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3章 〜過去 正妃と側妃〜
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同じ頃、ようやく朝食を終えたルイザはモヤモヤする気持ちのままソファに沈み込んでいた。
不安と期待に満ちていた舞踏会は最悪の経験になった。
舞踏会の間中ルイザは好奇な視線に晒され、国王に見向きもされない側妃と嘲笑われていたのだ。
その時ルイザが感じていたのは強い羞恥だ。
自分が愛されていると思い込んでいたことも、側妃と呼ばれながら相手にされていないことも恥ずかしかった。
その様子を他人に見られていることが居た堪れなくて、ここから逃げ出したいと思った。
百合の宮へ戻り、ベッドに入った後もその場面と気持ちが何度も蘇って中々寝付けなかったのだ。
だけど目が覚めたらそんな気持ちが少し変化していた。
昨日は強いショックでひとつのことしか考えられなくなっていたけれど、眠ったことで少し冷静になれたようだ。
冷静になれば様々な感情が浮かんでくる。
やはり最初に浮かんだのは羞恥だった。
愛されていない、興味も持たれていないことに気づかず親しくなろうと話し掛けるルイザはさぞ滑稽たっただろう。晩餐会でもアルカイックスマイルに気づかず無邪気に喜んでいたのだ。
だけど思い出せばあの時も、話していたのはほとんどルイザでカールは相槌を打っているだけだった。
だけど参席していた重鎮たちとは普通に会話をしていたのだから、彼らにはルイザがいい加減に扱われていることがわかっていたのだろう。そう考えれば晩餐会の後に親しくなろうと寄ってくる貴族たちがいなかったことにも納得がいく。彼らはルイザと親しくしても旨味がないと判断したのだ。
それなのに親しみを込めた手紙を待ち、訪ねてくる人がいないか期待していた自分がひどく惨めだった。
そう、次に感じたのは惨めさだった。
閨のためにしか訪れないカールと親しくなろうと必死に話し掛けては流される日々。
会話ができる相手がおらず、侍女や講師に授業を受ける時間を楽しみにしていた。
広間の前で互いの色を身に纏った国王と王妃を見た時の衝撃。差し色も刺繍も何もかも合わせて作られた2人の衣装と、少しも合わせたところのない自分のドレス。
舞踏会ではカールと踊れると信じてダンスのレッスンを繰り返したのに、結局1曲も踊れなかった。
そしてエリザベートに憐れみの目を向けられ、彼女の慈悲で会話に入れてもらえたこと。
何もかもが惨めで泣きたくなってくる。
だけどそこを通り過ぎた今はだんだんと怒りが湧いてきていた。
エリザベートはルイザが嫁いで来た時から、カールに興味を持てれていないことを知っていたはずだ。
薔薇の宮へ挨拶に行った時に優しくしてくれたのは、興味を持たれていないのに世継ぎを産むために召し上げられた側妃に対する憐れみだったのだろう。そして昨日の舞踏会でも憐れみを見せた。
エリザベートが気を遣い、ルイザを人の輪に入れようとする度に人々の視線が集まり居た堪れない気持ちになった。
相手からも、王妃に言われて仕方なく話しているのが伝わってきてますます惨めになっていった。
だけどあれも思えばエリザベートの策略だったのではないだろうか。
エリザベートは、愛されているのは私だと見せつけたかったのだ。
だからこそあんなにもわかりやすく相手の色を纏ってきたのだ。
だっておかしいではないか。
本当にエリザベートがルイザを気遣っているのなら、2人だけで衣装を合わせたりしないはずだ。どんな衣装にするのか手紙で教えてくれても良いし、カールにルイザの色も使うよう進言することもできただろう。
だけどエリザベートはそうとはせず、人目のある場所で表面的な気遣いを見せただけだ。
そしてその結果、ルイザには王妃に気を遣われなければ話す相手もいないのだという事実が人の目に晒された。
