離れていても君を守りたい

jun

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ニコラス第二王子になってから

俺達の関係

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ミリアの存在は、俺とアルにとっては脅威だった。

ミリアがどう育つかによって、アルに擦り寄るのか、俺の婚約者に選ばれる程の人間になれるのか、優秀に育ったからといって俺の婚約者にはなってほしくない。

二人でそんなことばかり相談していたせいか、アルとフローラは婚約はしているが、前世のような仲良しカップルという甘いものではなく、気の置けない友人のような関係になっていた。

俺とフローラは・・・微妙な関係だ。

俺がたまにフローラを見ては涙ぐむから、フローラは俺の事を母親のような目で見ては、

「もうニコ様は泣き虫ね。ほら、涙を拭いてあげますよ。」とハンカチで涙を拭いてくれるが、その姿は母親か姉のようだ。

まあ、仲が悪いよりはアルも俺も良いだろう。

そんな俺達は14歳になった。

そしてアルの母親…前世の俺の母親は死ななかった。
確かに病気にはなったが、不治の病ではなく治療可能な病気だったので無事完治し、今も元気に夫婦仲良く暮らしている。
マイクも留学せずに屋敷で暮らしていた。

フローラの妹は外出を殆どせず、屋敷でひたすら勉強しているのだとか。

あのルミアが勉強している事に驚いたが、俺と結婚し、反省してからは勉強も頑張っていたから、今世は知識欲が強いのかもしれない。
だからフローラと一緒に俺の所に来る事もない。
四年前に一度会ったきりだ。

アルもあまりミリアとは話した事がないそうだ。
フローラの話しでは、対人恐怖症なのだとか。
他人の視線が怖いと言って自室に籠っているんだとか。

前世は男性恐怖症で、今世は対人恐怖症・・・。
誰かに助けてもらわなければ生きていけない人なのだろう。

弟大好きシモン兄様は、今は婚約者のクラフト侯爵家のアグネス嬢に夢中だ。

俺の所によく連れてきては、
「ぼくのおよめさんになるアグネスだよ!」
と婚約前から宣伝して回った甲斐があり、兄様が12歳になった時、婚約した。
アグネス嬢は前世でも王太子妃になっていた。
アグネス嬢は、華やかさはないけどとても優秀で品のある穏やかで優しい人だった。
俺もこの人が義理の姉になるのは嬉しい。

そして前世はいなかった妹のジュリアは、どうしてそうなったというほどじゃじゃ馬になってしまった。
母上に叱られながらも騎士団に入り浸り、剣を振り回していて、将来は女性騎士になるんだとか…。
ジッとしていれば母上似の美人さんなのに…。

そしてそのワンパクな妹はアルの事が好きなのだ。

でもフローラと婚約しているから諦めるしかない恋心を慰める為に剣の道に逃げている状態だ。
我儘な性格じゃなくて良かった。

その妹が、

「ニコ兄様は婚約者作らないの?好きな人もいないの?」

と俺の部屋でお茶を飲んでいる。

10歳になった妹は淑女教育が苦手で、それが終わるとここに来ては愚痴を言っている。

なのに今日はそんな質問をしてきた。

「俺は兄上が結婚してから考えるよ。
まあ、結婚する気もないんだけどな。
俺も騎士団に入ろうと思ってる。
ジュリアと一緒に騎士になろうかな。」

「え⁉︎ニコ兄様騎士になるの?鍛錬してるの?」

「そりゃあしてるよ、俺も一応王子だからね。身体を動かすのは好きだから。」

「じゃあ今度一緒にやろう、ニコ兄様!」

という訳で妹と騎士団の鍛錬場で剣を交えているのだが、王子と王女は目立つらしく気付けばギャラリーが増えていた。

「ジュリア、もう帰るぞ。少し目立ってきた。」

「ええーーもう少しいいでしょ、ダメ?」

「母上にまた叱られるぞ、今度はバーバラ先生まで出てくるぞ。」

マナー教師のバーバラ先生は王族だろうが容赦がない。
母上より怖い。

「ぐぬぬ…」と唸った後、俺とおとなしく帰る事にしたジュリアが「あ!」と声を出した。

ん?と思い、ジュリアの視線の先を見るとアグネス嬢が誰かと話している姿が見えた。

「アグネス様だわ、お話ししているあの方はどなたかしら?」

二人で見ていると、視線を感じたのかアグネス嬢がこちらを見た。
相手の男性もこちらを見た。

二人は少し驚いた様子だったが、直ぐに俺達に礼をして逆方向に別れて歩いて行った。

「アグネス様はシモン兄様の所にいくのかしら?いつものお勉強のお部屋とは違う方向よね。」

「そうじゃないか、兄上の執務室の方角だから。」

とは言ったが、あの二人の様子が気になった。

男性の事が気になったのか、二人の様子が気になったのか…いつもと違うアグネス嬢に違和感を感じた。

いつもは俺達に気付けば、手を振りきちんと挨拶に来てくれる。

なのにさっさと行ってしまったアグネス嬢は、なんだか泣いていたような気がした。

「ねえねえニコ兄様…アグネス様、泣いてなかった?」

変なところは察しが良い妹は気付いてしまったようだ。

「ジュリア、兄上には今見た事は内緒だ。
約束だ、分かったな。」

俺の真剣な顔に妹も真面目な顔で頷いた。


前世でシモン王太子殿下と王太子妃の仲がどうだったのか俺は分からない。

明日アルに聞いてみようと思い、ジュリアと各自部屋に戻った。


アグネス嬢と話していた男性が誰かは思い出せなかった。
でも見た事があるような・・・。
そんな事を考えていた時、兄上が部屋にやってきた。

「ニコー、休憩しようー!」

「あれ?アグネス嬢は?」

「え?今日はアグネス来てないよ、どうして?」

「あ、いや、いつも一緒だから今日も一緒なのかと思っただけだから。」

「まあね!でも最近アグネス、元気ないんだよね~訳を聞いても教えてくれなくてね…。
頼ってくれても良いのに・・・」

と溜息をはく兄上。

「兄上、アグネス嬢とは上手くいってるんだよね?」

「ニコーー、兄上なんて呼ばないでよ~兄様って呼んでよ!」

「もう俺も14ですよ、いつまでも兄様なんて呼べません!」

「ジュリアはワンパク坊主になっちゃったし、やっぱりニコはお兄ちゃんの癒しなんだからそんな事を言わないで!」

「もう兄様も16でしょ!もっと王太子らしくしてよ!」

「他所ではちゃんとしているよ。
じゃあそろそろ戻ろうかな。またね、ニコ。」

そう言って戻って行った兄は、アグネス嬢との事には答えてくれなかった。


あんなに大好きだったアグネス嬢と兄の間で何があったのか・・・。


明日アルに前世の兄夫婦の事を確認せねば。

















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