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4巻
4-2
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「アラン、そっち行ったで!」
「わかった! ルプス、一気に決めるぞ!」
「承知!」
一面に広がる麦の穂。その一部が、ざわざわと揺れ、相手が迫ってくるのを知らせてくれる。
麦の背はまだ低く、俺の腰ほどの高さしかない。しかしその迫り来るものの体を隠すには十分だった。
俺は剣を手に、姿の見えない敵に対し、構えをとる。
「プキイイイイイイイイ!」
そんな鳴き声とともに麦の間から飛び出したのは、鹿のような獣。
全身を茶と黒の毛皮で覆われ、羊のように丸まった角を持つ獣だった。
組合で俺達が受けたのは、この獣の討伐依頼である。ここ――ダオスタ近郊の庄園で農作物が獣に食い荒らされているので狩ってほしいという内容だった。
依頼書によれば、この獣の名は黒紋鹿。
この地域に時折出没する害獣だそうだ。
黒紋鹿は敵を見つけると、トレードマークとも言えるその角を向けて突進してくる。角は鋭く尖っていて、運が悪ければ一撃で致命傷になりかねないという。
俺は冷静にその黒紋鹿の動きを目で追いながら、頭部めがけて横薙ぎに剣を振るう。
黒紋鹿は走る勢いのまま地面に倒れ、動きを止めた。
「やったな、アラン! えーと、これで三体目やな。依頼書には確か全部で――」
近づいてきたカサシスが、足元の黒紋鹿を見ながら言う。
「ああ、全部で十体はいる、って書いてあったね」
「そやったな。んじゃ、どんどん狩るで!」
「はいはい。……って、そういえば、グイとターブはどこに行ったんだ?」
俺は周囲を見回した。さっきまで近くにいたはずなのに、いつの間にかいなくなっていた。
幻術をはじめ魔法が使えるターブと、剣闘大会で優勝をかっさらったグイの二人だから、仮に黒紋鹿に遭遇していても危険はないと思うけど……やっぱりちょっと心配だ。
「……グイ達なら、依頼主の家でお菓子を食べてくると言っていたぞ」
ルプスがそんなことを告げる。
ああ、あの二人なら冒険よりお菓子に惹かれても不思議はないな。
……まあいいか。今回の依頼は、このメンバーで達成できそうだし。
「よし、じゃあ俺達だけで残りも片付けちゃおう」
俺が言うと、カサシスとルプスが同時に頷いた。
すでに辺りは暗い。
適度な疲労感を覚えつつ、俺は皆とともに冒険者組合に戻るところだった。
「いやー、けっこう疲れた。すっかり遅くなってしもたな」
疲れたと言いながら、カサシスの表情は晴れやかだ。
「意外と時間がかかったね。でもまあ、達成できてよかったよ」
「当たり前やろ、俺達やで?」
「はいはい」
出発前に受付のお姉さんから聞いた話では、今回の依頼は、普通だと罠を張ったり待ち伏せしたりする必要があるらしかった。一日で終わるものではないということだ。
でも、俺の「索敵の術」を使えば敵の居場所は簡単にわかる。だから罠や待ち伏せは不要だった。
それでも実際に何体いるのかわからなかったので、念のためじっくりと周辺一帯を索敵して回ったために日暮れまでかかってしまったのである。
ちなみにグイとターブは結局最後まで討伐には参加しなかった。俺達が敵を探して麦畑を走り回っていた頃、二人は依頼主の家でお菓子とお茶をご馳走になり、家の中を見物させてもらい、果てはふかふかのソファで少し遅めの昼寝まで楽しんだそうだ。
まったく……でも、いかにも無邪気な二人らしくて、俺は彼らの話を聞いて怒るどころか、笑ってしまった。
「さ、帰ってきたで」
少し遠くに、明かりを灯した冒険者組合の建物が見える。
「うん。……とりあえず、腹へったなあ」
俺はお腹をさすった。討伐の合間に口にしたのは、簡単な携行食だけだ。もう腹ペコである。
「そうやな、俺も早いとこ食いたいわ……んじゃ、組合の食堂でどうや?」
ああ、あの食堂か。
「そうだね、そうしよっか」
「よし、決まりやな!」
「皆、それでいいか?」
「問題ない」
「グイもいいぞ!」
「どんなものが食べられるか楽しみだね、アラン」
「オーケー。じゃ、依頼達成の報告を済ませたら、食堂で夕飯だ」
冒険者の集う食堂……ターブの言うとおり、どんな料理が出るのかな?
って、グイとターブ、たんまりお菓子とお茶をたいらげたって言ってたのに、もう腹へってるのか……。
†
受付で依頼報告を終えた俺達は、さっそく食堂に向かった。
昼間の閑散とした雰囲気とは打って変わって、冒険者達でひしめいている。
客達の笑い声や店員が指示を飛ばし合う声、中央の小さなステージで芸人が奏でる音楽など、空間は様々な音で溢れている。
俺達五人も、その中に加わっていた。
「おっ! 姉ちゃん、追加でこのミラーシ豚の香草焼きと、野菜とココッタ鳥のゴルファント風炒めってのな」
「はーい! 少々お待ちください!」
カサシスが、大きな声で店員の女性に注文をする。
「おいカサシス、ちょっと頼みすぎじゃないか?」
俺達のテーブルには隙間なく皿やコップが置かれていて、大半はまだ残っている。
「ええやん、ええやん。だってこんなに安いんやで? 全部頼んだって大したことないやろ。そや、そうしよ、店のメニュー端から端まで注文したる!」
わけのわからない意気込みを見せるカサシス。彼はテーブルの上の食事にひととおり手をつけるものの、決して全部は食べない。ちょっとずつつまむという感じだ。贅沢な食べ方である。
そんなわけで彼のオーダーした料理は大量に残っており、しかたないので俺を含む残りのメンバーでがんばって減らしている……のだが、俺達だってそれぞれ個別に食べたいものを注文しているから、正直カサシスの分までフォローするのは辛い。
というかそもそも、どの料理も、量がハンパじゃない。さすが、体が資本の冒険者専用食堂である。
何となく粗野なイメージのある冒険者組合の食堂だから……とあまり期待していなかったものの、味も盛り付けも意外なほどよかった。ただ、これだけ大量だと、正直見ているだけで胸焼けがしてくる。
これほどたくさん注文する人はさすがに珍しいようで、周囲のテーブルからの視線が痛い。
彼らのテーブルにはさほど料理が載っていない、というか、常識的な量があるだけだ。
でも、本当は俺達みたいにたくさん頼みたいのに、お金がなくてそれができない、という冒険者もいるようだった。というのも、露骨に物欲しそうな顔を向けてくる人がけっこういたのである。
「なあ、カサシス。やっぱり俺達だけじゃ食べられそうにないよ。だからさ、周りの人達に手伝ってもらわないか?」
俺の提案に、仲間達から援護射撃が飛ぶ。
「……我々だけでは、これ以上は無理だ」
「グイもお腹いっぱいだぞ」
「アランの言うとおりだよ、カサシス」
これに対し、カサシスは目をぱちくりさせた。
「ん? 食べられへんなら、残せばいいんとちゃう? 俺はそのつもりやで」
え?
「いやいやいや、それはもったいないだろ。少しならしょうがないけど、こんなに頼んでおいてさ……って、まだ頼むのか!」
俺の話も聞かずに、カサシスはまた店員に追加の注文を告げる。本気で店のメニュー全部頼むつもりらしい。
それにしても……さも当然のように「残せばいい」と言ってのけるカサシスに、価値観の違いを実感させられる。
彼が気のいい男だとわかってはいるが、やはり帝国の名家の息子だ。食べられないなら残す、飽きたら捨てる、といった贅沢な生活が当たり前になっているのだろう。
俺も貴族ではあるものの、前世での日本人的「もったいない」精神が染みついているので、どちらかと言うと質素倹約なタイプだ。だから彼のこうした言動はちょっと理解できない。
追加注文を終えて食事に戻るカサシスに、俺はもったいない精神を滔々と説明した。
でも、彼はこの考え方を理解できない、と言った。
「けどさ、カサシス。他の客達の中には満足に食べられない人もいるみたいだし、分けてあげたら喜ぶんじゃないかな? かわいそうじゃないか、満腹になれないまま帰らなきゃいけないなんて」
「んん? 何を言うとんのや? だったらそいつら、腹いっぱいになるまで自分で注文すりゃええだけやろ」
いやいや……たぶんお金がなくてそれができないから、彼らは俺達にうらやましそうな視線を向けてくるんじゃないか?
俺はそう反論しようとしたが、わかってもらえない気がして言葉を呑み込んだ。
「しっかし、アランも貴族のくせに変なこと言いよるねんなー。そのよくわからん『もったいない』っての、たぶん俺じゃなくて他の貴族連中だって理解できんと思うわ。そもそもそんなん考えて何の意味があるん? 時間のムダやないか?」
好き勝手にそんなことを喋るカサシスに、俺はちょっとムカついた。
……いいだろう。こうなったら、何が何でもわからせてやろうじゃないか。
俺は身を乗り出してカサシスに顔を近づける。
「なあ、カサシス。ちょっと聞いてくれ。俺達は今テーブルに載りきらないほどの料理を注文したわけだけど……もし全部食べきれなかったら、俺達の金がムダになるだろ」
いくらここの料理が安いといっても、カサシスがオーダーした量は尋常じゃない。今日の依頼の報酬額をとっくに超えているはずだ。
「んー、どの皿も一口も食べてないわけやないから、別にムダにはならないんちゃう?」
「そうか。でも、この料理を作ってくれた人の手間がムダになる」
「だから、どれも少しは食べたんやから、別にムダにはなってないやん」
「じゃあ、食材は? 残したら、その分だけ食材がムダになるよな」
「え、その、食べたんやから……」
「食材と言えば、これらを卸してくれた商人の手間もムダになるね」
「しょ、商人? いや、だからな、食べたんやから……」
「たとえば野菜や米だったら、商人は農家から調達するわけだろ。カサシスが残したら、その農家の、作物を育てた手間もムダになる」
「おい、アラン……?」
「今カサシスが食べてるその肉、もしかしたらここの冒険者の誰かが狩ってきた獣のものかもね。だとすると、その人の苦労もムダになるわけだ」
「……アランくーん?」
目が点になるカサシス。俺の口撃は続く。
「それ、香草焼きだよな? そこに使われてる香辛料、遠方から取り寄せたものかもしれない。その場合、運搬に関わった人達の手間と費用も――」
「なあアラン、俺の声、聞こえとる?」
「うん」
「じゃあ、ちょっと話止めて俺の言い分も聞いてや?」
「聞かない」
「えぇー」
「カサシス。お前さっき言ったよな? 食べられないなら、残せばいいって」
一瞬、何か反論しようとして口ごもり……カサシスは渋々頷く。
「ま、まあ……そやな、言ったな」
「それ、砂漠の真ん中でも言えるか? 携行食も水場もない状況でも、同じことが言えるのか? ちょっとだけ食べて、残りを捨てられるのか?」
「……いや、砂漠なんて、そう行かへんし」
「屁理屈言うな。捨てられないだろ? 腐ったわけじゃなくてまだ食べられるものなんだから、捨てたらダメだよな? もったいないっていうのはそういうことなんだよ」
「……わかった。アラン、わかったから」
「本当にわかってるか? 念のため、別のたとえで――」
「も、もう大丈夫や! アラン、俺はもったいないっちゅう言葉の意味がじゅーぶん理解できたで! ほんまや、ほんま!」
勢いよく立ち上がったカサシスがそう言って大きく頷く。
「……そうか? わかったなら、いいけど」
首を縦に振り続けるカサシス。
ようやくわかってくれたか……俺は満足して、前のめりになっていた体をイスの背もたれに預け、テーブルの上のジュースに口をつけた。
非常にいい味でさっきから食事の合間に飲んでいるのだが、どうも体が熱くなっている気がする。カサシス相手に長々と話をしてしまったのも、よく考えたら俺にしては変だ。
うーん……このジュース、何か入っているのか? まあいいか。おいしいし、どんどん杯が進むから。
俺は大きなコップに入ったその飲み物をごくごく喉に流し込む。体温がさらに上がり、気分が高揚してくる。
「……ったく、酒を飲ませたのは失敗やったな……」
カサシスがそんなことを呟いたように思えた。でも、どういうわけか今の俺には気にならなかった。
「というわけで、そこの人達」
俺は隣の席にいる、四人組の男達に話しかける。
「お、おう? 俺達か?」
まごつきながら、彼らの一人が答える。四人とも表情が硬い。
俺とカサシスが貴族だから気後れしているのかもしれない。俺達二人の正体はもう皆知っているだろうからな。
いや、もしかしたら、めったやたらに料理を注文しているこちらに圧倒されているだけかもしれないが。俺は言葉を続ける。
「もしよかったら、こっちの料理、食べてくれないか? ちょっとたくさん頼みすぎちゃって」
四人は一瞬ポカンとしたあと、互いに顔を見合わせた。それから俺達のテーブルを覗き込んで目を輝かせ、今度は全員で大きく頷き合った。
「い、いいのか?」
「もちろん。な、カサシス?」
俺の確認に、彼は「あ、当たり前や。もったいない、もんな」と答える。
それを聞いて四人の冒険者は喜び、俺達のテーブルに移ってきて、はじめは遠慮がちに、やがて勢いよく料理を口にしていった。
俺は他の席の冒険者にも声をかける。
「俺達も、ほ、本当に、いいのか!?」
「おお、天の助けだ!」
