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大陸の闇編
空前絶後の悪戯
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「おーい、みんな!敵本隊と接触する前に調整とか改造とか、おっちゃん担当物件があれば今の内に言っとけよ。スプライトも手伝ってやってくれな!」
「なっ!?おい坊主!俺の身体は一つしk「おー!まかせろなのだ!ゴーレム増やして突貫工事なのだ!だからいっぱい魔力頂戴なのだー!」
「む…スプライト様がそう仰られるのならば…」
ふふふ。現状ガイアのおっちゃんの扱いに一番長けているのはスプライトだ。というか、ドワーフという種族柄大地の精霊王には頭が上がらないんだな。スプライト的にも信仰される事は心地よいようで、たまにあの髭樽に遊んで貰っているのを見かける。爺さんと孫みたいで結構ほっこりする光景だ。
「あはははっ、かずと、イセカイ号が更に魔改造されちゃうねっ!」
海原を眺めながら可笑しそうにライムが言う。まったく、これが単なるクルージングだったらどんなに良かったか。
「どんどん魔改造すればいいさ。どうせ今回で終わりにしてやるんだ。二度と攻めてくる気にならないように物凄え改造を期待するぜ」
俺の平和な日常をぶち壊した償いは高く付くって事を教えてやらねえとな。
《おにいちゃーん!見えたよ!すごーいいっぱいお船がういてるー!》
約半日後、既に日は沈み暗くなっていたが自分の縄張り(見張り台)で監視していた蘭丸から伝声管経由で報告が上がる。元々蘭丸は金毛九尾の妖狐。とんでもない妖怪だ。目に魔力を込めて夜目を効かせる事など造作もない。
向かっているのは俺達の世界で言う所の釜山。世界は変われどその土地の持つ役割というのは似通ったものになるらしく、こっちの世界でも半島の海の玄関口は釜山になるらしい。
「ちょっと見て来るから皆は休んでてくれ。サンタナとスプライトは多重融合だ。一緒に来い」
「あらあら、ご主人様と夜のお散歩ですか。喜んでお付き合いしますね」
「あるじとお散歩なのだー!ウキウキなのだ!」
「あらカズト、私達はお留守番ですか?まさか一人で済ませてしまおうだなんて考えてはいませんよね?」
サンタナとスプライトは喜んでいるがセリカはちょっとご機嫌斜めだな。ただ膝の上に1号を抱えて愛おしそうに撫でながら言われても。
「なに、すぐに戻るさ。ちょっとした悪戯だよ」
「ちょっとした悪戯ねえ…きっとゲンの人達は目覚めたら大騒ぎになるんだろうね」
ライムが諦めたように呟く。そりゃせっかく悪戯するんだからリアクションは大きい方が仕掛けた方は嬉しいに決まってんだろ。
「ま、楽しみにしてろ」
そう言い捨て俺はサンタナとスプライトと融合し、夜空へと舞い上がった。
「おお!?さすがにすげえ数だな。それにガレオン船か?デカい船の数もかなり揃えてるな」
『本当ですね。海を埋め尽くさんばかりです。ご主人様がいない時にこれに攻められたら一たまりも無いでしょう』
『それであるじ、悪戯って、どうするのだ?』
空を舞い、港の上空で静止し見下ろす眼下の風景はサンタナの言葉通り。本当に凄い数の船だ。十七万の兵を運ぶのだから仕方ないが、途中で面倒になって数えるのを止めた。その上で俺は脳内でスプライトに内容を伝えた。
『あるじ、それはなんともスケールの大きい悪戯なのだ…』
スプライトに呆れられてしまったが今回の悪戯はスプライトの能力がキモなんだ。
『あ、あるじ…もっと…ゆっくり…』
「こうか?」
『は、激しいのだ…もっと…優しく…』
「こうか?これでいいのか?」
『そう、そうなのだ…デリケートなのだ。だからソフトに』
「フッ、なるほど、コツを掴んできたぞ」
『あっ!ダメなのだ!みんなに聞こえてしまうのだ!』
「…もう少しだ。ラストスパートいくぞ?」
『あ、あ、あ…出来ちゃったのだ…』
