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西国編
諸侯会議①
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ゲンの夜襲を撃退してから二日後。俺達はドックに出向き船の進捗を船大工の棟梁から報告を受けていた。
「ちょっと予想外の進み具合でびっくりよね!」
ライムも驚いているが俺もかなりびっくりだ。バトルシップは骨組みは完成しており既に動力部が積み込まれている。デストロイヤーの方も骨組みに加えて各区画の仕切りも終わっているようだ。ブロック構造なんだな。後から出たアイディアなんだろう。俺は聞いてないが監督しているテルが報告を受けたかそもそもがテルの入れ知恵か。攻撃や事故で浸水してもそのブロックを隔壁閉鎖する事で生存確率が上がる設計だ。
「へい、精霊王様たちのお陰でとんでもなく仕事が捗るんでさぁ。それと、この構造の仕様変更はテルの旦那がちょびっと知恵を貸して下さいやしてね。へへへ。」
なるほどな。属性魔法のスペシャリストが無限の魔力で協力して、さらにスプライトに至っては世界一の職人だろう。難しい加工なんかも嬉々としてやりそうだもんな。テルの方も向こうの世界じゃプロの傭兵だった。不幸な成り行きだったけど実際に銃弾が飛び交う戦場で駆けまわってた男の知識と経験は俺のメディアから得た知識とは重みが違う。
「そうかぁ。テル君が必要と判断したって事は本当に必要な事なんだろうね。」
「ああ。俺も知識としては持ってたけど必要とまでは思わなかったんだ。流石にテルは戦場を甘くは見てないな。勉強になるよ。」
現代の船ですら座礁したりする。こっちの世界じゃ海図もレーダーも無いから海底の地形なんてのはもう船乗りの経験に頼るしかないだろう。そういう意味でも念を入れたテルの判断は改めて正しいと認識させられる。
「あと数日で諸侯がハカタに集まるんだがその頃にはどうにか船の形にはなりそうだな。」
「へい。デストロイヤーはお披露目できそうですね。ただ、バトルシップの方は流石に…」
「構わねえんじゃないか?デストロイヤーがあれば大きさの比較でどれだけのモンか想像は出来るだろ?」
「ガハハハ!それもそうだ!それじゃ、旦那。儂は作業に戻りますんで。気付いた事があればそこらのヤツに声かけて下せえ!」
棟梁が去って行くと俺達は小型船用のドックへ移動する。そこには建造中のデストロイヤーを見つめるテルとユキがいた。俺達に気付くと軽く手を上げて挨拶してきた。
「やっぱり初めから戦闘艦として設計すると船としての出来はイセカイ号を超えてきますね。」
船を見上げながらテルが言う。
「イセカイ号にもバリスタ乗せるか?ホントはCIWS載せたいトコだけどな。」
「ハハハハ!何を迎撃する気なんだか。でもまあ、カズトさんのパーティーメンバーや騎士団の人も乗せての戦闘を考慮するならバリスタやクロスボウを固定武装として装備するのはアリか。」
うん、ちょっと真剣に検討してみよう。魔法を撃てないクルーの攻撃手段として有効なのは間違いないからな。
◇◇◇
それから一週間。諸侯の顔ぶれも揃い、ハカタの街の高級レストランで会合が持たれた。チンゼイ各国の王やら大臣やら有力貴族やら。そして本土より遠征して来た各国の将軍達。更に俺達の中からは俺とテル。外部はライム達が睨みを利かせ、爺さん、千代ちゃん、ユキの忍びチームは何処かに潜んで不審者を監視中だ。
さて、今回の発起人は諸侯に召集の書状を送ったホンダ卿となっているが、この人は慣れた人以外には非常に無口だ。実は単なる人見知りじゃないかと俺は疑ってるんだよな。ともあれ、こんな人が各国のお偉いさん方の前で議事進行なんてする訳もなく、仕方なしに副官格のジュークが進行を務めていた。
「…という訳でございまして、我々は反攻の手段を入手する事が出来た次第です。ここは諸侯の皆さま方が一致団結して事に当たるべきと存じ上げる。」
今回の召集の目的がジュークから告げられるとある貴族が挙手をして発言した。
「我らも団結してゲンをチンゼイから駆逐するのは願ってもない事だ。今回の話は具体的には兵と軍費を供出せよ、そう言う話であろう?しかしながら、軍費はともかくチンゼイ水軍が包囲している状態で兵を出すのは難しいと言わざるを得ん。他の諸侯もそうであろう?内陸部を統治する領主殿なら可能であろうが。」
確かに状況が今までと変わらないならその通りなんだろう。自国の防衛をないがしろにするわけにもいかんだろうしな。多くの出席者が頷いたり同意の声を上げたりしている。逆に渋い顔をしているのは内陸部から来た連中だろう。そしてその渋い表情の連中の中の一人が声をあげた。
「内陸部とて例のアソの爆発で甚大な被害を受けている。領民の流出も激しく苦しい状況なのだ。」
これもまあ分かる話ではある。だが実際の所はイオタが噴火を鎮めているし他の三人の精霊王の力で大地は超速で蘇っている。復興に然程時間は掛からない筈だ。
「なるほど。では遠征軍の諸将の意見は如何か?」
今度は本土から来ている将軍達の意見に耳を傾ける。ジュークとしてはこの展開は出来レースなんだろうがな。
「兵ならば我ら遠征軍がいくらでも供出しようではないか。ただし、各地で請け負っている防衛任務は解かせて頂く事になるが。さらに言えば我らは各地の君主様や領主殿の食客扱いであり軍費を捻出する事は不可能だ。本国からの補給も受けられない状態なのでな。」
