158 / 240
西国編
崇拝
しおりを挟む
俺達はポンティアックの足首を掴んで引き摺りながら厩舎へと移動すると、そこでは既に戦闘が始まっていた。いや、戦闘と言えるか?これが。たかが200程度、あいつらにとっては準備運動にもなっていない感じだな。
ランもチェロも限定解除して本来の姿で走り回っている。何て言うかな…草原を駆け回るみたいな嬉々とした表情で敵兵を追い回して踏みつぶしている。スタリオンも同様だ。たまに前腕で引っ掻いたりしてるけどな。それで敵兵は即死だが。
アクアはムスタングに横座りになり、ムスタングと竜車そのものに結界を張り守っている。ちょいちょい近寄って来る敵を水弾で吹っ飛ばしてるがアクアにしてみれば威力は極小に抑えているな。
サンタナは敵の矢を風で押し戻し、さらに風の刃を巻き起こし弓兵を倒していく。その姿は舞うが如く。手を振る、足を上げる、息を吐く。全ての動作が風の凶器を生み出し敵兵を穿つ。
ユキは竜車の背後に陣取り敵兵の接近を許さない。俺から見れば魔法そのものなんだがユキに言わせればそれは忍術。火遁、水遁といった属性攻撃を駆使し、術を放った後のスキは水の精霊バッカーがフォローする。いつの間に放ったのか苦無が刺さって倒れている敵もいる。
テルは遊撃担当のようだな。真っ当な剣術で斬り伏せているかと思えば体術を組み込んだトリッキーな戦いもする。そしてテルと言えばサイキック。テレポートやサイコキネシスで敵を翻弄している。ここかと思えばあちら、敵と思って斬り掛かれば味方だった…敵兵は正気を保てないんじゃないか? あの能力は俺も敵には回したくないな。
「殿、殿。」
段蔵爺さんが足元で畏まっている。
「ん?どした?爺さん。」
「儂らも参加してもよいかのう?」
あいつらの暴れっぷりを見て辛抱堪らなくなったか。
「あ、あたしもいいかい?」
「カズト様、私も少々…」
「カズト殿、我も血が騒ぐのだが。」
「おにいちゃん!あーしも!まざりたいのー!」
ライム以外全員か。苦笑するしかないな。
「ほら、早く行かねえと無くなるぞ?あ、建物あんまり壊すなよー……ってもう行っちまった。」
「あははっ、退屈な時間が長かったからね。少しくらい大目に見たら?」
ライムは甘い!特に蘭丸は今の内にしっかり躾ておかねえとダメなんだぞ?また闇落ちしたら面倒じゃねえか。
「あーあ、見ろよ?エスプリも蘭丸も野生丸出しにして大はしゃぎじゃねーか。蘭丸なんて尻尾3本になってんぞ?」
「あー、ちょっと『普通の狐です』なんて言い訳は効かないねえ…」
この後、ほんの数分で200の敵兵は壊滅した。さて、俺も帝に挨拶するかね。
戦闘が終わるとサンタナが帝に竜車から出て来るように促したらしく、両脇に侍女を侍らせて俺達を出迎える。対して、俺達も俺とライムを先頭に帝と向き合うように進み、ある程度の距離を置き立ち止まると俺の足元でサンタナとアクアが畏まる。こいつ等のこの姿は本気モードだな。人間らしさをかなぐり捨てて、ひたすらに美しく気高く神々しい。多分、帝に対して俺という存在が如何ほどのものかを知らしめる為のデモンストレーションの為なんだろう。ここは感謝しておくか。
「サンタナ、アクア。よくやってくれた。ありがとな。」
そう言って二人の頭に手をやる。すると二人はパッと輝くような歓喜の表情を浮かべ俺の掌へと吸い込まれて行った。一先ずの役割を終えて、俺の中で魔力を吸い取るつもりだな?