気づけば十人以上の冒険者が、俺達のテーブルを囲んで料理に手を伸ばしている。皆、たらふく食べることができるとわかって嬉しそうだ。
声をかけてよかった……と思っていると、俺の横で肉をがっついていた男性が、向かいの冒険者に言った。
「でも、さっきの話はタメになったよな」
「ああ? 何の話だ?」
男性は俺を手で示しながら、話を続ける。
「ああ? お前、聞いてなかったのか? さっき、このアラン様がな、すげえいいことをおっしゃってたんだよ。えーと、確か……もったいない、とか」
「もったいない? 何だそりゃ?」
なぜか、俺がカサシスに語ったもったいない精神が、彼らの間で話題となっていた。
「……というわけなんだよ。どうだ? 素晴らしい考え方じゃねえか、もったいないってのはよ」
説明を聞いた向かいの冒険者は、大きく頷き、いきなり俺に向かって拍手を始めた。
「さすがアラン様! あの英雄、ヤン様のご子息だ!」
俺の隣の彼も同意する。
「ああ、違えねえや! それによ、カサシス様の、この豪快な注文っぷりもすげえよな! さすがは帝国が誇るサージカント家のご子息だぜ! なあ、そうだろ、みんな!」
その呼びかけに、夢中で料理を貪っていた他の冒険者達も顔を上げる。
そして誰からともなく、盃を高く掲げ始めた。
「お二人に、乾杯!」
「乾杯!」
「乾杯だー!」
気づけば、俺達のテーブル以外の客までもが、飲み物片手に集まっていた。
グイ、ターブ、ルプスも、それぞれ名も知らぬ冒険者達に囲まれて、楽しそうに盃を打ち合わせている。ちなみに三人とも中身はジュースだ。グイは年齢を、獣人のルプスは一応俺の奴隷兼護衛という立場を考慮して、そうしてもらった。ターブは実年齢は不明なのだが、見た目がグイと同じく子供なので、ここでは酒は遠慮してくれている。
で、カサシスは――。
「よっしゃ、もういっちょやるでー! かんぱーい!」
しこたま酒を食らって、これ以上ないほど上機嫌である。
まったく、いったい何杯飲んだんだ?
「お前ら、まだまだいけるやろ? どんどん頼めよ! 今夜は全部、俺のおごりや!」
しまいにはそんな宣言をぶち上げるカサシス。
食堂が、冒険者達の歓声で大きく揺れ――店をあげての大宴会へとなだれ込んだ。
無礼講の様相を呈し始める食堂内。
俺も、カサシスや皆と肩を組んで酒を飲み交わす。
いいなあ、無骨な冒険者達のどんちゃん騒ぎ。
やがて、誰かが歌い出した。
いつの間にか舞台から降りて宴会の輪に溶け込んでいた芸人が、歌に合わせて楽器を奏でる。
皆が知っている曲のようで、次々に歌に加わっていく冒険者達。
ほどなくして、それは店中を巻き込む合唱となった。
俺は盃を傾けて、彼らの歌に聴き入る。
『故郷はもう遠く、神が住まうと言われた山さえ見えない。
霧の中を進み、影を追ってただ探した。
地の底に眠る都市。
森の奥の雅な都。
川を渡り、山を越え、森を切り開き、ただひたすらに。
岩の上、靴が磨り減っても、俺の心は磨り減りはしない。
森の奥、愛しい女が縫ってくれた服が破けても、俺の心は破けはしない。
その先に、俺の求めるものがあるかぎり。
その先に、俺の信じるものがあるかぎり。
決して歩みを止めはしない。
歩みを止めはしない。
たとえ死の牙が待っているとしても。
俺を止められやしない。
止められやしない』
それは、冒険者の男の心情を歌ったものだった。
歌詞に込められているのは、男の悲しみ、そして覚悟だ。
若かりし日、冒険者としての成功を夢見て、大切な人を残し飛び出した故郷。しかし長く厳しい旅路を行くうち、望郷の念は膨らんでいく。それでもひたすら旅を続けるが、夢の終わりはまだ見えない。だが、道半ばで引き返すことなどできはしない。だから自分に言い聞かせる。何ものにも俺を止めることはできないと。そうして、果てのない道を突き進む……そんな冒険者の悲壮な決意が、俺の心を震わせる。
俺も、もう引き返すことはできない。自分の故郷――日本には帰れない。
かつて当たり前に目にしたあの頃の景色を、再び見ることはないだろう。
「そういや、アラン」
「んー……?」
物思いに耽っていた俺の耳に、カサシスの声が聞こえてきた。気づけば俺の肩に腕を載せている。
「パーティーは大丈夫なんか?」
「……? パーティー……?」
頷くカサシス。
「ほれ、剣闘大会の慰労パーティーや。たぶん踊ることになるで。ああいう場に踊りは付き物やからな。で、アラン。お前、踊りは自信あるか?」
「ええ? 踊り? そういうのは、俺達出場者はやらなくていいんじゃないのか?」
「平民の場合は、な。けど俺らは貴族やで。絶対、周りの連中がほっとかんて」
「……何で?」
「いや、何でって言われても……貴族の参加するパーティーっつうのは、そういうもんやし」
「……まじ?」
「ああ、まじや」
それでも俺はからかわれているのだと思ったが……彼が「冗談や」と言い出す気配はまったくなかった。
えーと……俺、ダンスなんかできないぞ?