世継ぎを産むことを期待されながら、人望も後ろ盾もないことが晒されたのだ。
不安と期待に満ちていた舞踏会は最悪の経験になった。
舞踏会の間中ルイザは好奇な視線に晒され、国王に見向きもされない側妃と嘲笑われていたのだ。
その時ルイザが感じていたのは強い羞恥だ。
自分が愛されていると思い込んでいたことも、側妃と呼ばれながら相手にされていないことも恥ずかしかった。
その様子を他人に見られていることが居た堪れなくて、ここから逃げ出したいと思った。
百合の宮へ戻り、ベッドに入った後もその場面と気持ちが何度も蘇って中々寝付けなかったのだ。
だけど目が覚めたらそんな気持ちが少し変化していた。
昨日は強いショックでひとつのことしか考えられなくなっていたけれど、眠ったことで少し冷静になれたようだ。
冷静になれば様々な感情が浮かんでくる。
やはり最初に浮かんだのは羞恥だった。
愛されていない、興味も持たれていないことに気づかず親しくなろうと話し掛けるルイザはさぞ滑稽たっただろう。晩餐会でもアルカイックスマイルに気づかず無邪気に喜んでいたのだ。
だけど思い出せばあの時も、話していたのはほとんどルイザでカールは相槌を打っているだけだった。
だけど参席していた重鎮たちとは普通に会話をしていたのだから、彼らにはルイザがいい加減に扱われていることがわかっていたのだろう。そう考えれば晩餐会の後に親しくなろうと寄ってくる貴族たちがいなかったことにも納得がいく。彼らはルイザと親しくしても旨味がないと判断したのだ。
それなのに親しみを込めた手紙を待ち、訪ねてくる人がいないか期待していた自分がひどく惨めだった。
そう、次に感じたのは惨めさだった。
閨のためにしか訪れないカールと親しくなろうと必死に話し掛けては流される日々。
会話ができる相手がおらず、侍女や講師に授業を受ける時間を楽しみにしていた。
広間の前で互いの色を身に纏った国王と王妃を見た時の衝撃。差し色も刺繍も何もかも合わせて作られた2人の衣装と、少しも合わせたところのない自分のドレス。
舞踏会ではカールと踊れると信じてダンスのレッスンを繰り返したのに、結局1曲も踊れなかった。
そしてエリザベートに憐れみの目を向けられ、彼女の慈悲で会話に入れてもらえたこと。
何もかもが惨めで泣きたくなってくる。
だけどそこを通り過ぎた今はだんだんと怒りが湧いてきていた。
エリザベートはルイザが嫁いで来た時から、カールに興味を持てれていないことを知っていたはずだ。
薔薇の宮へ挨拶に行った時に優しくしてくれたのは、興味を持たれていないのに世継ぎを産むために召し上げられた側妃に対する憐れみだったのだろう。そして昨日の舞踏会でも憐れみを見せた。
エリザベートが気を遣い、ルイザを人の輪に入れようとする度に人々の視線が集まり居た堪れない気持ちになった。
相手からも、王妃に言われて仕方なく話しているのが伝わってきてますます惨めになっていった。
だけどあれも思えばエリザベートの策略だったのではないだろうか。
エリザベートは、愛されているのは私だと見せつけたかったのだ。
だからこそあんなにもわかりやすく相手の色を纏ってきたのだ。
だっておかしいではないか。
本当にエリザベートがルイザを気遣っているのなら、2人だけで衣装を合わせたりしないはずだ。どんな衣装にするのか手紙で教えてくれても良いし、カールにルイザの色も使うよう進言することもできただろう。
だけどエリザベートはそうとはせず、人目のある場所で表面的な気遣いを見せただけだ。
そしてその結果、ルイザには王妃に気を遣われなければ話す相手もいないのだという事実が人の目に晒された。
世継ぎを産むことを期待されながら、人望も後ろ盾もないことが晒されたのだ。
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