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平民を虐める悪女だと婚約破棄され学園を去りましたが、困ったのは残された二人でした。
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「悪女とは婚約破棄だ!」
そう言って私を睨む婚約者と、その腕に守られる女─。
「見ろ!彼女がこんなに怯えているのが何よりの証拠だ。いくら彼女が優秀だからって、虐めるなんて…情けないぞ!」
あなたまで、あの噂を信じたのですか…。
『優秀な転入生が気に喰わず、虐めを繰り返す名家のご令嬢。』
これが、今の私への評価だった。
「いくら私が平民出身だからって、酷いです!」
「全く…お前のような悪女はこの学園から出て行け!俺の前から早く消えろ!言い訳など聞くつもりは全く無いのだからな。」
そう…私の話を聞きもしないのね。
だったらもういいわ、言われた通り婚約破棄しましょう。
そして、私はこの学園を去ります。
でもね…私が居なくなったら、あなたたちはきっと後悔する事になるわ─。
(元婚約者視点)
あの女が学園を去った後…俺たちは何故か理事長に呼び出しを受けた。
「わ、私たちを退学に!?」
「理事長、俺たちが何をしたって言うんだ!」
「彼女の家は、この学園を資金面で助けてくれていたが…彼女がここを去る以上、それを打ち切ると言って来た。更に彼女の家だけでなく、そこと仲良くしている他の家からも援助を打ち切ると言われてしまい…そうなったら、もうこの学園は終わりだ!」
「で、でも私は優秀だから…そんな私に憧れてる生徒も多くて、そのおかげで来年の新入生も殺到してるって─!」
「いくら優秀でも、君は彼女が自分を虐める悪女だなんて嘘を流した女だ。そんな女だと分かったら、入学希望者も激減するだろう。」
「理事長、お気付きに─!?」
「あぁ。君たちがあの噂を流し、彼女を悪女に仕立て退学にしようとした事はもう分かってるよ。さっきも言ったように、この学園は彼女の力添えが無ければ経営的にやっていけない。このままでは…私はこの学園の理事長として、君たちを訴える─。」
「そ、そんな…。」
「か、考え直して下さい─!」
(ヒロイン視点)
「…それで、私の所へ来たのですか。」
「そうだ。どうかあの学園に戻って来てくれ。そうしたら、理事長は俺たちを訴えないと言ってくれたんだ!」
「私、やっと平民から成り上がる事ができたの。だからお願い!」
「あなたたちは、私に悪い事をしたと思って謝罪に来た訳じゃないのね。訴えられ、お金と名誉と立場を失う事が嫌…それだけじゃない。私、もうあの学園に戻る気はないわ、別の学園に転入が決まったから。」
「お、俺を見捨てるって言うのか!」
「見捨てるも何も…先に私を捨てたのはあなたでしょう?その女と復縁する為に、わざわざ私を悪女に仕立て上げて。」
この二人は、実は以前に付き合っていた恋人同士だったのだが…貴族と平民という家柄から彼の親に反対され、別れる事になった。
それが何の運命か、学園で出会う事になり…再び愛が燃え上がったらしい。
でも彼には、もう私と言う婚約者が居て…復縁するのに邪魔だから、私を悪女に仕立て消そうとしたのだ。
「そ、そこまで見抜かれて居たのか。」
ガクリと崩れ落ち、情けない姿を晒す彼。
するとそんな彼に見切りを付けたのか、彼女は私にすり寄って来た。
「ね、ねぇ…もうこの彼の事はあなたに返すから…だから私も、そこの学園に入らせてよ?だって、こんなに優秀なのよ!?」
「いくら勉強が出来ても、そんな人間はあの学園には要りません。さぁ…さっさと帰って、今私が話した事をそっくりそのまま理事長に伝えて頂戴─。」
結局、私を連れ戻す事ができなかった二人は、理事長に訴えられた。
するろ元婚約者は家を売り財産を差し出し、何とか事なきを得たが…そのせいで家族から憎まれ、それに耐えきれずこの地から出て行った。
そして平民の彼女の方は、お金など当然持っていない。
唯一持っているのは、若く健康な体のみ。
だから昼間はお針子、夜は娼婦…今やそんな日々の繰り返しだそうだ。
そして私はというと…新しい学園で幸せな毎日を送っている。
だってここには、私を助けてくれた彼が居るから─。
『俺の学園に転入してこないか?俺はそこで生徒会長を務めているんだ。…だから俺なら、君の事を守る事が出来る─。』
幼馴染の彼は、その言葉通り私を守り助けてくれた。
あの二人の過去を突き止め、私の噂はあの二人が流した嘘だと彼が突き止め証明してくれたおかげで、私はもう悪女などと言われる事は一切無くなった。
そして騒ぎが落ち着き、私がこの学園に慣れてきた頃…私は、その幼馴染に告白された。
彼は昔から私が好きで…でもそれが伝えられないまま私が婚約してしまい、酷く後悔していたそうだ。
でもこの学園で一緒に過ごせるようになり、その恋がまた再燃したと言う。
まるであの二人のようだけど…私たちの恋はもっと綺麗で…そして、絶対に破局する事は無いわ。