唐突に告げられた衝撃の事実に、俺の酔いはみるみる醒めていった。
「わかった! ルプス、一気に決めるぞ!」
「承知!」
一面に広がる麦の穂。その一部が、ざわざわと揺れ、相手が迫ってくるのを知らせてくれる。
麦の背はまだ低く、俺の腰ほどの高さしかない。しかしその迫り来るものの体を隠すには十分だった。
俺は剣を手に、姿の見えない敵に対し、構えをとる。
「プキイイイイイイイイ!」
そんな鳴き声とともに麦の間から飛び出したのは、鹿のような獣。
全身を茶と黒の毛皮で覆われ、羊のように丸まった角を持つ獣だった。
組合で俺達が受けたのは、この獣の討伐依頼である。ここ――ダオスタ近郊の庄園で農作物が獣に食い荒らされているので狩ってほしいという内容だった。
依頼書によれば、この獣の名は黒紋鹿。
この地域に時折出没する害獣だそうだ。
黒紋鹿は敵を見つけると、トレードマークとも言えるその角を向けて突進してくる。角は鋭く尖っていて、運が悪ければ一撃で致命傷になりかねないという。
俺は冷静にその黒紋鹿の動きを目で追いながら、頭部めがけて横薙ぎに剣を振るう。
黒紋鹿は走る勢いのまま地面に倒れ、動きを止めた。
「やったな、アラン! えーと、これで三体目やな。依頼書には確か全部で――」
近づいてきたカサシスが、足元の黒紋鹿を見ながら言う。
「ああ、全部で十体はいる、って書いてあったね」
「そやったな。んじゃ、どんどん狩るで!」
「はいはい。……って、そういえば、グイとターブはどこに行ったんだ?」
俺は周囲を見回した。さっきまで近くにいたはずなのに、いつの間にかいなくなっていた。
幻術をはじめ魔法が使えるターブと、剣闘大会で優勝をかっさらったグイの二人だから、仮に黒紋鹿に遭遇していても危険はないと思うけど……やっぱりちょっと心配だ。
「……グイ達なら、依頼主の家でお菓子を食べてくると言っていたぞ」
ルプスがそんなことを告げる。
ああ、あの二人なら冒険よりお菓子に惹かれても不思議はないな。
……まあいいか。今回の依頼は、このメンバーで達成できそうだし。
「よし、じゃあ俺達だけで残りも片付けちゃおう」
俺が言うと、カサシスとルプスが同時に頷いた。
すでに辺りは暗い。
適度な疲労感を覚えつつ、俺は皆とともに冒険者組合に戻るところだった。
「いやー、けっこう疲れた。すっかり遅くなってしもたな」
疲れたと言いながら、カサシスの表情は晴れやかだ。
「意外と時間がかかったね。でもまあ、達成できてよかったよ」
「当たり前やろ、俺達やで?」
「はいはい」
出発前に受付のお姉さんから聞いた話では、今回の依頼は、普通だと罠を張ったり待ち伏せしたりする必要があるらしかった。一日で終わるものではないということだ。
でも、俺の「索敵の術」を使えば敵の居場所は簡単にわかる。だから罠や待ち伏せは不要だった。
それでも実際に何体いるのかわからなかったので、念のためじっくりと周辺一帯を索敵して回ったために日暮れまでかかってしまったのである。
ちなみにグイとターブは結局最後まで討伐には参加しなかった。俺達が敵を探して麦畑を走り回っていた頃、二人は依頼主の家でお菓子とお茶をご馳走になり、家の中を見物させてもらい、果てはふかふかのソファで少し遅めの昼寝まで楽しんだそうだ。
まったく……でも、いかにも無邪気な二人らしくて、俺は彼らの話を聞いて怒るどころか、笑ってしまった。
「さ、帰ってきたで」
少し遠くに、明かりを灯した冒険者組合の建物が見える。
「うん。……とりあえず、腹へったなあ」
俺はお腹をさすった。討伐の合間に口にしたのは、簡単な携行食だけだ。もう腹ペコである。
「そうやな、俺も早いとこ食いたいわ……んじゃ、組合の食堂でどうや?」
ああ、あの食堂か。
「そうだね、そうしよっか」
「よし、決まりやな!」
「皆、それでいいか?」
「問題ない」
「グイもいいぞ!」
「どんなものが食べられるか楽しみだね、アラン」
「オーケー。じゃ、依頼達成の報告を済ませたら、食堂で夕飯だ」
冒険者の集う食堂……ターブの言うとおり、どんな料理が出るのかな?
