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副総長×平凡9
しおりを挟むそのまま俺の案内で秋夜さんの家に辿り着く。来てしまった。部屋に入るまで送る、に含まれるらしく、藍くんに見られながらインターホンを押す。すぐに秋夜さんの声が聞こえる。
「開けたから入りな。藍も」
「はい」
「藍くん…やっぱり帰りたいかも…」
「無理、俺が佐久間さんにボコされる。」
「…秋夜さん、そんなことしないよ。」
「お前の前では、な。あの人は、怖いところなんてお前に見せる気はないんだろ。」
「うーん…なんであんなに甘やかされてるんだろ…」
「さぁな。お前のこと気に入ってるんじゃないの?今まで人を側に置こうとしなかったし」
「そうなんだ。会ったばっかりだし…あんまり秋夜さんのことちゃんと分かってないから。これからも色々聞かせてくれる?」
「別に良いけど、佐久間さんに直接聞けば?」
「聞いても誤魔化されそうじゃない?」
「そもそも会話してくれるのが珍しいくらいだぞ。お前は特別なんだろ。」
「最初会った時にも茜くん達も普通に話してたよね?」
「…あれは、状況が状況だったしな。それに、一応一般生徒には絡むなって言ってるのって佐久間さんだからな。お前が居たからじゃないか?」
「一般生徒には優しいってこと?」
「そうでもねぇけど、迷惑かけんなってだけだろ。だから一応喋ってくれたんだろ。」
「でもシャワーとか手配してたし…。」
「身内にもそれなりに優しいってだけだな。」
「…そうなんだ…」
ますますわからなくなったか秋夜さんがどんな人なのか。もっとちゃんと秋夜さんのことを知りたい。
着いた。ドアのインターホンを鳴らすことを躊躇っていると、内側からガチャリとドアが開けられる。
「なにやってんの?香夜さっさと入りな。藍も」
「はい」
「お邪魔します。」
「ん、おかえり香夜」
「ただいま秋夜さん」
緊張していたけど、秋夜さんは普段通りに迎え入れた。ドキドキはしてるけど、俺も少し緊張しすぎてたかもしれない。
「香夜、座ってな。藍はこっちな?」
「はい」
「秋夜さん、ご飯どうしますか?」
「ん、作って、何作るかは任せる。」
「藍くんも食べてく?」
「俺は、茜待ってるから帰るわ。」
「確かにそうだよね。じゃあまた今度。」
「今度とか無いけど?香夜のご飯食べるのは俺だけでいいから。」
「秋夜さん、心狭いです!」
「なんと言われても譲らない。」
「そんなに俺のご飯好きなんですか?秋夜さんの食べれる量が減らないように作りますから!」
「そういう問題じゃないし。ともかく俺だけ、ね?」
そう言って顔を寄せて微笑まれれば勝手に身体が頷く。ずるい…。俺が秋夜さんの顔に弱いのわかっててやってる。
藍くんと別の部屋に行って話すらしい。俺は俺でご飯を作り始める。秋夜さんたちなに話してるんだろ?ちょっと気になるなー。でも覗きに行ったら絶対バレる。あの二人鋭そうだし。
______________
「藍報告して」
「はい、如月については、取り敢えず敬語使わせない程度には仲良くなれたと思います。茜にも話してます。」
「それで?送ってきた時は?」
「つけられてました。多分アイツらです。」
「やっぱりバレてるか…面倒くさいな。藍と茜で守ってやって。」
「はい」
「ん、出来るだけ学校でも離れるな。」
「はい…あの、如月となんかあったんですか?」
「香夜がなんか言ってた?まぁ、あったにはあった…けどお前には関係ない。だから余計なことするなよ。」
「…はい」
「取り敢えず今日はもう帰っていいぞ。なんか動きありそうだったら連絡入れろ。あと、香夜が俺のことでなんか言ってたら報告な?」
「はい」
______________
「あ、話終わったんですか?ちょうどご飯出来ましたよ。」
「終わったよ。取り敢えず、香夜一人で居るの禁止な。藍か茜に一緒に居てもらえ。それか、俺のところおいで。」
