たばことネオンとキミ

2525はなちゃん

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第一章 仕事

学生時代.2

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「....い、おーい、工藤!工藤!!」

「え!」

「お前実習今日までだったんだろ?それでバイトって働きすぎじゃね?」

こいつは同級生の神谷。小中一緒で何度か話したことがあったが、バイトが一緒になったことをきっかけに仲良くなった。

「んー、まー、大丈夫じゃん?」

「お前心ここに在らずって感じだけど、聞いたんだろ?」

「んー?、なにが?」

「櫻井大介が辞めるの。」

「、、、なんでわかるの。」

「失恋した女の顔してる。」

「あんた失恋した女の顔なんて知ってるの?てか、なんでここにいるのよ。」

「飲んでたから。」

「え?あんたいたの?」

「いたよ、博紀たちと一緒に。わざわざキッチンまで行って声かけてるのに、お前あいつのことばっか見てて全然聞いてねぇんだもん。」

「み、見てないわ!」

「で、どーすんの?まだ伝えてねーんだろ」

「どうするも何も。。」

「もう2度と会えないかもしれないぞ。」

もう2度と。そんなことわかってる。
この2年間、何度も何度も伝えようと思った。だけどこんな私に告白されても困るかなとか、せっかく仲良くなれたのにもし話せなくなったらと思うと怖くて言えなかった。

「なぁ。なんであいつなんだよ。」

「なんでって。。

まぁ今日仕事変わってくれたから神谷にはいうけどさ。」

そして私は櫻井さんと出会ったばかりの3年前の話をし始めた。

~~~~~~~~~~

3年前の春。桜が全て舞い落ち、道路が桜の花びらで覆われていた時期。

大学が一緒になり、地元が近かったこともあり友人と駅の近くのファミレスで食事をした帰りのこと。

「真美、じゃあまた明日ね!」

「うん!またね!」

友達と別れて自宅に向かうバス停にひとりで向かった。そのとき。。

タタタ...

「っっっ!?」

後ろから走ってきた人に急に後ろから抱きつかれた。一瞬友人かと思ったが、スカートの中に手を入れられ、履いていたストッキングが破れる音がした。

「っっっ!!!」

声を出したいのに出ない。怖い。助けて。

「おい!」

どこからか聞こえたその声にパンツの中に入ってきていた手がピタッと止まった。そして背中に感じていた気持ち悪い温かさがなくなった。

力なく膝から崩れ落ちた私に聞こえた声の主が近寄った。

「大丈夫ですか?」

着ていた上着をそっと私の下半身にかけてくれる。それでも今起きた恐怖から身体が大きく跳ね上がる。

「今警察呼ぶからね。」

恐怖で硬直している身体。目だけを動かすと周りには人だかりができていた。

「あら、可哀想に。。」「え?なに?痴漢?」「なになに、どうしたんだ」

状況がやっと理解できた私は、ただ震えて涙を流すことしかできなかった。

「大丈夫だからね。もう大丈夫。」

警察に連絡してくれていたその人は身体には触れず、ずっと私のそばにいて、私の姿が他から見えないように大きな背中を盾にしてくれた。

そして数分後、サイレント共にやってきた警察。

「もう警察が来たから大丈夫ですからね。身体に触れても大丈夫かな?」

婦警さんに身体を支えてもらいながらやっと立ち上がれた時、警察に連絡してくれたその人の顔をようやく見ることができた。それが櫻井さんだった。

「お兄さん、目撃してた?」

「あ、いや、僕は犯人の後ろ姿と向こうに走っていったのは見たんですけど、顔とかまでは、、」

ありがとうございました。その一言だけでも言いたかったけど、恐怖から声を出すことも忘れてしまったかのようで、私が話せるようになったのは警察署についてからだった。

そしてそんな騒動があった3ヶ月後。アルバイトとして入った飲食店で、櫻井さんと再会することとなった。

それから私が櫻井さんに恋に落ちるのはそう遅くはなかった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「でも、まだありがとうも言えてないんだよね。」

「何で?仲良くなったんだから言えばいいじゃん」

「あんな姿見られたことも恥ずかしいし、なんか、言えなくて。」

「。。まぁ俺はさ、告白しようと、しなかろうと、お前のこと応援してる。」

神谷は「送るよ」と言って私を家まで送ってくれた。




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