って、グイとターブ、たんまりお菓子とお茶をたいらげたって言ってたのに、もう腹へってるのか……。
†
受付で依頼報告を終えた俺達は、さっそく食堂に向かった。
昼間の閑散とした雰囲気とは打って変わって、冒険者達でひしめいている。
客達の笑い声や店員が指示を飛ばし合う声、中央の小さなステージで芸人が奏でる音楽など、空間は様々な音で溢れている。
俺達五人も、その中に加わっていた。
「おっ! 姉ちゃん、追加でこのミラーシ豚の香草焼きと、野菜とココッタ鳥のゴルファント風炒めってのな」
「はーい! 少々お待ちください!」
カサシスが、大きな声で店員の女性に注文をする。
「おいカサシス、ちょっと頼みすぎじゃないか?」
俺達のテーブルには隙間なく皿やコップが置かれていて、大半はまだ残っている。
「ええやん、ええやん。だってこんなに安いんやで? 全部頼んだって大したことないやろ。そや、そうしよ、店のメニュー端から端まで注文したる!」
わけのわからない意気込みを見せるカサシス。彼はテーブルの上の食事にひととおり手をつけるものの、決して全部は食べない。ちょっとずつつまむという感じだ。贅沢な食べ方である。
そんなわけで彼のオーダーした料理は大量に残っており、しかたないので俺を含む残りのメンバーでがんばって減らしている……のだが、俺達だってそれぞれ個別に食べたいものを注文しているから、正直カサシスの分までフォローするのは辛い。
というかそもそも、どの料理も、量がハンパじゃない。さすが、体が資本の冒険者専用食堂である。
何となく粗野なイメージのある冒険者組合の食堂だから……とあまり期待していなかったものの、味も盛り付けも意外なほどよかった。ただ、これだけ大量だと、正直見ているだけで胸焼けがしてくる。
これほどたくさん注文する人はさすがに珍しいようで、周囲のテーブルからの視線が痛い。
彼らのテーブルにはさほど料理が載っていない、というか、常識的な量があるだけだ。
でも、本当は俺達みたいにたくさん頼みたいのに、お金がなくてそれができない、という冒険者もいるようだった。というのも、露骨に物欲しそうな顔を向けてくる人がけっこういたのである。
「なあ、カサシス。やっぱり俺達だけじゃ食べられそうにないよ。だからさ、周りの人達に手伝ってもらわないか?」
俺の提案に、仲間達から援護射撃が飛ぶ。
「……我々だけでは、これ以上は無理だ」
「グイもお腹いっぱいだぞ」
「アランの言うとおりだよ、カサシス」
これに対し、カサシスは目をぱちくりさせた。
「ん? 食べられへんなら、残せばいいんとちゃう? 俺はそのつもりやで」
え?
「いやいやいや、それはもったいないだろ。少しならしょうがないけど、こんなに頼んでおいてさ……って、まだ頼むのか!」
俺の話も聞かずに、カサシスはまた店員に追加の注文を告げる。本気で店のメニュー全部頼むつもりらしい。
それにしても……さも当然のように「残せばいい」と言ってのけるカサシスに、価値観の違いを実感させられる。
彼が気のいい男だとわかってはいるが、やはり帝国の名家の息子だ。食べられないなら残す、飽きたら捨てる、といった贅沢な生活が当たり前になっているのだろう。
俺も貴族ではあるものの、前世での日本人的「もったいない」精神が染みついているので、どちらかと言うと質素倹約なタイプだ。だから彼のこうした言動はちょっと理解できない。
追加注文を終えて食事に戻るカサシスに、俺はもったいない精神を滔々と説明した。
でも、彼はこの考え方を理解できない、と言った。
「けどさ、カサシス。他の客達の中には満足に食べられない人もいるみたいだし、分けてあげたら喜ぶんじゃないかな? かわいそうじゃないか、満腹になれないまま帰らなきゃいけないなんて」
「んん? 何を言うとんのや? だったらそいつら、腹いっぱいになるまで自分で注文すりゃええだけやろ」
いやいや……たぶんお金がなくてそれができないから、彼らは俺達にうらやましそうな視線を向けてくるんじゃないか?
