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やる事もなかったため、レイラを誘って寮の食堂で夕食をとって早々に眠りについた。乗ればギシギシと軋むようなベッドで就寝したものの、実家でも似たようなものだったから全然平気だったわ。

「ふぁ~…んー!いい朝ね。」

「あ、おはようございます。」

レイラも既に起きていたらしく、私が伸びをしつつ起き上がると挨拶が聞こえた。そちらを見れば、かなり使い込まれているのが分かる教本を開いて机に向かっている姿があった。

「おはよう、レイラ。あら、勉強していたのね。」

「あ、はい…頑張らないと成績優秀者としての授業料免除を剥奪されてしまうので…」

「そう…そうね、私も頑張らないといけないわ。レイラはとても努力家なのね!」

頑張らないと…本当にね!私の成績ってきっとこの学園で最底辺よ。だって今までろくに勉強してきてないんだもの!なんとか基礎は詰め込んで貰ったし、前世チートで数学はそれなりだけれどね。授業には刺繍もあるというから、それは問題なく出来るでしょうけれどね。

それでも国の歴史だとか、古典だとか…そんなの覚えきれなかったもの…。他の貴族は幼い頃から詰め込まれる事を今から学んだとてまだまだ追いつける筈も無いでしょうし。

その基礎もチートも何もないのにこの学園に成績優秀者として入学しているレイラは本当に凄いと思う。尊敬するわ。

「あ、ありがとうございます!」

「ふふっ私実は昨日レイラが来てくれてとても嬉しかったのよ。この部屋を使うのは私一人だと思っていたから。仲間だって!…まぁレイラは頭が良いようだし、良ければ勉強を教えてもらえないか、なんて下心もあったのだけれど…」

「ふふっウェンディ様は正直な方ですね。」

「っ!!笑ったわね?昨日からずっと笑わなかったから、私…嫌われていると思っていたわ。」

「そ、そんなことは…!貴族だと知って少し警戒…いえ、緊張していて…」

「あはは!レイラも正直ね?」

「す、すみません!」

「いいのよ、大丈夫。私と二人の時は自由に話してくださって構わないわ。」

正直に言って貴族の知り合いなんか居やしないもの。そもそもこの学園で話すのなんてまだレイラだけよ。今日から学園に通うことになっているけれど、不安で一杯よ。

「ありがとうございます。じゃあ少しずつ…普通に話せるように頑張りますね。」

「ええ、是非そうして!」

「ふふっ私もウェンディ様と同室で良かったです。」

「あら!嬉しい事を言ってくれるのね。」

「…私…この学園でやっていく自信が無かったんです。私にあるのは学力だけですから。直ぐに目を付けられて虐げられて辞めるかも…なんて考えていたんです。でも…たった一日でも良く分かりました。ウェンディ様は、身分なんて関係なく私自身を見てくれる。こんな人が居てくれるなら頑張れるかもって、そう思いました。」

平民が貴族だらけの学園で過ごす事がどれほどのリスクがあるのか。

第三王子殿下が入学パーティーで仰っていたようにこの学園では身分関係なく平等と言われている。だからといって権力を振りかざす輩はどこにでも居るものだ。レイラは…そんな環境に平民として、後ろ盾も無く、たった一人で頑張ろうとしていたのか…。

落ちぶれているとはいえ私の家格は伯爵令嬢。何かあればきっと力になってみせるわ。

「レイラ、何かあったら言ってね?きっと力になるわ。」

「ふふっありがとうございます。」






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