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「それにしても、怠い……」
アルバイト探しと慣れない生活環境からなのか、大学に入ってから律は体調不良が続いている。
風邪の初期症状のような倦怠感と微熱感。
数日はその体調不良も見て見ぬふりを出来るレベルだったのだが、今朝は目が覚めた時点でこれは駄目だと悟った。
「医務室って、何処なんだ」
本当ならば病院に行った方が良いことくらい、律も理解している。
引っ越してきたばかりで周辺の施設を把握していないことと、まだアルバイトが見つからなくて金銭的に余裕がないのが現状。医務室で休ませてもらってどうにかなるなら、出来る限りそれで済ませたい。
そんな思いから、広いキャンバスの中で朝から医務室を探して彷徨っている。
入学したてで把握しきれていない建物は、ゲームのダンジョンみたいに難解極まりない。体調不良に加えて頭痛まで追加されそうな気分だった。
(鎮痛剤くらいは持ち歩いてないとダメだな)
まだ早朝で授業まで時間があるためか、大学内に人が少ないので場所を聞くこともままならない。途方に暮れそうなそのときに、どこからか誘われるような良い香りが律の鼻先を擽る。
「香水……?」
その香りは花とも香水とも表現が難しいが、ふわふわと、ざわざわと、律の胸の内を掻き乱す香りだった。
熱に浮かされたようにうっとりとその香りを吸い込めば、何かが満たされていく高揚感を得ることが出来た。
「力、抜ける……」
その反面、体の倦怠感は増すばかり。気を抜いてしまえば今にも膝から崩れ落ちそうで、律は思わず壁にもたれ掛かる。
ヤバイ、倒れそうだ。と思ったときには既に遅く、視界がぐらりと歪む。
「……っ」
ほどなくして訪れるであろう衝撃に備えてギュッと目を瞑るも、予想に反していつまで経っても痛みは襲って来ない。恐る恐る目を開けてみれば、ボヤけた視界で相手は確認できないが、誰かに抱き止められていることに気付いた。
「キミ……抑制剤は?」
「よく、せいざい?」
先程よりも濃い香りに包まれて思考が上手く纏まってくれない。
この人は何を言っているのだろう? 律は朦朧とする意識の中でぼんやりと考える。
だってベータの自分に抑制剤なんて必要ない。オメガと違い発情期なんてものは起きないのだから。
「うわっ⁉︎」
ふわりと身体が宙に浮かぶ。急な浮遊感に驚き、反射的に男の服にギュッとしがみ付いてしまう。
律を抱えながら、男は足で乱暴にドアを空けて部屋に入った。
「っ……」
どさりと下ろされた先は真新しく白いシーツの上。
上手く回らない頭で唯一分かったことは、どうやらここが探していた医務室だったと言うことだけだった。
アルバイト探しと慣れない生活環境からなのか、大学に入ってから律は体調不良が続いている。
風邪の初期症状のような倦怠感と微熱感。
数日はその体調不良も見て見ぬふりを出来るレベルだったのだが、今朝は目が覚めた時点でこれは駄目だと悟った。
「医務室って、何処なんだ」
本当ならば病院に行った方が良いことくらい、律も理解している。
引っ越してきたばかりで周辺の施設を把握していないことと、まだアルバイトが見つからなくて金銭的に余裕がないのが現状。医務室で休ませてもらってどうにかなるなら、出来る限りそれで済ませたい。
そんな思いから、広いキャンバスの中で朝から医務室を探して彷徨っている。
入学したてで把握しきれていない建物は、ゲームのダンジョンみたいに難解極まりない。体調不良に加えて頭痛まで追加されそうな気分だった。
(鎮痛剤くらいは持ち歩いてないとダメだな)
まだ早朝で授業まで時間があるためか、大学内に人が少ないので場所を聞くこともままならない。途方に暮れそうなそのときに、どこからか誘われるような良い香りが律の鼻先を擽る。
「香水……?」
その香りは花とも香水とも表現が難しいが、ふわふわと、ざわざわと、律の胸の内を掻き乱す香りだった。
熱に浮かされたようにうっとりとその香りを吸い込めば、何かが満たされていく高揚感を得ることが出来た。
「力、抜ける……」
その反面、体の倦怠感は増すばかり。気を抜いてしまえば今にも膝から崩れ落ちそうで、律は思わず壁にもたれ掛かる。
ヤバイ、倒れそうだ。と思ったときには既に遅く、視界がぐらりと歪む。
「……っ」
ほどなくして訪れるであろう衝撃に備えてギュッと目を瞑るも、予想に反していつまで経っても痛みは襲って来ない。恐る恐る目を開けてみれば、ボヤけた視界で相手は確認できないが、誰かに抱き止められていることに気付いた。
「キミ……抑制剤は?」
「よく、せいざい?」
先程よりも濃い香りに包まれて思考が上手く纏まってくれない。
この人は何を言っているのだろう? 律は朦朧とする意識の中でぼんやりと考える。
だってベータの自分に抑制剤なんて必要ない。オメガと違い発情期なんてものは起きないのだから。
「うわっ⁉︎」
ふわりと身体が宙に浮かぶ。急な浮遊感に驚き、反射的に男の服にギュッとしがみ付いてしまう。
律を抱えながら、男は足で乱暴にドアを空けて部屋に入った。
「っ……」
どさりと下ろされた先は真新しく白いシーツの上。
上手く回らない頭で唯一分かったことは、どうやらここが探していた医務室だったと言うことだけだった。
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