマリアンの同伴者はロバートだ。マリアンを招待するのにルーファスもリカルドも関係がない。
 抜け道を縫うような方法だが、誰も文句のつけようがないやり方だった。

「それじゃあ招待状は子爵家に送るね」

 恐縮するマリアンにレイヴンが満足そうに頷く。
 その後、「折角だからエレノアと姉妹で……」と言うアリシアと、「いいえ!私には妃殿下の支度を完璧に整えるという使命がありますので!」と言うエレノアの間で攻防戦が繰り広げられるのだが、結局招くのはマリアンだけとなり、エレノアにはアリシアの支度に専念してもらうこととなった。




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