帰らなければ良かった

jun

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番外編 新人達は楽しくて仕方ない〜結婚式の裏側

新人料理人モーガンは食べさせたい

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俺はモーガン・フラタナス、20歳、男爵家の次男だ。
俺はここ、騎士団の食堂に勤めてまだ一年ほどだ。
最初は騎士としてここに来た。
でもここの料理を食べて衝撃をうけた。
俺もそこそこ料理が出来る男なのだが、こんなに手際良く美味しい料理を大量になんて作れない。
食堂に来ては、厨房が見える席を陣取り、ずっと覗いていたら、コック長に声をかけられた。

「お前は料理を作りたいのか?」
と聞かれ、そうだと言ったら、騎士などやめて料理人になればよかろうと言われた。
ここでコック長から技を盗もうと、皿を洗う時や、野菜を洗っている時などコック長を凝視している日々だ。
だが、まだ皮剥きしかやらせてもらえない。
仕方ない、まだ一年だ。

だが、もうすぐ一年となる頃、ビッグイベントの巨大ケーキを作る、という密命がコック長に下された。
コック長のスイーツは最高だ。
作るのは、苺のデコレーションケーキ。
あのフワフワのスポンジケーキは俺には作れない。
でも、飾り付け出来る何かを作りたい。
コック長始め、他の料理人達は連日会議を開いては、どんなケーキを作るか考えている。
デザインがなかなか決まらない。
やっと決まったデザインは素敵なものだったが、何か物足りない。
何だろうか…と悩んでいた時、厨房の隅で見習い騎士達が苺飴を作っていた。

じっと見ていると、飴が固まってきたのか、伸びた飴は糸のようになった。

綺麗だなぁ…と思った瞬間、思い付いた!

これだと。

それから、騎士達が帰った後に残った飴を溶かし、色々な形を作った。
柔らかすぎては形が崩れるし、硬すぎると厚みがあり、硬い。
試行錯誤し、バラの花を作った。
コック長に見せようと、厨房のカウンターに置いていたら、

「うわあ、何コレ!凄い綺麗!これ、食べて良いの?」
と声がした。
ヤバイ…この声は…。

「あ、シシリーリーダー、お疲れ様です。」

「あ、モーガン!久しぶり!ここは慣れた?」

「はい。料理は奥が深くて楽しいです。」

「そっか、良かったね。で、これは何?モーガンが作ったの?」

「そう…ですね…。」

「うわあ~すごい!これ何?飴?飴でこんなの作れるの?」

「まあ…」

「えー食べてみたーーい!」

「いや、これは…」

「使うの?」

「まあ…」

「じゃあ、仕方ないか。試作なのかな。新作楽しみにしてるね!」

そう言って行ってしまった、シシリーリーダー。

新人は一度は好きになる美しい人。
俺も憧れた。

そう巨大ケーキは、シシリーリーダーとブライアン副団長のウエディングケーキだ。

食べたいと言ってくれた。

だったら、食べてもらおうじゃないか!

とりあえずコック長にバラを見せた。

「ケーキに後少し飾りがあったら、もっと豪華になると思うんです。他の形も作ってみます。一度みてはもらえませんか?」

「・・・後、何を作ろうと思っている?」

「バラの花弁を。」

「花弁か…。なかなか良いな。モーガン、作ってみろ。」

「はい!頑張ります!」

それからは仕事が終わった後、バラと花弁を作った。花弁は薄いので、温度調節が難しくて、なかなか多く作れない。
でも、シシリーリーダーは、食べたいと言ってくれた。
結婚式に副団長と二人で食べて欲しい。

寝る間を惜しんで作った。

結婚式早朝。
全員で、飴細工を飾る。飴がキラキラしてとても綺麗で華やかだ。

そして、本番。


シシリーリーダーはケーキを見て、

「あ!」と言った。その後、キョロキョロし、俺を見つけ、

「モーーーーガーーーーン!これだったんだね!凄いよ、綺麗!食べるの勿体無いけど食べるねーーー!」
と叫んでいる。

なんか泣きそうだ。

ありがとうございます、覚えていてくれて。
名前も覚えてくれていたの、凄く嬉しかったです。


どうかどうか、幸せになって下さい。


御結婚おめでとうございます。

お二人に幸多きことお祈りいたします。













【完】




*********************

無事、完結する事が出来ました。

たくさんの方が読んでくださった事、本当に嬉しくて、感謝の気持ちでいっぱいです。


投稿最初からずっと読んで下さっている方々、最近読んで下さってる方々、お気に入りして下さった方々、エールをして下さった方々、

本当にありがとうございました。



次の新作も楽しみにしていて下さると嬉しいです。

お待ちくださいませ。












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