離れていても君を守りたい

jun

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ニコラス第二王子になってから

前世の王太子夫妻

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翌日、勉強会にやってきたアルと勉強をみっちりこなし、ようやく終わった夕方、昨日見たアグネス嬢の事を話した。

「兄上はアグネス嬢の事を心配していたけど、上手いってるのか聞いても答えてくれなかった。
俺は前世の王太子夫妻の事をよく知らないが、仲はどうだったんだ?
今世は5歳くらいからアグネス嬢連れ回して、僕のお嫁さんって言いふらしてたくらい大好きな人なのに、将来は不仲になったのか?」

「兄上とアグネス嬢は仲は良かったが…何というか多分アグネス嬢は他に好きな人がいたんじゃないかな…。
その事に気付いた兄上…えーと、シモン様は後悔していたかな…。
子供の時からアグネス嬢の選択肢をなくしてしまっていたからな…。
最初は仲が良かったんだ。
アグネス嬢もシモン様の事を好きだったと思う。
でも、クラフト家の跡取りはアグネス嬢だけ。
だから遠縁の子爵家の三男を養子に取った。
その義理の兄を好きになってしまったらしい。
おそらく昨日話してた男は、その養子になった男だろうな。
確か騎士団に入ってたな。」

そういえば騎士団の制服だったような気もする。

「じゃあ、王宮に来ればその男にも会えるって事かぁ…兄上はその姿を見ちゃったのかもな…。
あんなに大好きなのに・・・。」

「それでもシモン様もアグネス嬢も表面上は仲良さげだった。
シモン様は以前のような溺愛っぷりは無くなったが。
それで気付いたんだろう、自分が誰を好きなのかを旦那は気付いてるってな。
だから必死に愛情を取り戻そうとしていた。
でも今更だ、シモン様は跡取りの王子が二人生まれたら寝室は別々になった。
側妃も娶らなかったけど、妃殿下への愛情も薄れていってた、って感じかな。」

「兄上・・・・」

「まあ、俺とフローラは熱烈ではなかったけど、穏やかな夫婦生活だった。
お互いちょうど良かったんだ、結婚相手にするには。
学園でもちょこちょこ生徒会で一緒だったし、お前とルミアはフローラの近くには来なかったから、気の毒でつい声をかけていた。
好きだからとかではなかったが、可哀想だなと思ってた。
殆どがお前達の事を噂してるのに、当事者のフローラだけ何も知らずにお前を一途に慕っているのを見て、少し腹が立ってたな。」

「ん?俺達に?」

「いや、フローラに。」

「え?なんで?」

「周りに守られて気付かなかったのは仕方ないんだろうけど、普通気付くだろって思ってた。
いくら義妹が怖がるから学園で会わないように婚約者を避けるなんて、どう考えてもおかしいだろ。
呑気に放っておいたからあんな事になるんだ。
実際、お前とルミアが本当に出来たのは卒業直前だろ?
ルミアがその辺りから変わったからな。
お前らの近くにいた奴らは全員気付いてたのに、その事も隠して結婚させた公爵家側もどうかと思ってた。
で、案の定結婚して数ヶ月であの騒ぎだ。
ちょうど父上に婚約者をそろそろ決めろと言われていたからフローラに結婚を申し込んだのが実態だ。」

「そうだったのか・・・。
相思相愛で結婚したのかと思ってた…。
お前が献身的にフローラを支えて、フローラの耳も治って結婚したって聞いてたから…。」

「まあ、周りが勝手にそう思ってただけだ。
でもフローラが婚約者になってからは大事にしたし、お前みたいに浮気もしなかったしな。
結婚して子供が生まれて、孫も見た後俺は死んだかな。

兄上…あ、シモン様と王太子妃も離縁する事もなかったが、幸せだったかはどうだろうな…。」

「もう兄上で良いよ、俺とお前しかいないし。」

「済まない、つい…。」

「でも何も知らなかったな…。俺達はとにかく誰からも何も教えてもらえなかったし、親しくもしてもらえなかったから…。

しかし、兄上達は今ならなんとか出来るんじゃないか?
アグネス嬢も今ならまだ踏ん切りつけられるだろ?」

「だな。一度、どっちかに聞いてみる。ハッキリ聞いた方が早いからな。」

「で、お前は良いの?フローラの事、好きなんだろ?」

「は⁉︎だってお前ら婚約してるだろ!
それにフローラには幸せになってもらいたいから…。」

「ふう~ん、へえ~、そう~」

「な、なんだよ、仕方ないだろ!婚約解消なんかしたらまたフローラが傷付くだろ!」

「俺はフローラと結婚するのは全然問題ないけど、フローラはなぁ~どうかなぁ~」

「フローラ、誰か他の奴が好きなのか⁉︎」

「さあ~少なくとも俺の事はただの幼馴染みとしか思ってはいないな。」

「フローラを泣かせるような事はするな…頼むから…」

「お前はホントによく泣くな~、分かったよ、だから泣くな!」

「もうフローラを傷つけたくないんだよ…ずっと笑っていてほしいんだ…」

「はいはい、分かったから。フローラがいたらまた笑われるぞ、“ニコ様は泣き虫なんだから”ってな。」

「うるさい!お前はもう帰れ!」

じゃあなと笑って帰っていったアルの話しは俺の知らない事ばかりだった。

辛くてチラッとしか見た事がなかったフローラとニコラスが打算的な結婚だったなんて…。

その事よりも先ずは兄上とアグネス嬢の仲をなんとかしなければ。


なんだかフローラの幸せだけを遠くから見守ろうと思っていたのに、それどころではなくなってきた。

とにかく身内の幸せを何とかしなきゃ!
















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