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ニコラス第二王子になってから
兄の悩み事
しおりを挟む翌日の朝食の席で、兄上にどう聞こうかと考えながらパンをモソモソ食べていたら、
「どうした、ニコ、調子悪いのか?」と兄上が声をかけてきた。
「ホントにシモン兄様はニコ兄様に過保護よね~私にはそんな事を聞いてきた事ないのに!」と頬を膨らませ怒っている妹。
「ジュリア、そんな顔しない!少しは王女らしくしなさい!」と妹を叱る母上。
「ジュリアは騎士になりたいんだろ?
そんな事でいちいち怒っていたら騎士にはなれんぞ。
騎士とは、名誉や礼儀を重んじ、弱気者を守る者達だ。
王女のような振る舞いが出来ぬとも、名誉や礼儀は正しく学びなさい。分かったね、ジュリア。」
父上の言葉に膨らませていた頬を戻し、姿勢を正してジュリアは、
「はい、お父様。申し訳ございませんでした。」と謝った。
うんうんと笑う父上はカッコいい。
我が国の国王は素敵だ。
自慢の父と兄弟妹全員が思っている。
「もう、マティはジュリアに甘いわ!」
母上はジュリアがもう少し女の子らしくなってほしいのだ。
父上、母上、ジュリアでワイワイやってうちに兄上に話しかけた。
「兄上、今日時間ありますか?」
「ん?学園が終わった後、執務があるからその後、そうだな…夕食の後で良いならあるよ。どうした?何か悩み事?」
「うん・・・少し兄様に聞きたい事があって…」
「お⁉︎兄様って呼んだって事は何か個人的な事だな!よし、お兄ちゃんはニコの悩みを解決してやろう!」
いやいや、俺じゃなくて兄上の事なんだけどね。
「まあ、じゃあ、夕食後、俺の部屋か兄様の部屋のどっちかで良い?」
「じゃあニコの部屋に行くよ。じゃあな。」
兄様は学園の一年生で、俺が一年になった時、兄様は三年生だ。
学園で兄に会ったら大変そうだが、楽しみでもある。
昼間はアルと二人で、勉強と剣の稽古を夕食前までやった。
結局なんて聞こうかと考えても分からないので、ハッキリ聞こうと決めた。
夕食後、いつもは家族用のサロンで各々のんびりするが、今夜は俺と兄上は行かなかった。
ジュリアが男同士でいやらしい!と意味も分からずそんな事を言ったから、また母上に叱られていた。
部屋で待っていると直ぐに兄上は来た。
「ニコ、来たよ。」
いつもの兄上だけど、少し暗い感じがする兄に眉が寄る。
「何かあったの、兄様。」
「いや、何もないよ…。
そんな事より、可愛い弟の悩みは何かな!」
「今日、アグネス嬢に会ったの?」
一瞬、顔を顰めた後、
「王太子妃教育には来ていたみたいだけど、俺は会ってないかな。
それがどうかした?」
「兄様、ハッキリ聞くよ。アグネス嬢と何かあったよね?
俺は兄様にそんな顔させてる原因が何なのか、そしてその原因がもしアグネス嬢なら、一人で悩まないで俺に話してほしい。
力になるから。
兄様を悲しませてるのはアグネス嬢の心変わりなんじゃないの?」
ハッとした顔をした後、ハアーと溜息をついた兄上が、顔を天井に向けたまま、
「お前にバレるほど彼女は彼に会ってるのか?」
「いや、俺が見たのは一度だけ。でも様子がおかしかった。
その後兄様を見ていたら何か悩んでる感じがしたから心配だった。
だからカマをかけた。」
「意外とニコは鋭いんだな、さすが俺の弟だ。俺もまだまだだな…顔に出てたか…。」
悲しげに微笑む兄様の顔を見てると、昔の俺のようで胸が痛い。
「どうするの、このまま何も言わずに結婚するの?
兄様が我慢する必要なんかないよ、ちゃんとアグネス嬢と話し合った方が良い。
なんなら俺も同席するよ!
このままでなんか絶対ダメだ、多分アグネス嬢は兄様が気付いてる事にも気付いてないよ。
後でそれが分かった時、後悔する。
今なら腹を割って話せるよ、兄様、頼むから兄様は幸せな結婚生活を送ってよ!
俺は兄様が幸せになるなら嫌な役もするから。」
小さい時から優しくて可愛がってくれた大事な兄。
この国の未来を背負っていく人の隣りに、兄を傷つける人がいて欲しくない。
俺に出来る事なら何でもするから、一人で耐えるような結婚はして欲しくない。
「ニコ…ありがとう。こんなに頼りになる弟にいつの間にか育っていたとは、お兄ちゃん嬉しいよ。
いつからかな・・・アグネスは王宮に来ても俺に会いには来なくなった。
決められた日にはお茶を飲んで帰るが、それは義務としてだ。
以前のような勉強の後のお楽しみの時間ではなくなってた。
それが何故なのか分からなかった。
でも偶然見てしまった…。
騎士団の鍛錬場の近くの庭園で、アグネスが養子になった義兄と楽しげに差し入れを渡して話している姿は、どう見ても好きな男に対しての態度だった。
俺には会わないのに、ソイツには会っていた。
それで分かったよ…アグネスはもう俺を好きではないってな…。
でも今更婚約解消なんて出来ないだろ…。
みっともないけど、俺はまだアグネスが好きだしな…。
だったらこのまま気付かないフリをしようと思った。
でもやっぱり少ししんどかった…。
ありがとな、ニコ。
お前が俺の事を心配してくれてた事も、
俺たちの事を心配してくれた事も、
そして俺の将来を心配してくれた事、嬉しかった。
一度、アグネスと話してみるよ。
俺も覚悟を決めた。
これでフラれたら、ニコ、慰めてよな。
でもまだ父上達には言うなよ。」
そう言った後、俺の頭を撫でてから兄上は部屋を出て行った。
数日後、兄上とアグネス嬢は長い時間話し合ったようだ。
その後兄上が、
「俺は解消しても良いって言ったんだけど、アグネスが泣いちゃって話しにならなかったんだよ。
で、しばらく時間を置いてから答えを聞く事になったんだけど、その時はニコ、お前も同席してくれる?
俺ね、何だかもう以前のようにアグネスを一途に愛せないようになったと思う。
でも、今こんな状況だからなのかもしれないから、客観的に俺達を見て、話しを聞いてほしいんだ。
1カ月後、もう一度アグネスと話し合う。
ごめんな、ニコ。」
そして1カ月後、兄上とアグネス嬢との話し合いの席に俺も加わった。
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