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10 天道さんのしたいこと 2
しおりを挟む――そうして五分ほど経った頃だった。
「ご主人様、お嬢さまがお待ちですのでどうぞこちらへ」
「へ?」
いきなりそんな声をかけられてびっくりした。
僕に声をかけたお姉さん系のメイドさんはにっこりと微笑みながら……それでいてなんとなくニヤニヤしながら僕を見ている。
「えっと……? お嬢さまがお待ちってどういう意味です?」
「来ればわかりますので。さ、どうぞどうぞ」
お姉さんはもうニヤニヤしているのを隠そうともせず僕を店の奥まで案内する。
そして、ある扉の前に来た。
「ああ、念のために一つだけ」
「はい?」
「基本的に何をなさってもご自由ですが、性的な行為には及ばないようお願いします。当店はそういうお店ではありませんので」
「……はい!?」
目を白黒させている僕にクスクス笑いながらお姉さんは扉を開く。
中は個室になっていて、そこには……。
「お……お帰りなさいませご主人さま!」
メイド服に身を包んだ、天道さんがいた。
「………………」
「な、何かリアクションしてくださいよぅ! これすっごく恥ずかしいんですから!」
「あ、ごめん、えと……なんで?」
最初に出た言葉はそれだった。
「それはですね、この機会に日頃お世話になっているお礼をしようと思いまして」
「お礼?」
お礼と言っても、そんな大したことをした覚えはない。
天道さんとはただ普通に、友達として遊んでいるだけでそんなお礼を言われるようなことは……。
けれど、そうして首を傾げている僕に天道さんはどことなく嬉しそうにくすりと笑った。
「まあ深く考えないでください私がしたいだけなので。とにかく遠野くんはどうか遠慮せず! してほしいこと何でも言ってください!」
「何でも……」
「……はっ!? え、えっちなことは駄目ですからね!?」
「し、しないよそんなこと!」
言えない。ちょっとそういうことも想像したなんて言えない。
「とはいえ、急に言われても……」
実際、突然『なんでもしてあげる』と女子に言われて即座に何か思いつく男子の方が少数派だろう。……エロいことならいくらでも思いつくのは男子の悲しい性だが。
「うーん。それじゃ、このカフェでやってる一番お高いサービスなんてどうですか?」
「一番高いサービス?」
そういえばこのメイドカフェはお金を払うことでメイドさんと遊んだり写真を撮ったりできるんだった。
「そうだね、他に思いつかないしとりあえずそれで」
「わかりました」
天道さんはニコッと笑ってそう言うとおもむろに部屋に置いてあるソファーに深く腰掛けた。
「それでは、どうぞ」
そう言ってポンポンと自分の膝を叩く。
「ど、どうぞって?」
「このお店の一番お高いサービス、ひざまくらしての耳かきですから」
「マジか……」
最初は断ろうと思った。
恋人同士でもない男女がひざまくらで耳かきというのは流石にちょっと……。
――だが、ひざまくらである。
あの柔らかそうなひざを枕にできるのである。
こんな機会、これを逃したら一生ないかもしれない。
……結局、欲望に負けてしまった。
「ふおお……」
横向きになって、天道さんのひざを枕にする。
同年代の女子とここまでふれ合うのは初めてだ。しかも相手はメイド服の天道さん。
想像以上に柔らかい。それになんだかいい匂いがする。
なんか現実離れしすぎていて自分が夢でも見ているんじゃないかって気がしてくる。
「それじゃいきますよー……えいっ!」
「あいたあっ!? ちょっ!? そんないきなり奥まで突っ込まないで!」
「ご、ごめんなさい初めてで勝手がわからなくて! えと……こんな感じです?」
「ん……あ、うん。そういう感じ……」
天道さんはこしこしと、丁寧に耳そうじをしてくれる。
「ん……」
これ、想像以上に気持ちいい。
普通他人に触られるような場所じゃない分敏感なのだろうか、耳の内側をこすられるたびに何かぞわぞわした快感が走る。
「う……く……」
「うふふ、気持ちいいですか? いいんですよ、声出しても……」
天道さんもどこか楽しそうに笑う。
「もっと気持ちよくしてあげますから……」
――マズイ。ちょっと、ムラムラしてきた。
いやだって仕方ないじゃないか耳そうじ気持ちいいし天道さんの太もも柔らかいしいい匂いするしエロゲーのやり過ぎかもしれないけど天道さんなんかエロいこと言い出すし。
「はい。こっちの耳は終わりましたよ。反対向いてください」
「う、うん」
言われた通り反対向きになるけど……状況が悪化した。
すぐそこに、女の子の一番大切な部分があるのだ。
このスカート一枚隔てた向こう側に……どうしてもそんなことを考えてしまう。
それに、フェロモンというやつだろうか? 先程から感じていたいい匂いがますます強くなって……。
「ふふ♪ 溜まってますね~♪」
――マズイ。落ち着け、落ち着くんだ。シロの尻尾をもふもふするのをイメージして耐えるんだ……!
そんな時だ。不意に天道さんがフッと、耳に息を吹きかけてきた。
「ふひゃあっ!?」
「あ、すいませんくすぐったかったですか? ほこりがついていたもので」
「い、いや、うん……」
――その不意打ちで、何というか……。
下半身が、すっかり元気になってしまった。
何とか鎮めたいのだけど、こうして天道さんのいい匂いと太ももの柔らかさに包まれた状態では無理な話だった。
「はい、終わりましたよ~」
「う、うん……ありがとう……」
いつまでもひざまくらしてもらうわけにもいかないので、とりあえずソファーに座る。元気になっている部分は少し猫背になって服のすそでどうにか隠した。
とにかく、一刻も早く鎮めなければいけない。
見られたら恥ずかしいのもそうだけど、天道さんは僕に友情を感じてくれているのだ。こんなものを見られたら幻滅されかねな――。
コロン、と。今度は天道さんが僕のひざを枕にして横になった。
「天道さん何やってんの!?」
悲鳴を上げる僕を尻目に、天道さんは楽しそうに笑っている。
「いえ、遠野くんがあまりに気持ちよさそうだったので、私もしてもらいたいな~と」
「い、今は天道さんがメイドさんになってご奉仕するんじゃないの!?」
「メイドさんだって頑張ったら何かご褒美があってもいいはずです。いや~、それにしてもひざまくらって初めてですけど、なんかこう……いいですね」
天道さんは無邪気に僕の太ももに頬ずりしている。それもさらなる刺激になってもう鎮めるどころじゃなくて……。
「と、とにかく今はまずいから離れて!」
「今はってなんですか?」
「いいから!」
「む~、そんなに嫌がらなくてもいいじゃないですか~」
天道さんも意気地になっているのか、ぐりぐり頭を押しつけてくる。
「? あれ? なんですかこの硬いの……」
くるりと天道さんは頭の向きを変える。そして……天道さんの目の前にテントを張った僕のアレが――。
「………………」
「………………」
「きゃああああああああああ!?」
「うわああああああああああ!?」
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