上 下
41 / 42
両思い

41

しおりを挟む
「パン屋で働き始めたシャルに誰より先に声を掛けてよかった。話せる様になると俺の仕事が危険を伴う事もよく分かって心配してくれるのが嬉しかった。俺が1番に声を掛けたからと、シャルの事を狙っていた仕事仲間には牽制できたし、デートに誘ったら喜んで来てくれたシャルをますます好きになった」

 いつもより饒舌に話すゼクルスは僕の髪にキスをしたり、耳の裏を触ったり、胸を触れるくらいに撫でられたり。全部自分が触れていい物だと言わんばかりに身体全体を優しく触れながら話し続けていた。

「デートをしていた時に手を握ろうと何度も思ったんだよ。でも俺は仕事上、普通の手じゃない。硬くてゴツゴツしててよ……。シャルにこの分厚くなった皮の硬い手を気づかれたく無かった」

「そんな事ない!!僕はゼクルスの手が好きだよ!!仕事を頑張っている立派で凛々しい手だ」


 僕は咄嗟にゼクルスの両手を掴んだ。ゼクルスの皮膚の皮が厚くなった手は本当に立派な手だし、ゼクルスがそんな悩んでいたなんて知らなかった。

「ああ。俺は思い違いをしていた。そんな事なんか気にせず、シャルともっと早く手を繋げばよかった。それがシャルが催眠術を俺に掛けてくれたお陰でよく分かったよ」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【2話目完結】僕の婚約者は僕を好きすぎる!

BL / 完結 24h.ポイント:99pt お気に入り:672

ギルドの受付の誤想

BL / 完結 24h.ポイント:319pt お気に入り:452

遠い土地に奪われた王子の話~望郷~

BL / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:733

セーフワードは、愛してる。

BL / 完結 24h.ポイント:340pt お気に入り:110

宰相閣下の絢爛たる日常

BL / 完結 24h.ポイント:773pt お気に入り:844

処理中です...