俺はそう反論しようとしたが、わかってもらえない気がして言葉を呑み込んだ。
「しっかし、アランも貴族のくせに変なこと言いよるねんなー。そのよくわからん『もったいない』っての、たぶん俺じゃなくて他の貴族連中だって理解できんと思うわ。そもそもそんなん考えて何の意味があるん? 時間のムダやないか?」
好き勝手にそんなことを喋るカサシスに、俺はちょっとムカついた。
……いいだろう。こうなったら、何が何でもわからせてやろうじゃないか。
俺は身を乗り出してカサシスに顔を近づける。
「なあ、カサシス。ちょっと聞いてくれ。俺達は今テーブルに載りきらないほどの料理を注文したわけだけど……もし全部食べきれなかったら、俺達の金がムダになるだろ」
いくらここの料理が安いといっても、カサシスがオーダーした量は尋常じゃない。今日の依頼の報酬額をとっくに超えているはずだ。
「んー、どの皿も一口も食べてないわけやないから、別にムダにはならないんちゃう?」
「そうか。でも、この料理を作ってくれた人の手間がムダになる」
「だから、どれも少しは食べたんやから、別にムダにはなってないやん」
「じゃあ、食材は? 残したら、その分だけ食材がムダになるよな」
「え、その、食べたんやから……」
「食材と言えば、これらを卸してくれた商人の手間もムダになるね」
「しょ、商人? いや、だからな、食べたんやから……」
「たとえば野菜や米だったら、商人は農家から調達するわけだろ。カサシスが残したら、その農家の、作物を育てた手間もムダになる」
「おい、アラン……?」
「今カサシスが食べてるその肉、もしかしたらここの冒険者の誰かが狩ってきた獣のものかもね。だとすると、その人の苦労もムダになるわけだ」
「……アランくーん?」
目が点になるカサシス。俺の口撃は続く。
「それ、香草焼きだよな? そこに使われてる香辛料、遠方から取り寄せたものかもしれない。その場合、運搬に関わった人達の手間と費用も――」
「なあアラン、俺の声、聞こえとる?」
「うん」
「じゃあ、ちょっと話止めて俺の言い分も聞いてや?」
「聞かない」
「えぇー」
「カサシス。お前さっき言ったよな? 食べられないなら、残せばいいって」
一瞬、何か反論しようとして口ごもり……カサシスは渋々頷く。
「ま、まあ……そやな、言ったな」
「それ、砂漠の真ん中でも言えるか? 携行食も水場もない状況でも、同じことが言えるのか? ちょっとだけ食べて、残りを捨てられるのか?」
「……いや、砂漠なんて、そう行かへんし」
「屁理屈言うな。捨てられないだろ? 腐ったわけじゃなくてまだ食べられるものなんだから、捨てたらダメだよな? もったいないっていうのはそういうことなんだよ」
「……わかった。アラン、わかったから」
「本当にわかってるか? 念のため、別のたとえで――」
「も、もう大丈夫や! アラン、俺はもったいないっちゅう言葉の意味がじゅーぶん理解できたで! ほんまや、ほんま!」
勢いよく立ち上がったカサシスがそう言って大きく頷く。
「……そうか? わかったなら、いいけど」
首を縦に振り続けるカサシス。
ようやくわかってくれたか……俺は満足して、前のめりになっていた体をイスの背もたれに預け、テーブルの上のジュースに口をつけた。
非常にいい味でさっきから食事の合間に飲んでいるのだが、どうも体が熱くなっている気がする。カサシス相手に長々と話をしてしまったのも、よく考えたら俺にしては変だ。
うーん……このジュース、何か入っているのか? まあいいか。おいしいし、どんどん杯が進むから。
俺は大きなコップに入ったその飲み物をごくごく喉に流し込む。体温がさらに上がり、気分が高揚してくる。
「……ったく、酒を飲ませたのは失敗やったな……」
カサシスがそんなことを呟いたように思えた。でも、どういうわけか今の俺には気にならなかった。
「というわけで、そこの人達」
俺は隣の席にいる、四人組の男達に話しかける。
「お、おう? 俺達か?」
まごつきながら、彼らの一人が答える。四人とも表情が硬い。
俺とカサシスが貴族だから気後れしているのかもしれない。俺達二人の正体はもう皆知っているだろうからな。
いや、もしかしたら、めったやたらに料理を注文しているこちらに圧倒されているだけかもしれないが。俺は言葉を続ける。
「もしよかったら、こっちの料理、食べてくれないか? ちょっとたくさん頼みすぎちゃって」
四人は一瞬ポカンとしたあと、互いに顔を見合わせた。それから俺達のテーブルを覗き込んで目を輝かせ、今度は全員で大きく頷き合った。
「い、いいのか?」
「もちろん。な、カサシス?」
俺の確認に、彼は「あ、当たり前や。もったいない、もんな」と答える。
それを聞いて四人の冒険者は喜び、俺達のテーブルに移ってきて、はじめは遠慮がちに、やがて勢いよく料理を口にしていった。
俺は他の席の冒険者にも声をかける。
「俺達も、ほ、本当に、いいのか!?」
「おお、天の助けだ!」
気づけば十人以上の冒険者が、俺達のテーブルを囲んで料理に手を伸ばしている。皆、たらふく食べることができるとわかって嬉しそうだ。