「ラングラー!チェロキー!スタリオン!お前らもよく帝を守ってくれた!その辺でゆっくりしててくれ!」
三頭は気ままに御所の中の居心地の良さそうな所を散策し始めた。ご褒美に昼寝くらいさせてやるか。
さて、次は帝だね。
「オーシュー王国女王セリカの名代、カズト=イトーです。ご無事で何よりでございました。」
一応形式上は畏まって見せる。ちなみにポンティアックのヤツは俺の脇にポイしてある。気を失ったままだがコブだらけでなかなか笑える。そんな俺を見て帝は目を白黒させている。そして帝は信じられない行動を取った。
「此度は救って頂き感謝する。カズト様が参らねばそこの痴れ者によって国が亡ぶ所であった。カズト様はこのキナイの恩人ぞ。」
いや、びっくりだよ?帝ってセリカとかサーブのおっさんとか、その辺の王族が平伏するような存在だよね?その人類至高の存在とも言うべき帝が竜車から降りて、地面に伏して礼を言ったんだよ。しかもカズト様って何だ?
『あー、サンタナ。お前、なんかやり過ぎてねえ?』
『……えっ?』
『この状態はおかしいだろ…』
『ご主人様の眷属として、ご主人様に恥をかかせぬよう、全力を込めて顕現しただけですが?』
こいつ。絶対わざとだ。確信犯だ。
「あのー?どうか頭を上げて貰えませんか?俺なんて普通の冒険者で…帝が平伏するような大それたモンじゃないんで…」
ついつい、平伏してる相手に砕けた口調で話し掛けちまった。俺の言葉を聞いた帝がぴくってしたよ。怒られちゃう?
…と思ったが違った。ガバッっと上げた顔は感極まってうるうるしている。はぁ?
「なんという事か。精霊王様お二方を従えるお方が只の冒険者などと謙遜されるとは!加えて伝説の魔獣までも従える強者でありながら奢らず、見下さず…なんと出来たお方なのだ!」
わかる、わかるぞ。テル。ユキ。爺さん。千代ちゃん。お前ら後ろで笑い堪えてんだろ?笑ってねえで何とかしてくれ。
ランもチェロも限定解除して本来の姿で走り回っている。何て言うかな…草原を駆け回るみたいな嬉々とした表情で敵兵を追い回して踏みつぶしている。スタリオンも同様だ。たまに前腕で引っ掻いたりしてるけどな。それで敵兵は即死だが。
アクアはムスタングに横座りになり、ムスタングと竜車そのものに結界を張り守っている。ちょいちょい近寄って来る敵を水弾で吹っ飛ばしてるがアクアにしてみれば威力は極小に抑えているな。
サンタナは敵の矢を風で押し戻し、さらに風の刃を巻き起こし弓兵を倒していく。その姿は舞うが如く。手を振る、足を上げる、息を吐く。全ての動作が風の凶器を生み出し敵兵を穿つ。
ユキは竜車の背後に陣取り敵兵の接近を許さない。俺から見れば魔法そのものなんだがユキに言わせればそれは忍術。火遁、水遁といった属性攻撃を駆使し、術を放った後のスキは水の精霊バッカーがフォローする。いつの間に放ったのか苦無が刺さって倒れている敵もいる。
テルは遊撃担当のようだな。真っ当な剣術で斬り伏せているかと思えば体術を組み込んだトリッキーな戦いもする。そしてテルと言えばサイキック。テレポートやサイコキネシスで敵を翻弄している。ここかと思えばあちら、敵と思って斬り掛かれば味方だった…敵兵は正気を保てないんじゃないか? あの能力は俺も敵には回したくないな。
「殿、殿。」
段蔵爺さんが足元で畏まっている。
「ん?どした?爺さん。」
「儂らも参加してもよいかのう?」
あいつらの暴れっぷりを見て辛抱堪らなくなったか。
「あ、あたしもいいかい?」
「カズト様、私も少々…」
「カズト殿、我も血が騒ぐのだが。」
