いや、自由に生きろって言われても。

SHO

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西国編

帝、媚びる?

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 帝については後ほど歓談の時間をたっぷり確保する、という事で帝の頭を上げさせ、本題のポンティアックの企みを帝の前でゲロさせる段階へどうにか移行する。

 「いつまで寝てんだ。起きろコラ。」

 気を失っているポンティアックのケツを蹴とばして強引に目覚めさせる。

 「む?……ひえっ!? マセラティ!?」

 「ほう…我が名を呼び捨てるか? 我を呼び捨ててよいのはここにおられるカズト様のみ。控えよ。現人神あらひとがみ様の御前ぞ。」

 誰が現人神だ誰が。

 「あのぅ、マセラティ様?俺、ホントに普通の人なんでそういうの止めて貰えます?」

 (((((普通!?)))))

 そういうの、もういいって!話が進まなくなるから!

 「さて、洗いざらい吐け。」

 もう強引に話を進める。ポンティアックに端的に聞く。

 「何の事だ?」

 まあ、とぼけるよな、普通は。

 「殿、儂らに任せては貰えんかの?吐かせるのは得意じゃて。」
 「そうだね。汚れ仕事はあたしらの領分さ。死ななきゃいいんだろ?」

 いや、別に…

 「必要な情報が集まれば別にどうでもいいと言うか…」

 「ほえ?お館様にしちゃあ意外というか…」

 「いや、俺は敵に回った奴は誰だろうと容赦しないぞ?特にこういう雑魚は。」

 「そうだったね…敵だった時のお館様は怖かったよ…」

 「えへへ、実は千代ちゃんチビッたでしょー?」
 
 「ちょ!奥様!何を言うんだい!?」

 「いーのいーの、私を含めてかなりの女の子がチビる以上の惨状…「もういいもういい!!」

 周囲の視線が痛くなって来たので強引にライムと千代ちゃんの会話を打ち切る。あ、そう言えば俺とライムが結婚してからは爺さんと千代ちゃんはライムの事を奥様と呼ぶようになった。呼ばれたライムは嬉しそうにニヨニヨしてたぞ。ともあれ、爺さんと千代ちゃんが尋問の為にポンティアックをどこかへ連れて行った。この辺りは忍びの得意分野なのかユキも行こうとしたのだが爺さんと千代ちゃんが強硬に反対した。

 「お嬢は折角幸せな居場所を手に入れたんじゃ。それでも戦いと無縁な生活とはいかぬじゃろう。ならばせめてこんな汚れ仕事は儂らに任せい。旦那殿もそう思うておるじゃろう?」

 「そうそう。あんたはこれからは真っ当な道を生きる事だね。お天道様の下でさ。」

 「…すまぬ。」

 爺さんと千代ちゃんの心遣いにテルとユキは深々と頭を下げていたっけな。千代ちゃんに爺さん、殺さずに仲間にしといてよかったぜ。

 「さて、尋問は配下の者に任せて帝のお話をお伺いしたいのですが?」

 「うむ。だがその前に…」

 「はい?」

 「精霊王の使役者ともあろうお方が帝などと…どうか我の事は名前で呼んで欲しい。目下の者や配下の者、仲間に接するように気安く、だ。」

 「は?」

 何を言ってるんだこの人?名前って?どうしてこんなに俺を立てようとするんだ?

 「我の…いや、このような物言いが既に壁を作っているな… 私にはボーラと言う名前がある。どうかボーラと呼んで欲しい。」

 へえ…ボーラさんか。そのボーラさん、余程聞いて欲しかったのか堰を切ったように話し始めた。

 「皆が私を崇め奉るがそれは表面上の事。私が生まれてすぐに先帝は崩御された為私は生まれながらに帝として祭り上げられた。所謂傀儡というヤツだな。故に心を許せるのはこの侍女二人のみ。しかし侍女故に対等なやり取りなど有りはしない。そこへ現れたのがカズト様達という訳だ。見ていれば分かるぞ。あなた方は配下の者達も含めて誰一人として帝である私を特別な存在だとは思っていまい?同じ一人の人間、そう思っている目だな。だが見下している訳でもなく、敬意が無い訳でもない。何というのか、こういう感覚は初めてなのだ。何とも心地よいのだ。あなた方と共に居たいという欲求が心の底から湧き上がって来るのだ。」

 ああ、なるほど。わからんでもない、かな?今回のメンバーは異世界人と眷属だからな。こっちの世界の帝と言ってもどこか自分には関係のない、そんな感覚がある。だから必要以上に崇め奉る気持ちにはなれないんだよな。形式上は臣従してみせたがその辺りを敏感に察してしまったと言う事か。さて、どうするか。

 「では、ボーラ様。」

 「…ボーラ。」

 「いや、流石にそれは…」

 「…ボーラ。」

 「…ボーラさん?」

 「………」

 「…ボーラ?」

 「なんだ?」

 はあ…いや、情報を集めにゃならんし仕方ないな。

 「大陸からの侵攻と勅令についてお聞きしたいのですが。」

 「むう、まだ口調が堅苦しいがまあよいか。」

 そしてボーラの口から、ボーラの立場から見た今回の争乱の経緯が話された。
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