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彼から贈られた婚約指輪を何故か妹が嵌めて居て…その後、二人は結婚する事になりました。
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私は父の勧めで、ある殿方と婚約する事に─。
真面目な所しか取り柄の無い私が相手でもいいと言ってくれた彼に、私は心から感謝した。
そんな中…彼は私に、婚約の証だと指輪を贈ってくれた。
だがその直後…私は左手に怪我を負い、それが治ってからしか指輪を嵌める事が出来なくなった。
その為、指輪は私の部屋の机の中にしまわれる事に─。
とうとう
それから一週間後…何者かに私の部屋が荒らされ、その指輪が消えた。
それに気づいた私は、部屋の中を必死に探したが…とうとう見つかる事は無かった。
私はこの事を、すぐに彼に報告しようと家に呼んだのだが…何故か彼は、私に対し怒って居た。
「お前…本当は俺の事を好きでは無いんだってな。それで、あの指輪をゴミとして処分しようとしたんだって?」
私は、何の事か分からず混乱した。
すると…何故か彼の傍に控えて居た妹が私に近づいて来た。
そんな彼女の左手の指には…私が失くした、あの指輪が嵌められて居た。
返してと言う私に、妹は何を今更と呆れた様に言った。
「ゴミの中に光る物を見つけ何かと思ったら、それは指輪だったの。しかも、前にお姉様が婚約者に貰ったと見せてくれた物だから驚いたわ。お姉様…彼の事が嫌いなら、私に譲って下さい。私は、以前から彼の事を心から好きだったんです。」
それを聞いた彼は…妹の顔をじっくりと眺めた。
そしてそんな彼を、妹も熱い目で見つめ返した。
「お姉様よりも、私の方があなたをうんと大切にしますから!そうだわ…この際婚約などと言わず、いっそ結婚しましょうよ!」
すると彼は…暫し考えた後、口を開いた。
「そうだな、俺は君と結婚するよ。こんな薄情な女とは、もうこの先やって行けないからな。それに…この女の真面目な性格も地味な見た目も、正直つまらないと思って居た所だ。それに引き換え、君は可愛いし…何より、先程話をして居て楽しかったしな。」
こうして彼は、私の話をまともに聞く事無く私を捨て…妹との結婚を宣言したのだった。
その後…落ち込む私を、両親や周りの者は慰めてくれた。
真面目な私がそんな事をするとは思わない、あの二人は余りに身勝手が過ぎる…そんな二人には、いつか罰が当たると言って─。
だがそんな周囲の冷ややかな目を無視し、二人は結婚に向けての準備をどんどん進めて行った。
ところがそんな中…元婚約者の事業が急に傾き始め、彼は多額の負債を抱える事に─。
でも、それも仕方ないだろう。
と言うのも、彼が手掛けて居た事業はブライダル関係で…婚約者を一方的に捨てた男のやる事など信用できるかと、支援者や協力者達からそっぽを向かれる事になってしまったのだ。
そんな彼は、妹に金を借りてこの危機をどうにかしようとした。
しかし…散財ばかりして来た妹は、そんなお金は無いと言った。
だったら親から貸して貰えと彼は言ったが…今回の事に怒って居る父は、彼や妹を助けようとはしなかった。
むしろ…この結婚を機に、両親は妹と縁を切ろうとしていたのだ。
そうなったのは…使用達からいくつもの告発があったからだ。
妹が私の部屋を漁るのを見た、その後あの指輪を嵌めて居た…更には、私が階段から落ち左手を怪我したのも、妹が後ろからこっそり私を突き落したからだと言う証言まで飛び出した。
皆、妹の報復が怖くて今まで言えなかったらしいが…彼女のやった事を許せず、また落ち込む私を憐れに思い、勇気を出して話してくれたらしい。
その後、父に問い詰められた妹は…全て本当の事だと認めた。
そしてそれを知った彼は…どうしてこんな女と結婚すると言ってしまったのか、私を捨てるんじゃなかったと後悔したらしいが…全てが遅いのだった。
結局、二人は喧嘩別れし…妹は自分のした事を反省しろと修道院に送られ、元婚約者は借金取りに追われこの地から姿を消す事になった。
そして、その後の私はと言うと…真面目で誠実な方を新たに婚約者に迎え、穏やかな日々を送る事に─。
彼は私と性格がよく似て居て、一緒に居てとても落ち着くし…何より、彼はずっと私だけを愛するとそれぞれの両親の前で誓ってくれて居る。
そんな彼の行動に、私は漸く幸せを手にする事が出来たのだと…彼から贈られた婚約指輪が嵌まる左手を見つめ、笑みを浮かべたのだった─。
真面目な所しか取り柄の無い私が相手でもいいと言ってくれた彼に、私は心から感謝した。
そんな中…彼は私に、婚約の証だと指輪を贈ってくれた。
だがその直後…私は左手に怪我を負い、それが治ってからしか指輪を嵌める事が出来なくなった。
その為、指輪は私の部屋の机の中にしまわれる事に─。
とうとう
それから一週間後…何者かに私の部屋が荒らされ、その指輪が消えた。
それに気づいた私は、部屋の中を必死に探したが…とうとう見つかる事は無かった。
私はこの事を、すぐに彼に報告しようと家に呼んだのだが…何故か彼は、私に対し怒って居た。
「お前…本当は俺の事を好きでは無いんだってな。それで、あの指輪をゴミとして処分しようとしたんだって?」
私は、何の事か分からず混乱した。
すると…何故か彼の傍に控えて居た妹が私に近づいて来た。
そんな彼女の左手の指には…私が失くした、あの指輪が嵌められて居た。
返してと言う私に、妹は何を今更と呆れた様に言った。
「ゴミの中に光る物を見つけ何かと思ったら、それは指輪だったの。しかも、前にお姉様が婚約者に貰ったと見せてくれた物だから驚いたわ。お姉様…彼の事が嫌いなら、私に譲って下さい。私は、以前から彼の事を心から好きだったんです。」
それを聞いた彼は…妹の顔をじっくりと眺めた。
そしてそんな彼を、妹も熱い目で見つめ返した。
「お姉様よりも、私の方があなたをうんと大切にしますから!そうだわ…この際婚約などと言わず、いっそ結婚しましょうよ!」
すると彼は…暫し考えた後、口を開いた。
「そうだな、俺は君と結婚するよ。こんな薄情な女とは、もうこの先やって行けないからな。それに…この女の真面目な性格も地味な見た目も、正直つまらないと思って居た所だ。それに引き換え、君は可愛いし…何より、先程話をして居て楽しかったしな。」
こうして彼は、私の話をまともに聞く事無く私を捨て…妹との結婚を宣言したのだった。
その後…落ち込む私を、両親や周りの者は慰めてくれた。
真面目な私がそんな事をするとは思わない、あの二人は余りに身勝手が過ぎる…そんな二人には、いつか罰が当たると言って─。
だがそんな周囲の冷ややかな目を無視し、二人は結婚に向けての準備をどんどん進めて行った。
ところがそんな中…元婚約者の事業が急に傾き始め、彼は多額の負債を抱える事に─。
でも、それも仕方ないだろう。
と言うのも、彼が手掛けて居た事業はブライダル関係で…婚約者を一方的に捨てた男のやる事など信用できるかと、支援者や協力者達からそっぽを向かれる事になってしまったのだ。
そんな彼は、妹に金を借りてこの危機をどうにかしようとした。
しかし…散財ばかりして来た妹は、そんなお金は無いと言った。
だったら親から貸して貰えと彼は言ったが…今回の事に怒って居る父は、彼や妹を助けようとはしなかった。
むしろ…この結婚を機に、両親は妹と縁を切ろうとしていたのだ。
そうなったのは…使用達からいくつもの告発があったからだ。
妹が私の部屋を漁るのを見た、その後あの指輪を嵌めて居た…更には、私が階段から落ち左手を怪我したのも、妹が後ろからこっそり私を突き落したからだと言う証言まで飛び出した。
皆、妹の報復が怖くて今まで言えなかったらしいが…彼女のやった事を許せず、また落ち込む私を憐れに思い、勇気を出して話してくれたらしい。
その後、父に問い詰められた妹は…全て本当の事だと認めた。
そしてそれを知った彼は…どうしてこんな女と結婚すると言ってしまったのか、私を捨てるんじゃなかったと後悔したらしいが…全てが遅いのだった。
結局、二人は喧嘩別れし…妹は自分のした事を反省しろと修道院に送られ、元婚約者は借金取りに追われこの地から姿を消す事になった。
そして、その後の私はと言うと…真面目で誠実な方を新たに婚約者に迎え、穏やかな日々を送る事に─。
彼は私と性格がよく似て居て、一緒に居てとても落ち着くし…何より、彼はずっと私だけを愛するとそれぞれの両親の前で誓ってくれて居る。
そんな彼の行動に、私は漸く幸せを手にする事が出来たのだと…彼から贈られた婚約指輪が嵌まる左手を見つめ、笑みを浮かべたのだった─。
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