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3.ファンが出来ました。
しおりを挟む藍月side
俺達が駆け出しアイドルを始めた日、俺達の初ライブに足を止めてくれた人がいた。
その人は立ち去ることなくずっと見ていてくれた。嬉しくなってついつい声をかける。
「あの…俺等のライブ見てくださってありがとうございました。それでその、また月曜にやるので良かったらまた来てくださいね!」
俺が急に声をかけたから、吃驚したように走っていってしまった。
やってしまった感でいっぱいになる。もう来てくれないかな…。
「藍月、何やってる!片付け手伝え。」
「うん…ごめん理人」
「藍ちゃんどしたの?なんで、へこんでんのさ?」
「もえぎ~!さっき見ててくれた人に声かけたら走ってどっか行っちゃった…」
「あらら~笑、でもきっと大丈夫だよー!」
次の時ドキドキしながら向かうと、彼はそこに居てくれた。安堵と嬉しさで、ゆるゆるの頬を引き締めて頑張ってパフォーマンスする。端っこで見ている彼にも届くくらい、いっぱいの感謝を込めて歌う。
声をかけたかったけれど、また逃げられちゃったら心が折れそうなのでやめておいた。
「alfalfaです!よろしくお願いします!俺はリーダーの藍月(あいる)です!名前だけでも覚えていってください!」
もえぎと理人も自己紹介して、少し雑談を挟みつつ歌に入る。人は少ないけど、それでも見てくれている人がいる。それだけで頑張れるというものだ。俺が自信を持っているのはダンスの方だったから、必死に練習したし、少しは上手くなってきたと思う。
見てくれる人も二回目のライブには少し増えていた。この間の彼は、俺をずっと見ていてくれた。今日はCDを売る予定があったから、短かったけれど、ずっと見ていてくれた。
CD販売に移行すると、10数人が買ってくれる。SNSで拡散した甲斐があったな。その中に彼もいて、2枚も買ってくれた。握手の権利は俺にしてくれるみたいで、俺と一度握手をして帰っていった。
「もえぎ、理人俺頑張る!」
「は?俺らも頑張るけど?」
「うんうん、頑張るよー!」
「この間の彼、来てくれたんだ!それに握手もしてくれたし!えへへー」
「あ~ヘコんでたもんね!」
「ああ、あれか。よかったな」
「うん!うれしいなー」
緩んだ顔の俺を見て理人は少し呆れたような視線を寄越すけれど、今の俺には気にならないもんね!
それからのライブにもずっと顔を出してくれて、SNSを始めればフォローしてコメントやいいねをくれたし、積極的に拡散もしてくれた。
SNSでなぜ彼だとわかったのかといえば、グッズの写真を上げてくれていたので、そこに写っている手を見てわかった。
彼の手には、ハートのようなホクロがあったから、初めて握手したときに印象的で覚えていた。
「理人ー!今日は俺、シバさんからコメント来たよ!」
「わかったわかった、よかったな。」
「うん!」
「おい、また顔緩んでんぞ」
「だって嬉しくて」
「ホントだねー藍ちゃんってば、にやにやしてるね」
「だらしない顔してないで、もとに戻せ」
「はーい!」
「「はぁ…」」
返事をしながらも緩みっぱなしの俺に、ため息が聞こえてくる。
応援してくれる人がいる、というのは俺にとってとても嬉しいことだった。最初からずっと俺達を見てくれているシバさんに、ずっとファンで居てもらえるように、もっと頑張ろう。
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