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父の愛
しおりを挟むルイジェルド視点
あれから自分の執務室に戻り、父上に渡す報告書を書いていた。
先程のクォーツ伯爵の姿を思い出す。
誠実な姿とイレーネ嬢の姿は一つも重ならない。
今頃娘に会っているだろう…
娘の姿をどんな思いで見るのだろう…
と考えているところに、イレーネに付けていた影が報告に来た。
「失礼致します。クォーツ伯爵とイレーネ嬢の面会が終わりましたので、そのご報告にあがりました。」
「そうか、で、どんな感じだった?」
「はい。最初は変わらずイレーネ嬢が一方的に自分は悪くないと騒いでおりました。
クォーツ伯爵もそんなイレーネ嬢に驚いており、
何故こんな事をしたのかと問うと、
急にイレーネ嬢はおとなしくなりまして、
リリーナ嬢が邪魔だった、
リリーナ嬢の代わりになりたかったと言って泣いていました。
クォーツ伯爵は静かに今後のイレーネ嬢の環境の厳しさを語っておられましたが、最後に、
いつまでも待ってると優しく語られてから部屋を出られました。その際、イレーネ嬢は扉に向かって頭を下げていました。
ちょっと泣きそうになりました、私。
後ほど文書にまとめて持って参ります。
以上です。」
泣きそうになったの?
「そうか…イレーネ嬢、最後頭を下げたか…」
もしかしたら修道院に行って変われるかもしれないな、イレーネ嬢。
父親の為にも変わってほしい。
手紙はいつでも書ける訳ではないが、遣り取りは出来る。
あの父親なら、支えてくれるだろう。
イレーネ嬢も父親の変わらぬ愛情が支えになるだろう。
憂鬱だった気持ちが少しマシになった。
「お前、泣いたの?」
と目の前の影に聞いた。
「泣きませんよ、泣きそうになっただけです。」
「・・・ひょっとして妹いる?」
「おります、一人。それが何か?」
「カトリーヌちゃんだろ?」
「そうですが…カトリーヌちゃん?」
「誰かに似てると思ってたんだよ~トリーちゃんかぁ~」
「トリーちゃん⁈」
「トリーちゃん、今回大活躍だったよ、凄いな、イーガー家!」
「殿下は妹を、ご存じなのですか?」
「知ってる知ってる。なんか良いよな、トリーちゃん!」
「妹は普通です。不細工ではありませんが、普通です。」
「普通が良いんだよ、普通が!」
「私は巨乳の美女が好みなので普通はお断りです。」
「お前、巨乳美女派なの?俺は貧乳スレンダー派!」
「好みが被らなくて何よりです。」
「オレ、トリーちゃん好みかも。」
「カトリーヌを貧乳の部類に入れると?」
「イヤイヤ、そうではなくて、こうなんていうの、バランスがいい!」
「私はなんとも言えませんが」
「だよな、オレはトリーちゃん、好きだなぁ」
「カトリーヌを落せたらいいのですが。」
「ふふ~ん、見ていろ!」
そこへ、報告書はまだかと父上の言伝がきた。
ヤバい、怒られる!
いつの間にか、トリーちゃんの兄貴はいなくなっていた。
オレは急いで報告書を仕上げて、父上の所まで走り、結局「遅い!」と怒られた…
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