47 / 102
側にいれば
しおりを挟むカール視点
死ねなかったのか…。
あの時、
シシリーの側にいれないなら、
シシリーに軽蔑されるなら、
もう死ぬしかない。
そう思って、首を切った。
なのに、団長が助けてくれたのか…。
ミッシェル、怒ってたなぁ…。
そうだよな、俺のした事はシシリーを傷付ける事だから。
それでも許せなかったんだよ、ミッシェル。
何も知らないでシシリーの横で笑ってるブライアンを、どうしても許せなかった。
シシリーが言わなかったから知らないのは仕方なくても、少し考えたら分かりそうなものだ。
だから、他の女とやってるところを見せればシシリーはアイツと別れると思ったんだよ。
ブライアンといれば、結婚しても嫌がらせは続く。
そんな環境にシシリーを置いておきたくなかった。
俺が側で守れる時は良い。
側にいない時、側にいられない時、
それは隣にブライアンがいる時だ。
ブライアンがシシリーの側に居ればいるほど、シシリーへの嫉妬が増幅する令嬢達。
だから、俺はベルを唆した。
なのに、二人は別れなかった。
手を繋ぎ、仲良く歩いていた。
失敗したのか?と思った。
試しにベルの店の話しをしたら、二人は反応した。
ブライアンは媚薬を飲んだんだ。
そして、ベルとやったんだ!
なのに、何故?
混乱したまま、執務室へ戻ると、団長とミッシェルがいた。
あ~バレたのか。
そして、シシリーはブライアンを許したんだ…。
そうか…ブライアンが他の女を抱いてもシシリーは許したのか…。
なら、俺に出来る事はないな…。
もう、あの二人を別れさせることなんか出来ない…。
だから、シシリーに軽蔑される前に死のうと思った。
なのに…。
首を切ったから声も出せない。
まだ、身体も動かせない。
血を流しすぎたんだな…
シシリーは大丈夫だろうか…
泣いてはいないだろうか…
執務、溜め込んでるだろうなぁ…
ヤコブへの引き継ぎなんてしてないのに、アイツ、大丈夫だろうか…
団長…怒ってるだろうなぁ…
団長だって、シシリーの事好きなのに、どうしてブライアンから奪ってくれないんですか、団長なら俺は…。
団長はブライアンから奪うなんて、そんなことしないか…
楽しかったなぁ…
俺…戻りたいなぁ…
シシリーに会いたいなぁ…
「シシリー、意識戻ったらしいぞ。」
「本当か⁉︎良かった…。一時は危なかったんだろ?」
「ああ、団長が気付くの遅かったら死んでたらしい。ラルス団長も副団長もミッシェルも眠らされてたから、団長が来なかったらと思ったらこぇーよ。」
「しかし刺された後に毒だろ?よく助かったな、シシリー。」
「ホントだよな、でも良かった良かった。」
ドアの外にいる俺を監視している同僚達が、話している内容に、頭がついていけなかった。
シシリーが死ぬところだった?
刺された?
毒?
何があった⁉︎
今度は媚薬じゃなく、命を狙ったって事なのか⁉︎
ラルス団長もブライアンもミッシェルも眠らされたと言っていた。
そんな事あるのか⁉︎
俺がシシリーの側にいればそんな事にはならなかった!
なんで死のうとした!シシリーの側をどうして離れた!
どうせ死ぬならシシリーの代わりに死ねば良かったのに!
シシリー…
俺はお前を守って死にたい…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4,002
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる