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判明
しおりを挟むアンネリッタ視点
リリーナ様からお預かりした、ビカビカ虫?をお父様に相談し、「動植物研究所」に詳しい調査を依頼する事にした。
早い段階で虫の種類は判明したが、これまでに見た事がない虫であるらしい。
近いものはいるものの、柄と牙が違うから変異体ではないかと。
研究所の方々はまず学院の中庭を調査した。
庭を管理している用務員の方にビカビカ虫が出るタイミングや時間帯、数などを聞き、ある共通点を見つけた。
その共通点から目星をつけた場所を探していくと何匹かは見つけられたが学院が一番多く発生していた。
街も調査したが見つけられず、これでビカビカ虫の習性がほぼ確定された。
それと同時に、禁止薬物混入の香水回収騒ぎで、ビカビカ虫が何故学院に大量発生し凶暴化したのかが解明された。
香水は比較的安価で大人は買わず、学生の購入が多かったこと。
指定の石鹸は高額でほとんど貴族が購入していること。
薬物が混入している香水に誘われビカビカ虫は女子生徒にくっ付く。
香水は首や耳の裏などに吹きかける事が多いため、髪に付いている石鹸の成分と混ざり合い、凶暴化したビカビカ虫は噛み付くようになった。
人間には、急激な変化はないが、小さなビカビカ虫には、数ヶ月で大きな変化が出たのだろう。
人間は、長期的に且つ毎日、それも適量よりも多めにさえ使わなければ問題はないとのことだ。
報告書が届いたのが緊急集会の朝で、学院への報告は集会が終わってからにしようと思っていた。
リリーナ様にも報告しなければ。
集会が終わり、調査書を提出して学院長に報告書を渡そうと近づいた時、悲鳴が聞こえた。
ロナルド様のリリーナ様を呼ぶ声で、悲鳴はリリーナ様だった事が分かった。
人だかりと危ないという事で近づけない。
リリーナ様は大丈夫だろうか。
何があったのか分からない。
学院長に報告書を渡して、すぐ帰宅となり殿下にも会えず、心配で落ち着かない。
お父様に学院での事を報告し、お父様からルイジェルド殿下に報告書の事を伝えてもらう事にした。
明日はリリーナ様にお会いできるでしょうか…。
******************
ルイジェルド視点
ロイと別れて、学院長と今後の事を話し合う為に学院長の執務室に向かう途中で影から報告があった。
普段はお気に入りの香水を使っており、例の香水は最近購入し、今日初めて使ったとのこと。
石鹸も指定のものは使っていなかった。
やはりな。
おそらく何処かで香水のことを聞いたのだろう。
問題になった女子生徒の事も噛みついたところだけを聞いて、香水さえつけていればバレないとでも思ったに違いない。
浅はか過ぎる。
どっちにしても学院長と相談だ。
この後、その浅はかな女に警備をつけていなかった事で、後悔することになる。
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