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魔王国ブルム
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「…………本当に金属だらけだな」
俺はちかちかする目を押さえながらそんな愚痴を漏らす。
周りには金属だけで出来た宿屋。金属だけで出来た百貨店。金属だけで出来た冒険者ギルド。
この国は鉄に銅に金に銀。その他もろもろの金属だけで出来ている。
どれだけ鉱山資源に恵まれているのか一瞬で理解させられるというものだ。
もしかしたら、観光客や他国にその長所をアピールする。ということもあるかもしれない。
俺は通りの奥にある冒険者ギルドらしき建物を目指して大通りを歩いている。
冒険者ギルドに登録しておけば、近辺のダンジョンの通行許可もおりるからだ。
「それにしても、この国には民族衣装でもあるのかな?」
すれ違う通行人たちの容姿を少し見ながらボソッと口にする。
全員というわけではないが、多くの人の頭には角らしきものが。そして腰辺りから生える尾。
まるでおとぎ話に出てくる魔族を彷彿とさせるような容姿の人たちが多く目につく。
一瞬、魔族かと思ったが…………
「まぁ。魔族がこんなところにいるわけないしね」
魔族とはダンジョンの最奥に住むと言われているモンスターの上位互換、知的上位存在といえばいいだろうか。
そのため、こんな人間の国に堂々と歩いているわけがないのだ。
そもそも、魔族が近くにいれば人間などすぐに丸呑みされて終わりである。それほど魔族は強い。まぁ戦ったことも見たこともないけど。
そんなことを考えていると、目の前にはもう冒険者ギルドがあった。
「冒険者カードの登録をお願いします」
俺は冒険者ギルドに入って正面にいる受付嬢に自分の持っている冒険者カードを手渡す。
そしてすぐに返却してもらって登録完了。これがいつもの流れだ。
しかし、今回は何か違うようで…………
「…………はああああぁぁ? あ、すみません!」
受付嬢は門兵の時と同じように驚いたような反応を見せた。
当然、周りから多くの視線が集まるため、受付嬢はすぐにぺこぺこと周りに頭を下げる。
そして、俺と冒険者カードを何度も比べるようにして見る。
「あの…………ガチですか?」
「ええ。ガチですよ」
元勇者という称号が本当なのか聞いてきたのだろう。
別に現勇者でもないのにそこまで反応されると俺までこそばゆい気持ちになる。
すると、受付嬢の女性はあたふたしながらも、俺の腕を引っ張っる。
「ちょっとついてきて…………痛っ! ち、ちょっとついて来てください」
受付嬢は受付棚の角に小指でもぶつけたのか、足を押さえながら俺を連れて冒険者ギルドをあとにした。
「ちょっとこれ、どういうことですか?」
何故か国の外まで出た受付嬢は俺に冒険者カードを返却しながら口にする。
そして、その女性の指は元勇者という称号を指していた。
俺はその様子に苦笑いしながら答える。
「ちょっと自分の実力不足で勇者パーティーから追放されたんですよ」
しかし、その俺の言葉が何か核心をついてしまったのか、受付嬢は急に顔を真っ青に染める。
そして、弱弱しく俺に聞いてきた。
「……………………ニンゲンなの?」
「アハハ。受付嬢の方なのに面白いんですね。なんか受付嬢って堅苦しい人ばかりかと思ってました」
俺はその突拍子もない質問に苦笑いを重ねる。
まさか生きていた人生の中で人間なの? などと聞かれるとは思っていなかった。
すると受付嬢はかぶっていた可愛い帽子を脱いで、俺に向ける。
「これ、何だと思います?」
「角ですよね。俺は地方の文化には疎いので最初は驚いちゃいましたよ」
受付嬢の頭にちょこんとついていた角を見て答える。
しかし、受付嬢は更に真っ青な表情に染めた。まるで俺を恐れているかのように。
そして、受付嬢はボソッと地面に視線を向けながら答える。
「私…………いえ、私たちが住むこの国は…………魔族の国ですよ?」
「アハハ。冗談が上手いで…………え? 本当に?」
俺はその受付嬢の真剣な表情に少し顔をひきつらせる。
その俺に追い打ちするように受付嬢は
「はい。ほら」
受付嬢は少し顔を紅潮させながら俺に尻を向ける。
そして、腰の付け根ぐらいに生えていた尾をぶんぶんと左右に振って見せた。
「…………は、はあああああぁぁぁ!?」
スローライフ。一文字もかすっていないその現状に俺は面をひんむきながら叫んだ。
