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しおりを挟む今日のために準備してきたシェミー様へのお礼を持参して、剣術の授業へ向かう。全然剣術は上達していないけれど、今日からは実戦的な剣術が始まるのよね。試合形式で練習をすると聞いている。
女子は私とシェミー様だけなので、シェミー様にお相手をお願いすることになる。実力差は歴然だけれどね…。シェミー様にとっては練習にならないのではないかしら?と思っているのだけれど、シェミー様は気にしていないみたいだった。
シェミー様が本気を出したところは見たことがないけれど、聞いたところによると大人の騎士相手にも引けを取らないそうだ。今も素振りをしているだけでも、私とは全然違って無駄のない動きをしているのがわかる。早く来ていたから素振りをしていたみたいだわ。
邪魔をしてしまうかもしれないけれど、逆に声をかけないのも良くないわよね。
「シェミー様、ご機嫌麗しゅう。」
「あら、ウェンディ、ご機嫌よう。遅かったわね。」
「ええ、カレルと話していたら遅れてしまいましたわ。」
「そうだったの。」
「それと、先日の贈り物大変嬉しく思います。ありがとうございました。」
「ふふっ喜んでくれて良かったわ。」
「そのお礼といたしまして、受け取って頂きたいものがありますわ。」
「私、もらってばかりだわ。良いのかしら?」
「こちらこそ、もらってばかりですわ。」
「ふふっお互い様ね。」
「ええ!そうですわね!」
「そうだわ、どんな物をお願いするか決めたわ!あとで聞いてくれるかしら?」
「勿論でございますわ!」
剣術の先生もやってきて、生徒たちは先生の前に並び立つ。私もシェミー様と一緒に列の端に並んだ。
「先日から伝えていたとおり、今日からは試合形式での剣術指導を行う。二人でペアを組むように。」
「「「「「「はい」」」」」」
「ウェンディ、よろしくね?」
「はい、よろしくお願い致しますシェミー様」
それからシェミー様と剣を交えたのだけれど…まぁ惨敗よね。避けて逃げるので精一杯よ。剣を交えれば、簡単に剣を手から弾き飛ばされる。そんなことを幾度か繰り返す。アドバイスを頂いて、少しずつ良くなってきたと思うけれど。
「シェミー嬢、手合わせ願えるか?」
「あらネスト、構わなくてよ。ウェンディ、少し待っていてくれるかしら?」
「はい。」
「邪魔をしてすまない。俺はネスト・ベルメール。シェミー嬢とは共に剣術を習っていた。」
「お初にお目にかかります。ウェンディ・ポーティスです。よろしくお願い致します。」
「ああ、よろしく頼む。」
ネスト・ベルメール。将来有望な騎士候補筆頭だ。剣術の授業でもかなりの腕前を見せている。シェミー様、お知り合いだったのね。一緒に習っていたということは、先生が同じなのだろうけど…こんなにも優秀な二人を育てるなんて凄い人なんでしょうね。
私が相手をつとめていては分からなかったシェミー様の実力は、本当に凄いものだった。力で攻めているネスト様に対して、見事にいなし、素早い動きで翻弄する。結果としてシェミー様は僅差で負けてしまったが、本当に凄いものだったわ。
「シェミー様、お疲れ様でした。」
「ええ、ありがとうウェンディ。負けてしまったわ。」
「ギリギリだったけどな。」
「次は勝つわよ。」
「また次の授業でな。」
「そうね。」
勝ちを拾ったネスト様は次々に試合を申し込まれて、他の生徒たちの相手をしに離れていった。
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