推しアイドルに認知されてました!

おーか

文字の大きさ
44 / 104

43.また、ファンと推しに戻りましょう。

しおりを挟む


藍月くんの家を飛び出したあと、何をするでもなく、街を無駄に歩き回ったりして、日が暮れて疲れたなと感じて、やっと家に戻った。

藍月くんの家を出たのは昼前だったから随分と時間を無駄にしてしまった。本当なら、動画を見たり、CDを聞いたりして過ごすつもりだった。

けれど、それらはすべて藍月くんを思い起こさせるものばかりで、動揺したままの状態で行う気にはならなかった。

「お腹減った…」

家には食べられそうなものは、食パンくらいしかなかった。それでも無いよりはマシだろう。適当にトースターで焼いて食べ始める。一口食べると、忘れていた食欲が戻ってきたようで、がっつくように食べすすめた。

食欲が満たされて、少しは考えられるようになった頭で、これからのことを考える。

…藍月くんのことは好きだ…。だからといって、応えられるかと言われれば、答えはNOだろう。あー…神谷さんにも言ったほうがいいのかな…?いや、藍月くんが言うかな…。

そういえば、撮影の報酬、藍月くんから受け取ってくれって言われてたな…。まぁ…報酬は貰えなくてもいい。

俺が藍月くんに会わない決断をするのは早かった。おそらく藍月くんも忙しいし、俺に会いに来る余裕などないと思う。

俺の方から行かなければ、会わなくても済むだろう。距離をおいたらきっと藍月くんだって気のせいだったって気付いてくれる。

あんなに格好良くて、あんなにキラキラしてて、性格まで良い藍月くんみたいな子が俺の事好きになるなんて、可笑しいもんな。

藍月くんが、俺を揶揄ったり、弄んだりするために、冗談で告白したのではないとわかっていた。真剣に言ってくれているとわかった上で、それでも、怖かった。

ファンの立場でありながら、藍月くんを奪ってしまうことが。藍月くんが好きだと勘違いしているだけかもしれない。そんな考えが頭から消えない。

(藍月:リンさん、ちゃんと会って話したいです。時間貰えませんか?)

(臨也:ごめん、暫くは忙しくなりそうで時間取れない。)

(藍月:わかりました…時間あるときまた連絡くれると嬉しいです。また連絡します。)


忙しくなる、なんて嘘だった。本当は会いたくてたまらない。自分の頬に流れる涙を無視して、藍月くんに断りの言葉を返した。

ごめん…藍月くん…。

自分の選択が正しかったのかわからない。そもそも最初から間違っていた気もする。藍月くんが会いたいと言ってくれて、プライベートで会ってしまった時から…ずっと俺は間違っていた。

それでもずるずると関係を引き伸ばしたのは、自分の為だ。藍月くんに会いたくて、藍月くんも会いたいと言ってくれて…だから…

言い訳にもならない…。こんな事になる前に、関係を断っておくべきだったのに。

ファンとアイドルというには、近づきすぎてしまった距離をまた適切な距離にするだけ…。

それがこんなにも辛くなるなんてな…。自業自得だな…。





_______________
お気に入り、感想、ブックマークなどありがとうございますm(_ _)m
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

処理中です...