ここまで意見が出たところで《出番ですよ》とばかりにジュークが目配せをしてきた。仕方ない。手札を切ろうか。
「ちょっと予想外の進み具合でびっくりよね!」
ライムも驚いているが俺もかなりびっくりだ。バトルシップは骨組みは完成しており既に動力部が積み込まれている。デストロイヤーの方も骨組みに加えて各区画の仕切りも終わっているようだ。ブロック構造なんだな。後から出たアイディアなんだろう。俺は聞いてないが監督しているテルが報告を受けたかそもそもがテルの入れ知恵か。攻撃や事故で浸水してもそのブロックを隔壁閉鎖する事で生存確率が上がる設計だ。
「へい、精霊王様たちのお陰でとんでもなく仕事が捗るんでさぁ。それと、この構造の仕様変更はテルの旦那がちょびっと知恵を貸して下さいやしてね。へへへ。」
なるほどな。属性魔法のスペシャリストが無限の魔力で協力して、さらにスプライトに至っては世界一の職人だろう。難しい加工なんかも嬉々としてやりそうだもんな。テルの方も向こうの世界じゃプロの傭兵だった。不幸な成り行きだったけど実際に銃弾が飛び交う戦場で駆けまわってた男の知識と経験は俺のメディアから得た知識とは重みが違う。
「そうかぁ。テル君が必要と判断したって事は本当に必要な事なんだろうね。」
「ああ。俺も知識としては持ってたけど必要とまでは思わなかったんだ。流石にテルは戦場を甘くは見てないな。勉強になるよ。」
現代の船ですら座礁したりする。こっちの世界じゃ海図もレーダーも無いから海底の地形なんてのはもう船乗りの経験に頼るしかないだろう。そういう意味でも念を入れたテルの判断は改めて正しいと認識させられる。
「あと数日で諸侯がハカタに集まるんだがその頃にはどうにか船の形にはなりそうだな。」
「へい。デストロイヤーはお披露目できそうですね。ただ、バトルシップの方は流石に…」
「構わねえんじゃないか?デストロイヤーがあれば大きさの比較でどれだけのモンか想像は出来るだろ?」
「ガハハハ!それもそうだ!それじゃ、旦那。儂は作業に戻りますんで。気付いた事があればそこらのヤツに声かけて下せえ!」
棟梁が去って行くと俺達は小型船用のドックへ移動する。そこには建造中のデストロイヤーを見つめるテルとユキがいた。俺達に気付くと軽く手を上げて挨拶してきた。
「やっぱり初めから戦闘艦として設計すると船としての出来はイセカイ号を超えてきますね。」
船を見上げながらテルが言う。
「イセカイ号にもバリスタ乗せるか?ホントはCIWS載せたいトコだけどな。」
「ハハハハ!何を迎撃する気なんだか。でもまあ、カズトさんのパーティーメンバーや騎士団の人も乗せての戦闘を考慮するならバリスタやクロスボウを固定武装として装備するのはアリか。」
うん、ちょっと真剣に検討してみよう。魔法を撃てないクルーの攻撃手段として有効なのは間違いないからな。
◇◇◇
それから一週間。諸侯の顔ぶれも揃い、ハカタの街の高級レストランで会合が持たれた。チンゼイ各国の王やら大臣やら有力貴族やら。そして本土より遠征して来た各国の将軍達。更に俺達の中からは俺とテル。外部はライム達が睨みを利かせ、爺さん、千代ちゃん、ユキの忍びチームは何処かに潜んで不審者を監視中だ。
さて、今回の発起人は諸侯に召集の書状を送ったホンダ卿となっているが、この人は慣れた人以外には非常に無口だ。実は単なる人見知りじゃないかと俺は疑ってるんだよな。ともあれ、こんな人が各国のお偉いさん方の前で議事進行なんてする訳もなく、仕方なしに副官格のジュークが進行を務めていた。
「…という訳でございまして、我々は反攻の手段を入手する事が出来た次第です。ここは諸侯の皆さま方が一致団結して事に当たるべきと存じ上げる。」
今回の召集の目的がジュークから告げられるとある貴族が挙手をして発言した。
「我らも団結してゲンをチンゼイから駆逐するのは願ってもない事だ。今回の話は具体的には兵と軍費を供出せよ、そう言う話であろう?しかしながら、軍費はともかくチンゼイ水軍が包囲している状態で兵を出すのは難しいと言わざるを得ん。他の諸侯もそうであろう?内陸部を統治する領主殿なら可能であろうが。」
確かに状況が今までと変わらないならその通りなんだろう。自国の防衛をないがしろにするわけにもいかんだろうしな。多くの出席者が頷いたり同意の声を上げたりしている。逆に渋い顔をしているのは内陸部から来た連中だろう。そしてその渋い表情の連中の中の一人が声をあげた。
「内陸部とて例のアソの爆発で甚大な被害を受けている。領民の流出も激しく苦しい状況なのだ。」
これもまあ分かる話ではある。だが実際の所はイオタが噴火を鎮めているし他の三人の精霊王の力で大地は超速で蘇っている。復興に然程時間は掛からない筈だ。
「なるほど。では遠征軍の諸将の意見は如何か?」
今度は本土から来ている将軍達の意見に耳を傾ける。ジュークとしてはこの展開は出来レースなんだろうがな。
「兵ならば我ら遠征軍がいくらでも供出しようではないか。ただし、各地で請け負っている防衛任務は解かせて頂く事になるが。さらに言えば我らは各地の君主様や領主殿の食客扱いであり軍費を捻出する事は不可能だ。本国からの補給も受けられない状態なのでな。」
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