俺はゲンの水軍の船が停泊しているエリアの上空で恐ろしく広範囲に渡る地形操作を試みていた。もっと具体的に言うと船の停泊地一帯の海底を隆起させようとしていたのだ。ただ隆起させるのであれば問題ないのだがこれは悪戯だ。悪戯が悪戯だとバレてしまっては面白くないからな。ゆっくり、ゆっくり、波の音さえも不自然に大きくならないように緻密に操作していた。ところがスプライトから見るとまだまだ甘いらしく、もっと精度を上げるようにダメ出しをされていたのである。おかげで全てのゲンの船は陸上に上がった格好になり、再び水上に戻すにはかなりの時間と労力がかかるだろう。明朝の神王の顔を見たかったが、とりあえずイセカイ号に戻るか。
『ご主人様、なにも船を無力化させるなら嵐を起こすとか津波を起こすとか全て焼き払うとか、もっとお手軽な方法もあったのでは?』
確かにサンタナの指摘の通り。でもなぁ…
「それだとまた自然災害だと思われるし、焼き討ちに関しては人数さえ集めれば不可能じゃないからな。船を失った神王は悔しがるかも知れないが俺の恐ろしさは伝わらないだろ?お前の相手は不可能を可能に出来る存在だぞっていうのをアピールするにはこっちの方がバカバカしくも効果的だ」
『まったく、あるじはとんでもない事を考え付くのだ…さすがのあたしも少し疲れたのだー…』
「よしよし、イセカイ号に戻ったらゆっくり休もうな」
そうしているうちにイセカイ号に到着し、甲板に舞い降りる。半分のメンバーは休んでいたが残りの半分が出迎えてくれた。
「ただいまー」
「あ!かずとだ!お帰り~♡」
「あら、カズト。お帰りなさい。首尾はどうでしたの?」
「おう、バッチリだ。明朝、日の出と共に攻撃を掛ける。奴らが出て来る心配はないから全員しっかり眠っとけ。史上最大の悪戯の結果に乞うご期待だ」
◇◇◇
「な!?なあ!?」
「なんだこれは!?」
「なぜ船が全て陸に上がっているのだ!?」
「いえ、ここは昨日までは海だったのです!一晩で海が陸になったのです!」
「そんなバカな話があるかぁ!?」
翌朝、ゲンの将兵が見たものは。海抜五メートル程に隆起した陸上にあった全ての船だった。
「なっ!?おい坊主!俺の身体は一つしk「おー!まかせろなのだ!ゴーレム増やして突貫工事なのだ!だからいっぱい魔力頂戴なのだー!」
「む…スプライト様がそう仰られるのならば…」
ふふふ。現状ガイアのおっちゃんの扱いに一番長けているのはスプライトだ。というか、ドワーフという種族柄大地の精霊王には頭が上がらないんだな。スプライト的にも信仰される事は心地よいようで、たまにあの髭樽に遊んで貰っているのを見かける。爺さんと孫みたいで結構ほっこりする光景だ。
「あはははっ、かずと、イセカイ号が更に魔改造されちゃうねっ!」
海原を眺めながら可笑しそうにライムが言う。まったく、これが単なるクルージングだったらどんなに良かったか。
「どんどん魔改造すればいいさ。どうせ今回で終わりにしてやるんだ。二度と攻めてくる気にならないように物凄え改造を期待するぜ」
俺の平和な日常をぶち壊した償いは高く付くって事を教えてやらねえとな。
《おにいちゃーん!見えたよ!すごーいいっぱいお船がういてるー!》
約半日後、既に日は沈み暗くなっていたが自分の縄張り(見張り台)で監視していた蘭丸から伝声管経由で報告が上がる。元々蘭丸は金毛九尾の妖狐。とんでもない妖怪だ。目に魔力を込めて夜目を効かせる事など造作もない。
向かっているのは俺達の世界で言う所の釜山。世界は変われどその土地の持つ役割というのは似通ったものになるらしく、こっちの世界でも半島の海の玄関口は釜山になるらしい。
「ちょっと見て来るから皆は休んでてくれ。サンタナとスプライトは多重融合だ。一緒に来い」
「あらあら、ご主人様と夜のお散歩ですか。喜んでお付き合いしますね」
「あるじとお散歩なのだー!ウキウキなのだ!」
「あらカズト、私達はお留守番ですか?まさか一人で済ませてしまおうだなんて考えてはいませんよね?」
