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4章 〜過去 崩れゆく世界〜
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カールが思い当たったといっても簡単に事は進まなかった。
密かにリチャードを執務室へ呼び出し打診をしたが、リチャードはとんでもないと頭を振る。
「陛下には既にお世継ぎがいらっしゃいます。養子は必要ございません。エドワードに王位継承権は与えないとおっしゃられても、決して議会の理解は得られないでしょう」
リチャードの言うことはわかる。すべてカールが考えていたことだ。
世継ぎの生まれたカールが養子を迎える必要はない。それなのにダシェンボード公爵家の子息を王妃の養子にするというのは、王太子の外戚になる機会を失った公爵家が子息を使って王太子位を奪おうとしている、王家を乗っ取るつもりではないか、と疑惑を持たれることになる。
子どもが多いといっても裕福な公爵家が養育に困るわけではない。
将来的に次男以降の子は身を立てる術を探さなければならないが、公爵家は従属爵位も豊富に持っている。
生まれて半年程しか経たない子息を養子に出さなければいけないような理由が公爵家には一つもなかった。
公爵邸に帰ったリチャードは、カールからの話を密かにアンヌに告げた。
アンヌも驚いて首を振る。
二人ともエリザベートを案じているが、エドワードだって大切な息子なのだ。手放せるわけがない。
この話はリチャードから前公爵夫妻にも伝えられ、話を聞いた前公爵がカールの元へ乗り込んできた。
「リチャードから話を聞きました。エドワードを養子にするなどとんでもないことです」
前公爵の主張はリチャードと同じだった。
国が混乱に陥るとわかっているのに、火種となる子を渡せるわけがない。
ただ前公爵がリチャードと違っていたのは、別の要求をしてきたことだ。
「王妃殿下……、エリザベートの状態が良くないことはわたしたちにも分かっています。エリザベートをわたしたちに返していただけませんか」
「………何?」
前公爵の言葉にカールは目を見開いた。
結婚前にエリザベートが病に倒れた時から、前公爵夫妻は婚約の解消を求めていた。
高熱で体が弱くなってしまったエリザベートは子どもを産めない可能性が高い。このままカールと結婚しても、いずれ世継ぎの為に側妃を迎えることは分かっていた。
想いの通わない政略結婚の方が良かったのかもしれない。
カールを想うエリザベートは、他の女の元へ通うカールに心を痛めるだろう。他の女が産んだ子を抱くカールに傷つくはずだ。ルイが生まれたことは予想外だったが、エリザベートの今の状態は初めから予想できていたことだ。
それなのにカールは結婚を反対する前国王夫妻を説き伏せ、婚約解消を求める前公爵夫妻を押し切ってエリザベートに求婚を受け入れさせてしまった。
本来ならどんなに辛くても側妃や側妃の子を受け入れるのが結婚を決めたエリザベートの責任だ。
だけど心を壊して受け入れられないのなら、その環境から離してやるしかない。
「陛下が側妃を迎えることも、陛下のお世継ぎは側妃がお生みになることもわたしたちはわかっていました。当然エリザベートもです。ですが今のエリザベートでは受け入れることができないでしょう。ならば遠く離れた場所で静養させるのが一番です。どうかあの娘を悩みから解き放ってやって下さい」
「いや……、そんなことは………」
カールの声が震えた。
密かにリチャードを執務室へ呼び出し打診をしたが、リチャードはとんでもないと頭を振る。
「陛下には既にお世継ぎがいらっしゃいます。養子は必要ございません。エドワードに王位継承権は与えないとおっしゃられても、決して議会の理解は得られないでしょう」
リチャードの言うことはわかる。すべてカールが考えていたことだ。
世継ぎの生まれたカールが養子を迎える必要はない。それなのにダシェンボード公爵家の子息を王妃の養子にするというのは、王太子の外戚になる機会を失った公爵家が子息を使って王太子位を奪おうとしている、王家を乗っ取るつもりではないか、と疑惑を持たれることになる。
子どもが多いといっても裕福な公爵家が養育に困るわけではない。
将来的に次男以降の子は身を立てる術を探さなければならないが、公爵家は従属爵位も豊富に持っている。
生まれて半年程しか経たない子息を養子に出さなければいけないような理由が公爵家には一つもなかった。
公爵邸に帰ったリチャードは、カールからの話を密かにアンヌに告げた。
アンヌも驚いて首を振る。
二人ともエリザベートを案じているが、エドワードだって大切な息子なのだ。手放せるわけがない。
この話はリチャードから前公爵夫妻にも伝えられ、話を聞いた前公爵がカールの元へ乗り込んできた。
「リチャードから話を聞きました。エドワードを養子にするなどとんでもないことです」
前公爵の主張はリチャードと同じだった。
国が混乱に陥るとわかっているのに、火種となる子を渡せるわけがない。
ただ前公爵がリチャードと違っていたのは、別の要求をしてきたことだ。
「王妃殿下……、エリザベートの状態が良くないことはわたしたちにも分かっています。エリザベートをわたしたちに返していただけませんか」
「………何?」
前公爵の言葉にカールは目を見開いた。
結婚前にエリザベートが病に倒れた時から、前公爵夫妻は婚約の解消を求めていた。
高熱で体が弱くなってしまったエリザベートは子どもを産めない可能性が高い。このままカールと結婚しても、いずれ世継ぎの為に側妃を迎えることは分かっていた。
想いの通わない政略結婚の方が良かったのかもしれない。
カールを想うエリザベートは、他の女の元へ通うカールに心を痛めるだろう。他の女が産んだ子を抱くカールに傷つくはずだ。ルイが生まれたことは予想外だったが、エリザベートの今の状態は初めから予想できていたことだ。
それなのにカールは結婚を反対する前国王夫妻を説き伏せ、婚約解消を求める前公爵夫妻を押し切ってエリザベートに求婚を受け入れさせてしまった。
本来ならどんなに辛くても側妃や側妃の子を受け入れるのが結婚を決めたエリザベートの責任だ。
だけど心を壊して受け入れられないのなら、その環境から離してやるしかない。
「陛下が側妃を迎えることも、陛下のお世継ぎは側妃がお生みになることもわたしたちはわかっていました。当然エリザベートもです。ですが今のエリザベートでは受け入れることができないでしょう。ならば遠く離れた場所で静養させるのが一番です。どうかあの娘を悩みから解き放ってやって下さい」
「いや……、そんなことは………」
カールの声が震えた。
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