「おにいちゃん!あーしも!まざりたいのー!」
ライム以外全員か。苦笑するしかないな。
「ほら、早く行かねえと無くなるぞ?あ、建物あんまり壊すなよー……ってもう行っちまった。」
「あははっ、退屈な時間が長かったからね。少しくらい大目に見たら?」
ライムは甘い!特に蘭丸は今の内にしっかり躾ておかねえとダメなんだぞ?また闇落ちしたら面倒じゃねえか。
「あーあ、見ろよ?エスプリも蘭丸も野生丸出しにして大はしゃぎじゃねーか。蘭丸なんて尻尾3本になってんぞ?」
「あー、ちょっと『普通の狐です』なんて言い訳は効かないねえ…」
この後、ほんの数分で200の敵兵は壊滅した。さて、俺も帝に挨拶するかね。
戦闘が終わるとサンタナが帝に竜車から出て来るように促したらしく、両脇に侍女を侍らせて俺達を出迎える。対して、俺達も俺とライムを先頭に帝と向き合うように進み、ある程度の距離を置き立ち止まると俺の足元でサンタナとアクアが畏まる。こいつ等のこの姿は本気モードだな。人間らしさをかなぐり捨てて、ひたすらに美しく気高く神々しい。多分、帝に対して俺という存在が如何ほどのものかを知らしめる為のデモンストレーションの為なんだろう。ここは感謝しておくか。
「サンタナ、アクア。よくやってくれた。ありがとな。」
そう言って二人の頭に手をやる。すると二人はパッと輝くような歓喜の表情を浮かべ俺の掌へと吸い込まれて行った。一先ずの役割を終えて、俺の中で魔力を吸い取るつもりだな?
「ラングラー!チェロキー!スタリオン!お前らもよく帝を守ってくれた!その辺でゆっくりしててくれ!」
三頭は気ままに御所の中の居心地の良さそうな所を散策し始めた。ご褒美に昼寝くらいさせてやるか。
さて、次は帝だね。
「オーシュー王国女王セリカの名代、カズト=イトーです。ご無事で何よりでございました。」
一応形式上は畏まって見せる。ちなみにポンティアックのヤツは俺の脇にポイしてある。気を失ったままだがコブだらけでなかなか笑える。そんな俺を見て帝は目を白黒させている。そして帝は信じられない行動を取った。
「此度は救って頂き感謝する。カズト様が参らねばそこの痴れ者によって国が亡ぶ所であった。カズト様はこのキナイの恩人ぞ。」
いや、びっくりだよ?帝ってセリカとかサーブのおっさんとか、その辺の王族が平伏するような存在だよね?その人類至高の存在とも言うべき帝が竜車から降りて、地面に伏して礼を言ったんだよ。しかもカズト様って何だ?
『あー、サンタナ。お前、なんかやり過ぎてねえ?』
『……えっ?』
『この状態はおかしいだろ…』
『ご主人様の眷属として、ご主人様に恥をかかせぬよう、全力を込めて顕現しただけですが?』
こいつ。絶対わざとだ。確信犯だ。
「あのー?どうか頭を上げて貰えませんか?俺なんて普通の冒険者で…帝が平伏するような大それたモンじゃないんで…」
ついつい、平伏してる相手に砕けた口調で話し掛けちまった。俺の言葉を聞いた帝がぴくってしたよ。怒られちゃう?
…と思ったが違った。ガバッっと上げた顔は感極まってうるうるしている。はぁ?
「なんという事か。精霊王様お二方を従えるお方が只の冒険者などと謙遜されるとは!加えて伝説の魔獣までも従える強者でありながら奢らず、見下さず…なんと出来たお方なのだ!」
わかる、わかるぞ。テル。ユキ。爺さん。千代ちゃん。お前ら後ろで笑い堪えてんだろ?笑ってねえで何とかしてくれ。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。