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結局、ヘトヘトになるまでシェミー様の攻撃を避け続け、剣術が終わる頃には汗だくになっていた。汗を流しにシャワーを浴びて、着替えることに決めたわ。そうと決めれば、着替えを持ってシャワールームに向かう。

女子用のシャワールームは空いていて、そもそも体を動かす貴族女性は少ないので使う人はほとんど居ないわ。今日もシェミー様と私くらいのものよ。女子の学生証を翳すことで鍵が開く仕組みになっている。

「さっさと浴びて、お昼ご飯にしましょう。」

「はい!お話聞かせて欲しいです!」

「私も楽しみよ。」

シェミー様の要望は、家紋を入れることと、花柄を使ってほしいということだった。そしてお茶会の際に机を彩るアイテムの一つとして使いたい、とのことだったわ。シェミー様のお茶会に使われるのなら気合を入れて掛からなくては…。

数は20。夏までに、と仰ってくださったけれど、夏まではまだ3ヶ月ある。全力でやれば一週間で作れると思うけれど、余裕を持って頼んでいただけたので、2週間以内くらいを目安に作ろうかしら。軽くデザイン画をいくつか描いて、シェミー様と相談を重ねてデザインや大きさを決定していく。

「…これでお願いしたいわ。」

「はい、とても素敵なデザインだと思いますわ。」

「そうね!今から使うのがとても楽しみだわ!」

「ふふっそんなに楽しみにしていただけるなんて、光栄ですわ。」

「ウェンディの才能は素晴らしいもの!」

「才能あふれるシェミー様に相応しい物を作ってみせますわ!」

「ええ、待っているわ。」

「この間の贈り物のお礼をお持ちしたんです。…これなんですが、受け取って頂けますか?」

「これは…ダリアね?とても素敵だわ。ありがとうウェンディ。」

「こちらこそありがとうございます。」

私達は笑いあって昼食を終えた。そして授業後、勉強の復習も終わらせた私は糸と向かい合っていた。話し合ったとおりのデザインを完成させるために、デザイン画をしっかりと清書して作り始める。夢中になって只管手を動かす。

取り敢えず1枚完成させ、シェミー様に確認をとり、お褒めの言葉を頂けたので続けて同じものを注文数分作っていく。目標としていた2週間以内、9日で完成させる事ができた。

「カレル、完成したわ。あとは貴方に頼めばいいのよね?」

「ええ、早かったですね。」

「ふふっ楽しくてつい、ね。」

「すごく熱中してましたね。少し寂しかったです…。」

拗ねるようにそういうレイラがとても可愛くて、今日は絶対に構い倒すことを決めたわ。今度の休みには街に遊びに行く約束もした。カレルへの納品を終えたので、あとはカレルからシェミー様の手元に届くことになる。そしてそのときにお代を受け取る。私の取り分は売った額の6割。

あとの四割は、カレルの取り分と次の材料費に充てる事になっている。かなり好条件での契約だわ。今回はシェミー様からの注文だったけれど、次からはカレルに見せた見本品の納品をすることになっている。

「それではこちらのカードを。」

「これは?」

「エーガー商会の銀行券です。お金はここに入っていますので。」

「そうなのね。」

「使い方については店に行けば店員が説明しますので。」

「わかったわ。」

「でもなぜ銀行券で?」

「ここは貴族の多い学園とはいえ、現金は危険ですからね。」

「それもそうね…ありがとうカレル。」

「はい、これからの納品もこちらに支払わせて頂く予定ですが、宜しいですか?」

「ええ、大丈夫よ。」






    
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