だって…一緒に過ごす内に、私も彼がとても好きになってしまったから。
そして私は近く、彼にこの気持ちを伝えるつもりよ─。
そう言って私を睨む婚約者と、その腕に守られる女─。
「見ろ!彼女がこんなに怯えているのが何よりの証拠だ。いくら彼女が優秀だからって、虐めるなんて…情けないぞ!」
あなたまで、あの噂を信じたのですか…。
『優秀な転入生が気に喰わず、虐めを繰り返す名家のご令嬢。』
これが、今の私への評価だった。
「いくら私が平民出身だからって、酷いです!」
「全く…お前のような悪女はこの学園から出て行け!俺の前から早く消えろ!言い訳など聞くつもりは全く無いのだからな。」
そう…私の話を聞きもしないのね。
だったらもういいわ、言われた通り婚約破棄しましょう。
そして、私はこの学園を去ります。
でもね…私が居なくなったら、あなたたちはきっと後悔する事になるわ─。
(元婚約者視点)
あの女が学園を去った後…俺たちは何故か理事長に呼び出しを受けた。
「わ、私たちを退学に!?」
「理事長、俺たちが何をしたって言うんだ!」
「彼女の家は、この学園を資金面で助けてくれていたが…彼女がここを去る以上、それを打ち切ると言って来た。更に彼女の家だけでなく、そこと仲良くしている他の家からも援助を打ち切ると言われてしまい…そうなったら、もうこの学園は終わりだ!」
「で、でも私は優秀だから…そんな私に憧れてる生徒も多くて、そのおかげで来年の新入生も殺到してるって─!」
「いくら優秀でも、君は彼女が自分を虐める悪女だなんて嘘を流した女だ。そんな女だと分かったら、入学希望者も激減するだろう。」
「理事長、お気付きに─!?」
「あぁ。君たちがあの噂を流し、彼女を悪女に仕立て退学にしようとした事はもう分かってるよ。さっきも言ったように、この学園は彼女の力添えが無ければ経営的にやっていけない。このままでは…私はこの学園の理事長として、君たちを訴える─。」
「そ、そんな…。」
「か、考え直して下さい─!」
(ヒロイン視点)
「…それで、私の所へ来たのですか。」
「そうだ。どうかあの学園に戻って来てくれ。そうしたら、理事長は俺たちを訴えないと言ってくれたんだ!」
「私、やっと平民から成り上がる事ができたの。だからお願い!」
「あなたたちは、私に悪い事をしたと思って謝罪に来た訳じゃないのね。訴えられ、お金と名誉と立場を失う事が嫌…それだけじゃない。私、もうあの学園に戻る気はないわ、別の学園に転入が決まったから。」
「お、俺を見捨てるって言うのか!」
「見捨てるも何も…先に私を捨てたのはあなたでしょう?その女と復縁する為に、わざわざ私を悪女に仕立て上げて。」
この二人は、実は以前に付き合っていた恋人同士だったのだが…貴族と平民という家柄から彼の親に反対され、別れる事になった。
それが何の運命か、学園で出会う事になり…再び愛が燃え上がったらしい。
でも彼には、もう私と言う婚約者が居て…復縁するのに邪魔だから、私を悪女に仕立て消そうとしたのだ。
「そ、そこまで見抜かれて居たのか。」
ガクリと崩れ落ち、情けない姿を晒す彼。
するとそんな彼に見切りを付けたのか、彼女は私にすり寄って来た。
「ね、ねぇ…もうこの彼の事はあなたに返すから…だから私も、そこの学園に入らせてよ?だって、こんなに優秀なのよ!?」
「いくら勉強が出来ても、そんな人間はあの学園には要りません。さぁ…さっさと帰って、今私が話した事をそっくりそのまま理事長に伝えて頂戴─。」
結局、私を連れ戻す事ができなかった二人は、理事長に訴えられた。
するろ元婚約者は家を売り財産を差し出し、何とか事なきを得たが…そのせいで家族から憎まれ、それに耐えきれずこの地から出て行った。
そして平民の彼女の方は、お金など当然持っていない。
唯一持っているのは、若く健康な体のみ。
だから昼間はお針子、夜は娼婦…今やそんな日々の繰り返しだそうだ。
そして私はというと…新しい学園で幸せな毎日を送っている。
だってここには、私を助けてくれた彼が居るから─。
『俺の学園に転入してこないか?俺はそこで生徒会長を務めているんだ。…だから俺なら、君の事を守る事が出来る─。』
幼馴染の彼は、その言葉通り私を守り助けてくれた。
あの二人の過去を突き止め、私の噂はあの二人が流した嘘だと彼が突き止め証明してくれたおかげで、私はもう悪女などと言われる事は一切無くなった。
そして騒ぎが落ち着き、私がこの学園に慣れてきた頃…私は、その幼馴染に告白された。
彼は昔から私が好きで…でもそれが伝えられないまま私が婚約してしまい、酷く後悔していたそうだ。
でもこの学園で一緒に過ごせるようになり、その恋がまた再燃したと言う。
まるであの二人のようだけど…私たちの恋はもっと綺麗で…そして、絶対に破局する事は無いわ。
だって…一緒に過ごす内に、私も彼がとても好きになってしまったから。
そして私は近く、彼にこの気持ちを伝えるつもりよ─。
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