サンタナとスプライトは喜んでいるがセリカはちょっとご機嫌斜めだな。ただ膝の上に1号を抱えて愛おしそうに撫でながら言われても。
「なに、すぐに戻るさ。ちょっとした悪戯だよ」
「ちょっとした悪戯ねえ…きっとゲンの人達は目覚めたら大騒ぎになるんだろうね」
ライムが諦めたように呟く。そりゃせっかく悪戯するんだからリアクションは大きい方が仕掛けた方は嬉しいに決まってんだろ。
「ま、楽しみにしてろ」
そう言い捨て俺はサンタナとスプライトと融合し、夜空へと舞い上がった。
「おお!?さすがにすげえ数だな。それにガレオン船か?デカい船の数もかなり揃えてるな」
『本当ですね。海を埋め尽くさんばかりです。ご主人様がいない時にこれに攻められたら一たまりも無いでしょう』
『それであるじ、悪戯って、どうするのだ?』
空を舞い、港の上空で静止し見下ろす眼下の風景はサンタナの言葉通り。本当に凄い数の船だ。十七万の兵を運ぶのだから仕方ないが、途中で面倒になって数えるのを止めた。その上で俺は脳内でスプライトに内容を伝えた。
『あるじ、それはなんともスケールの大きい悪戯なのだ…』
スプライトに呆れられてしまったが今回の悪戯はスプライトの能力がキモなんだ。
『あ、あるじ…もっと…ゆっくり…』
「こうか?」
『は、激しいのだ…もっと…優しく…』
「こうか?これでいいのか?」
『そう、そうなのだ…デリケートなのだ。だからソフトに』
「フッ、なるほど、コツを掴んできたぞ」
『あっ!ダメなのだ!みんなに聞こえてしまうのだ!』
「…もう少しだ。ラストスパートいくぞ?」
『あ、あ、あ…出来ちゃったのだ…』
俺はゲンの水軍の船が停泊しているエリアの上空で恐ろしく広範囲に渡る地形操作を試みていた。もっと具体的に言うと船の停泊地一帯の海底を隆起させようとしていたのだ。ただ隆起させるのであれば問題ないのだがこれは悪戯だ。悪戯が悪戯だとバレてしまっては面白くないからな。ゆっくり、ゆっくり、波の音さえも不自然に大きくならないように緻密に操作していた。ところがスプライトから見るとまだまだ甘いらしく、もっと精度を上げるようにダメ出しをされていたのである。おかげで全てのゲンの船は陸上に上がった格好になり、再び水上に戻すにはかなりの時間と労力がかかるだろう。明朝の神王の顔を見たかったが、とりあえずイセカイ号に戻るか。
『ご主人様、なにも船を無力化させるなら嵐を起こすとか津波を起こすとか全て焼き払うとか、もっとお手軽な方法もあったのでは?』
確かにサンタナの指摘の通り。でもなぁ…
「それだとまた自然災害だと思われるし、焼き討ちに関しては人数さえ集めれば不可能じゃないからな。船を失った神王は悔しがるかも知れないが俺の恐ろしさは伝わらないだろ?お前の相手は不可能を可能に出来る存在だぞっていうのをアピールするにはこっちの方がバカバカしくも効果的だ」
『まったく、あるじはとんでもない事を考え付くのだ…さすがのあたしも少し疲れたのだー…』
「よしよし、イセカイ号に戻ったらゆっくり休もうな」
そうしているうちにイセカイ号に到着し、甲板に舞い降りる。半分のメンバーは休んでいたが残りの半分が出迎えてくれた。
「ただいまー」
「あ!かずとだ!お帰り~♡」
「あら、カズト。お帰りなさい。首尾はどうでしたの?」
「おう、バッチリだ。明朝、日の出と共に攻撃を掛ける。奴らが出て来る心配はないから全員しっかり眠っとけ。史上最大の悪戯の結果に乞うご期待だ」
◇◇◇
「な!?なあ!?」
「なんだこれは!?」
「なぜ船が全て陸に上がっているのだ!?」
「いえ、ここは昨日までは海だったのです!一晩で海が陸になったのです!」
「そんなバカな話があるかぁ!?」
翌朝、ゲンの将兵が見たものは。海抜五メートル程に隆起した陸上にあった全ての船だった。
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