こうして元勇者である俺は辺境ではなく魔族の国へと流れついていたのでした。
俺はちかちかする目を押さえながらそんな愚痴を漏らす。
周りには金属だけで出来た宿屋。金属だけで出来た百貨店。金属だけで出来た冒険者ギルド。
この国は鉄に銅に金に銀。その他もろもろの金属だけで出来ている。
どれだけ鉱山資源に恵まれているのか一瞬で理解させられるというものだ。
もしかしたら、観光客や他国にその長所をアピールする。ということもあるかもしれない。
俺は通りの奥にある冒険者ギルドらしき建物を目指して大通りを歩いている。
冒険者ギルドに登録しておけば、近辺のダンジョンの通行許可もおりるからだ。
「それにしても、この国には民族衣装でもあるのかな?」
すれ違う通行人たちの容姿を少し見ながらボソッと口にする。
全員というわけではないが、多くの人の頭には角らしきものが。そして腰辺りから生える尾。
まるでおとぎ話に出てくる魔族を彷彿とさせるような容姿の人たちが多く目につく。
一瞬、魔族かと思ったが…………
「まぁ。魔族がこんなところにいるわけないしね」
魔族とはダンジョンの最奥に住むと言われているモンスターの上位互換、知的上位存在といえばいいだろうか。
そのため、こんな人間の国に堂々と歩いているわけがないのだ。
そもそも、魔族が近くにいれば人間などすぐに丸呑みされて終わりである。それほど魔族は強い。まぁ戦ったことも見たこともないけど。
そんなことを考えていると、目の前にはもう冒険者ギルドがあった。
「冒険者カードの登録をお願いします」
俺は冒険者ギルドに入って正面にいる受付嬢に自分の持っている冒険者カードを手渡す。
そしてすぐに返却してもらって登録完了。これがいつもの流れだ。
しかし、今回は何か違うようで…………
「…………はああああぁぁ? あ、すみません!」
受付嬢は門兵の時と同じように驚いたような反応を見せた。
当然、周りから多くの視線が集まるため、受付嬢はすぐにぺこぺこと周りに頭を下げる。
そして、俺と冒険者カードを何度も比べるようにして見る。
「あの…………ガチですか?」
「ええ。ガチですよ」
元勇者という称号が本当なのか聞いてきたのだろう。
別に現勇者でもないのにそこまで反応されると俺までこそばゆい気持ちになる。
すると、受付嬢の女性はあたふたしながらも、俺の腕を引っ張っる。
「ちょっとついてきて…………痛っ! ち、ちょっとついて来てください」
受付嬢は受付棚の角に小指でもぶつけたのか、足を押さえながら俺を連れて冒険者ギルドをあとにした。
「ちょっとこれ、どういうことですか?」
何故か国の外まで出た受付嬢は俺に冒険者カードを返却しながら口にする。
そして、その女性の指は元勇者という称号を指していた。
俺はその様子に苦笑いしながら答える。
「ちょっと自分の実力不足で勇者パーティーから追放されたんですよ」
しかし、その俺の言葉が何か核心をついてしまったのか、受付嬢は急に顔を真っ青に染める。
そして、弱弱しく俺に聞いてきた。
「……………………ニンゲンなの?」
「アハハ。受付嬢の方なのに面白いんですね。なんか受付嬢って堅苦しい人ばかりかと思ってました」
俺はその突拍子もない質問に苦笑いを重ねる。
まさか生きていた人生の中で人間なの? などと聞かれるとは思っていなかった。
すると受付嬢はかぶっていた可愛い帽子を脱いで、俺に向ける。
「これ、何だと思います?」
「角ですよね。俺は地方の文化には疎いので最初は驚いちゃいましたよ」
受付嬢の頭にちょこんとついていた角を見て答える。
しかし、受付嬢は更に真っ青な表情に染めた。まるで俺を恐れているかのように。
そして、受付嬢はボソッと地面に視線を向けながら答える。
「私…………いえ、私たちが住むこの国は…………魔族の国ですよ?」
「アハハ。冗談が上手いで…………え? 本当に?」
俺はその受付嬢の真剣な表情に少し顔をひきつらせる。
その俺に追い打ちするように受付嬢は
「はい。ほら」
受付嬢は少し顔を紅潮させながら俺に尻を向ける。
そして、腰の付け根ぐらいに生えていた尾をぶんぶんと左右に振って見せた。
「…………は、はあああああぁぁぁ!?」
スローライフ。一文字もかすっていないその現状に俺は面をひんむきながら叫んだ。
こうして元勇者である俺は辺境ではなく魔族の国へと流れついていたのでした。
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