声をかけてよかった……と思っていると、俺の横で肉をがっついていた男性が、向かいの冒険者に言った。
「でも、さっきの話はタメになったよな」
「ああ? 何の話だ?」
男性は俺を手で示しながら、話を続ける。
「ああ? お前、聞いてなかったのか? さっき、このアラン様がな、すげえいいことをおっしゃってたんだよ。えーと、確か……もったいない、とか」
「もったいない? 何だそりゃ?」
なぜか、俺がカサシスに語ったもったいない精神が、彼らの間で話題となっていた。
「……というわけなんだよ。どうだ? 素晴らしい考え方じゃねえか、もったいないってのはよ」
説明を聞いた向かいの冒険者は、大きく頷き、いきなり俺に向かって拍手を始めた。
「さすがアラン様! あの英雄、ヤン様のご子息だ!」
俺の隣の彼も同意する。
「ああ、違えねえや! それによ、カサシス様の、この豪快な注文っぷりもすげえよな! さすがは帝国が誇るサージカント家のご子息だぜ! なあ、そうだろ、みんな!」
その呼びかけに、夢中で料理を貪っていた他の冒険者達も顔を上げる。
そして誰からともなく、盃を高く掲げ始めた。
「お二人に、乾杯!」
「乾杯!」
「乾杯だー!」
気づけば、俺達のテーブル以外の客までもが、飲み物片手に集まっていた。
グイ、ターブ、ルプスも、それぞれ名も知らぬ冒険者達に囲まれて、楽しそうに盃を打ち合わせている。ちなみに三人とも中身はジュースだ。グイは年齢を、獣人のルプスは一応俺の奴隷兼護衛という立場を考慮して、そうしてもらった。ターブは実年齢は不明なのだが、見た目がグイと同じく子供なので、ここでは酒は遠慮してくれている。
で、カサシスは――。
「よっしゃ、もういっちょやるでー! かんぱーい!」
しこたま酒を食らって、これ以上ないほど上機嫌である。
まったく、いったい何杯飲んだんだ?
「お前ら、まだまだいけるやろ? どんどん頼めよ! 今夜は全部、俺のおごりや!」
しまいにはそんな宣言をぶち上げるカサシス。
食堂が、冒険者達の歓声で大きく揺れ――店をあげての大宴会へとなだれ込んだ。
無礼講の様相を呈し始める食堂内。
俺も、カサシスや皆と肩を組んで酒を飲み交わす。
いいなあ、無骨な冒険者達のどんちゃん騒ぎ。
やがて、誰かが歌い出した。
いつの間にか舞台から降りて宴会の輪に溶け込んでいた芸人が、歌に合わせて楽器を奏でる。
皆が知っている曲のようで、次々に歌に加わっていく冒険者達。
ほどなくして、それは店中を巻き込む合唱となった。
俺は盃を傾けて、彼らの歌に聴き入る。
『故郷はもう遠く、神が住まうと言われた山さえ見えない。
霧の中を進み、影を追ってただ探した。
地の底に眠る都市。
森の奥の雅な都。
川を渡り、山を越え、森を切り開き、ただひたすらに。
岩の上、靴が磨り減っても、俺の心は磨り減りはしない。
森の奥、愛しい女が縫ってくれた服が破けても、俺の心は破けはしない。
その先に、俺の求めるものがあるかぎり。
その先に、俺の信じるものがあるかぎり。
決して歩みを止めはしない。
歩みを止めはしない。
たとえ死の牙が待っているとしても。
俺を止められやしない。
止められやしない』
それは、冒険者の男の心情を歌ったものだった。
歌詞に込められているのは、男の悲しみ、そして覚悟だ。
若かりし日、冒険者としての成功を夢見て、大切な人を残し飛び出した故郷。しかし長く厳しい旅路を行くうち、望郷の念は膨らんでいく。それでもひたすら旅を続けるが、夢の終わりはまだ見えない。だが、道半ばで引き返すことなどできはしない。だから自分に言い聞かせる。何ものにも俺を止めることはできないと。そうして、果てのない道を突き進む……そんな冒険者の悲壮な決意が、俺の心を震わせる。
俺も、もう引き返すことはできない。自分の故郷――日本には帰れない。
かつて当たり前に目にしたあの頃の景色を、再び見ることはないだろう。
「そういや、アラン」
「んー……?」
物思いに耽っていた俺の耳に、カサシスの声が聞こえてきた。気づけば俺の肩に腕を載せている。
「パーティーは大丈夫なんか?」
「……? パーティー……?」
頷くカサシス。
「ほれ、剣闘大会の慰労パーティーや。たぶん踊ることになるで。ああいう場に踊りは付き物やからな。で、アラン。お前、踊りは自信あるか?」
「ええ? 踊り? そういうのは、俺達出場者はやらなくていいんじゃないのか?」
「平民の場合は、な。けど俺らは貴族やで。絶対、周りの連中がほっとかんて」
「……何で?」
「いや、何でって言われても……貴族の参加するパーティーっつうのは、そういうもんやし」
「……まじ?」
「ああ、まじや」
それでも俺はからかわれているのだと思ったが……彼が「冗談や」と言い出す気配はまったくなかった。
えーと……俺、ダンスなんかできないぞ?
唐突に告げられた衝撃の事実に、俺の酔いはみるみる醒めていった。
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