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3章 〜過去 正妃と側妃〜
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ルイザは伯爵家にいる時にもっと両親の話を聞いておけば良かったと後悔していた。
両親は国王と王妃がまだ婚約者だった頃から知っているのだ。
2人によると、国王と王妃は婚約が結ばれた頃から仲睦まじく、愛し合っていたという。
両親はそんな2人の間に割って入っても苦労するだろうと案じていたし、子を産めないことで側妃を迎え入れなければならない王妃の気持ちを慮っていた。
だけどルイザは、国王がルイザを選んだのだから過去のことは関係ないと思っていた。
例え過去に王妃と愛し合っていたのだとしても、今はルイザに心を移したのだからと、軽く聞き流していたのだ。
「ねえ、王妃殿下は普段何をしているの?」
ルイザは向かいの壁際に立つイーネに問い掛けた。
有能な侍女は突然の問いにも慌てず言葉を返す。
「今は公務のお時間です。執務室にいらっしゃるでしょう」
「公務のことなんて聞いてないわ!そうじゃなくて……っ!公務の後とか休みの日とか、空いた時間に何をしているのか知りたいのよ!」
突然声を荒げたルイザにイーネが僅かに目を見開く。
その顔を見た瞬間、ルイザはハッとした。
ルイザはこれまで王妃のことなど気にしてなかったのだ。それなのに急に気にし出したら不審に思われるだろう。それもこんなに感情的になっていては良いように取ってもらえない。
百合の宮には王家が用意した使用人しかいないのだから、エリザベートの息が掛かった者が混ざっているかもしれない。
そう気付いたルイザは今度は慎重に言葉を続けた。
「………私は普段手持ち無沙汰でしょ。今も何をしたら良いのかわからないし……。だから妃殿下はどんな風に余暇を過ごすのか知りたいのよ」
ルイザがいつも暇を持て余しているのは本当のことだ。
王都に友人のいないルイザは誰かを招くことはなく、誰かに招かれることもない。手紙も来なければ送る人もなく、いつも読書や刺繍という1人でできることを繰り返している。人と話すことができる礼儀作法の時間やダンスのレッスンが嬉しかったが、それは本来余暇の過ごし方ではないだろう。
暇を潰す方法を知りたい。
ルイザの生活を知っていれば、それは当然の希望に思えた。
「そうですね、妃殿下はバザーに出すレース作品を良く作っておられます。ダシェンボード公爵夫人やルヴエル伯爵夫人を招いて一緒に作られることもあります」
「レース作品?」
「ダシェンボード公爵家のレースは有名です。ご存知ありませんか?」
そう言えばルイザも聞いたことがあった。
ダシェンボード公爵領では工芸品が有名だが、その中でも公爵家の女性にだけ伝わるレース編みの人気が高いという。ダシェンボード公爵家は王妃の実家で、ルヴエル伯爵は王妃の次兄だ。
「そのレース作品をバザーに出しているの?」
「妃殿下は孤児院の慰問を熱心にされています。もちろん寄付もされていますが、運営資金を募るバザーにも積極的に協力されているのです」
エリザベートは元々病院や孤児院の慰問に積極的だった。だけどルイを亡くしてからより熱心に孤児院を支援している。小児医療の研究に力を入れているのと同じで子どもの窮状を放っておけないのだろう。そこにいる子をルイの代わりのように思っているのかもしれない。
両親は国王と王妃がまだ婚約者だった頃から知っているのだ。
2人によると、国王と王妃は婚約が結ばれた頃から仲睦まじく、愛し合っていたという。
両親はそんな2人の間に割って入っても苦労するだろうと案じていたし、子を産めないことで側妃を迎え入れなければならない王妃の気持ちを慮っていた。
だけどルイザは、国王がルイザを選んだのだから過去のことは関係ないと思っていた。
例え過去に王妃と愛し合っていたのだとしても、今はルイザに心を移したのだからと、軽く聞き流していたのだ。
「ねえ、王妃殿下は普段何をしているの?」
ルイザは向かいの壁際に立つイーネに問い掛けた。
有能な侍女は突然の問いにも慌てず言葉を返す。
「今は公務のお時間です。執務室にいらっしゃるでしょう」
「公務のことなんて聞いてないわ!そうじゃなくて……っ!公務の後とか休みの日とか、空いた時間に何をしているのか知りたいのよ!」
突然声を荒げたルイザにイーネが僅かに目を見開く。
その顔を見た瞬間、ルイザはハッとした。
ルイザはこれまで王妃のことなど気にしてなかったのだ。それなのに急に気にし出したら不審に思われるだろう。それもこんなに感情的になっていては良いように取ってもらえない。
百合の宮には王家が用意した使用人しかいないのだから、エリザベートの息が掛かった者が混ざっているかもしれない。
そう気付いたルイザは今度は慎重に言葉を続けた。
「………私は普段手持ち無沙汰でしょ。今も何をしたら良いのかわからないし……。だから妃殿下はどんな風に余暇を過ごすのか知りたいのよ」
ルイザがいつも暇を持て余しているのは本当のことだ。
王都に友人のいないルイザは誰かを招くことはなく、誰かに招かれることもない。手紙も来なければ送る人もなく、いつも読書や刺繍という1人でできることを繰り返している。人と話すことができる礼儀作法の時間やダンスのレッスンが嬉しかったが、それは本来余暇の過ごし方ではないだろう。
暇を潰す方法を知りたい。
ルイザの生活を知っていれば、それは当然の希望に思えた。
「そうですね、妃殿下はバザーに出すレース作品を良く作っておられます。ダシェンボード公爵夫人やルヴエル伯爵夫人を招いて一緒に作られることもあります」
「レース作品?」
「ダシェンボード公爵家のレースは有名です。ご存知ありませんか?」
そう言えばルイザも聞いたことがあった。
ダシェンボード公爵領では工芸品が有名だが、その中でも公爵家の女性にだけ伝わるレース編みの人気が高いという。ダシェンボード公爵家は王妃の実家で、ルヴエル伯爵は王妃の次兄だ。
「そのレース作品をバザーに出しているの?」
「妃殿下は孤児院の慰問を熱心にされています。もちろん寄付もされていますが、運営資金を募るバザーにも積極的に協力されているのです」
エリザベートは元々病院や孤児院の慰問に積極的だった。だけどルイを亡くしてからより熱心に孤児院を支援している。小児医療の研究に力を入れているのと同じで子どもの窮状を放っておけないのだろう。そこにいる子をルイの代わりのように思っているのかもしれない。
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