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「その匂い……発情期、だろう?」
律と距離を取り、男は何かに耐えるような表情で律の事を見ている。
まるで獲物を狙う獣のようなギラギラとした視線を感じて、思わず身震いしてしまう。
「ぼく……は、ベータです」
くらくらとする頭と身体で、どうにか返答を返す。
その際に、やっと男の姿を視認することができた。
「ベータなのに、フェロモンでアルファを誘惑するのかい?」
黒く肩に付く長さの癖のある髪は、汗で頬に張り付いている。背丈は律よりも大きく、黒いワイシャツをきっちりと着込んでいる。
モデルや俳優と言っても違和感のない端正な顔立ちだった。
「おかしいな……俺も抑制剤は飲んでいるのに、こんなにも効かないなんて初めてだよ」
胸元を抑えながら苦しそうに肩で息をしている男と視線がかち合う。
その瞬間に律の胸の奥がドクンと大きく高鳴った。
「すごい甘い香りだね。もしかして、初潮なのかな?」
「ちがっ……!」
今まで経験したことのない高鳴りに戸惑っていると、カツカツと革靴を鳴らして男はベッドに座る律の方へと近付いて来る。それに反して、律は本能的に身の危険を感じて後退った。
「痛っ!」
ガシッと荒々しく手首を掴まれた為、律の顔が歪む。その表情を見た男は楽しそうに薄ら笑っている。
「こんなにも自制が効かなくなるものなのか……オメガのフェロモンは」
「だから、僕はオメガじゃ!?」
ない。そう叫ぼうとした律の口を男は塞いだ。形の整った柔らかな唇で。
キスをされている。という事実を受け入れるのに時間が掛かったのは、この男から香る甘い匂いのせいだと律は言い聞かせる。
「んんっ⁉︎」
長い口付けで酸素を求めて口を開いたところに、ぬるりと舌をねじ込まれた。ねっとりと絡みついてくる感触に、律は腰の辺りがゾワゾワとしたのを感じた。
その感覚から逃げるように、空いている方の腕で男を押し返そうと試みるが、壁のようでびくともしない。
「んッ‼︎」
逃げようとする舌を逃すまいと絡め取られ翻弄される。息をすることすらままならず、律の目尻には生理的な涙が浮かんだ。
「可愛い反応だね? 処女、なのかな?」
「な……っ!」
「その反応は当たりだったかな」
やっと唇を解放されたかと思えば、今度は揶揄うように目尻に唇を落とされる。
処女なのは当たり前だろう。男なんだから。何ならキスだって初めてだったんだと内心男に毒吐くが、先程よりも濃く香ってくる匂いに、律の心も身体も掻き乱されてしまう。
「やっ、め……」
頭の上で腕を一纏めに押さえ付けられ、いよいよ抵抗する事すら出来なくなった。
無駄な足掻きだと分かってはいたが、律は足をバタつかせて最後の抵抗の意思を見せる。
「キミは、そのかわいらしい抵抗がどれ程加虐心を煽るか、分かっていてやっているのかな?」
しかし、男は律の抵抗をものともせずに、するりと足の間に自身の身体を滑り込ませてきた。
器用に片方の手で律の両腕を縫い止め、空いたもう片方の手は律の身体を弄り始める。
「や、だっ!」
言葉で拒んだところでこの状況が変わることはなく、寧ろそれ以上喋らすまいと口を塞がれてしまった。
先程とは違う噛み付くようなキスは、律のなけなしの思考を容赦なく奪っていく。
律と距離を取り、男は何かに耐えるような表情で律の事を見ている。
まるで獲物を狙う獣のようなギラギラとした視線を感じて、思わず身震いしてしまう。
「ぼく……は、ベータです」
くらくらとする頭と身体で、どうにか返答を返す。
その際に、やっと男の姿を視認することができた。
「ベータなのに、フェロモンでアルファを誘惑するのかい?」
黒く肩に付く長さの癖のある髪は、汗で頬に張り付いている。背丈は律よりも大きく、黒いワイシャツをきっちりと着込んでいる。
モデルや俳優と言っても違和感のない端正な顔立ちだった。
「おかしいな……俺も抑制剤は飲んでいるのに、こんなにも効かないなんて初めてだよ」
胸元を抑えながら苦しそうに肩で息をしている男と視線がかち合う。
その瞬間に律の胸の奥がドクンと大きく高鳴った。
「すごい甘い香りだね。もしかして、初潮なのかな?」
「ちがっ……!」
今まで経験したことのない高鳴りに戸惑っていると、カツカツと革靴を鳴らして男はベッドに座る律の方へと近付いて来る。それに反して、律は本能的に身の危険を感じて後退った。
「痛っ!」
ガシッと荒々しく手首を掴まれた為、律の顔が歪む。その表情を見た男は楽しそうに薄ら笑っている。
「こんなにも自制が効かなくなるものなのか……オメガのフェロモンは」
「だから、僕はオメガじゃ!?」
ない。そう叫ぼうとした律の口を男は塞いだ。形の整った柔らかな唇で。
キスをされている。という事実を受け入れるのに時間が掛かったのは、この男から香る甘い匂いのせいだと律は言い聞かせる。
「んんっ⁉︎」
長い口付けで酸素を求めて口を開いたところに、ぬるりと舌をねじ込まれた。ねっとりと絡みついてくる感触に、律は腰の辺りがゾワゾワとしたのを感じた。
その感覚から逃げるように、空いている方の腕で男を押し返そうと試みるが、壁のようでびくともしない。
「んッ‼︎」
逃げようとする舌を逃すまいと絡め取られ翻弄される。息をすることすらままならず、律の目尻には生理的な涙が浮かんだ。
「可愛い反応だね? 処女、なのかな?」
「な……っ!」
「その反応は当たりだったかな」
やっと唇を解放されたかと思えば、今度は揶揄うように目尻に唇を落とされる。
処女なのは当たり前だろう。男なんだから。何ならキスだって初めてだったんだと内心男に毒吐くが、先程よりも濃く香ってくる匂いに、律の心も身体も掻き乱されてしまう。
「やっ、め……」
頭の上で腕を一纏めに押さえ付けられ、いよいよ抵抗する事すら出来なくなった。
無駄な足掻きだと分かってはいたが、律は足をバタつかせて最後の抵抗の意思を見せる。
「キミは、そのかわいらしい抵抗がどれ程加虐心を煽るか、分かっていてやっているのかな?」
しかし、男は律の抵抗をものともせずに、するりと足の間に自身の身体を滑り込ませてきた。
器用に片方の手で律の両腕を縫い止め、空いたもう片方の手は律の身体を弄り始める。
「や、だっ!」
言葉で拒んだところでこの状況が変わることはなく、寧ろそれ以上喋らすまいと口を塞がれてしまった。
先程とは違う噛み付くようなキスは、律のなけなしの思考を容赦なく奪っていく。
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