「!?俺そんなに危ないんですか?」
「危ないよ。今日だってつけられてる。」
「ホントに!?全く気付かなかった…。ちょっと怖くなってきたかも…」
「だから藍と茜に頼んでるから。俺の側にいるならそれでも良いけど。」
あんまり危機感はなかったけど秋夜さんのお気に入りってそんなに狙われるんだ。でも、知らないところで既に守られてたんだな。
「佐久間さんにお気に入りが出来たことなんかなかったからな。それもあるかもな。取り敢えず、俺と茜がついてるようにする。」
「うん、ありがと」
「じゃあ帰るわ。また明日な。」
「うん、また明日!」
藍くんが帰って行って二人きりになる。改めて意識してしまうと、昼のことを思い出す。好きをあげると言われたこと。側にいてと迫られたこと。
「香夜?どうした?」
「あ…えっと、大丈夫デス」
「ふふっははっ大丈夫なの?」
「ふぁい」
「ふはは、ははっ笑わせんな」
「もう!笑いすぎです。ご飯冷めちゃいますよ?」
「ふー…はいはい。食べよっか。いただきます。」
「いただきます!」
「ん、今日も美味しい。けどインゲンはいらないから香夜にあげる。」
「好き嫌いは駄目です!食べないなら、今日は抱き枕無しです!」
「……わかったよ…食べる…」
すっごい嫌そうな顔して口に入れてすぐにお茶で流し込むように飲み込んでいた。1個食べたのであとは許してあげることにして、自分の皿にインゲンを移す。
これって間接キス…いや、いやいや大丈夫!直接じゃないもん…でも秋夜さんが食べてたところからもってきて…顔熱くなってきた。
「間接キス…だね?」
にやにやすんな!もう!カッコイイ顔にその表情が似合いすぎる…からかわれてる…。
「ち、違います!」
「直接キスしてみる?」
「??……それってただのキスじゃないですか!!しません!!」
「なんで?両思いだしいいじゃん。」
「俺の片想いです!秋夜さんのバカ!意地悪!」
「香夜のほうが馬鹿だよ。俺が好きだって言っても信じてくれないし…。悲しい…。」
萎れた態度をしているけど、秋夜さんはこちらを伺っている。つまり、これは本気ではない。からかわれてる、と判断する。
「俺の方が悲しいです。俺は本気なのに、弄ばれてます。」
「なんでそう思うの?俺だって本気なのにさ。決めつけないで、ちゃんと俺を見て。」
「見てるつもりです。でも、俺は自分に自信ないし、好かれる要素も見当たらないような人間なんですよ。だから…」
チュッ
き…す、された。なんで…いやまだ顔近いって。下がろうとする俺の頭の後ろに秋夜さんの手が回る。動けない…。力強い。
「もういい。黙っとけ。俺の香夜のこと悪く言わないでよ。お前自身でもダメ」
「は、はい。」
「また言ったら、また俺が口ふさいであげる。嬉しい?」
「だ、駄目です…もう言いません!」
「そう?ざんねーん。」
「ばか!」
初めてのキス…突然のこと過ぎてあんまりよくわからないまま終わったけど。柔らかくて、暖かかった。
胸のドキドキが全然鎮まらない。取り敢えず秋夜さんから離れて、皿洗いに徹する。一旦落ち着きたい。と、集中していたら、いつの間にか後ろにいた秋夜さんに抱き締められる。
「うにゃあ!!」
「ふふふ、あはは!ホントに可愛いね?」
耳元で囁くように話される。もう身体がガッチガチに固まる。
「ん?大丈夫?香夜、紅茶飲むって聞こうと思ったんだけど。」
「飲みます!もう答えたんでさっさと離れてください!」
「えー、もうちょっと…こうしてると眠くなる。」
からかわれてるんだか、ホントに好かれてるのかわからなくなってくる。秋夜さんの言うことは本心な気もする。けれど、もしそうでなかったら?ただの勘違い野郎になってしまう…。
あーもう!考えても考えてもわからない。
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