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報告
しおりを挟む翌日、ロイと登校すると、正門の所にトリーちゃんと殿下がいた。
なんとなく二人の雰囲気がいつもと違う。
「殿下、トリーちゃん、おはようございます。」
「殿下、隠密、おはようございます。」
「おお!おはよう。」
「リリー様、ロナルド様、おはようございます」
「昨日何かありました?」
「「‼︎」」
真っ赤になる二人…
「はは~ん、なるほど~」
「な、なんだよ、リリーちゃん!」
「良かったですね、二人とも!」
「リリーちゃんにはバレたか。
ついにカトリーヌが俺を受け入れてくれた!」
「うわぁーー、嬉しいです!良かったね、トリーちゃん!」
「リリー様、ありがとうございます。
不安はありますが、ルイ様をお助けしていきたいと思っております。」
「待って!何?殿下、隠密の事本気だったんですか?」
「お前、何言ってんの?オレは最初から本気だったぞ。」
「え?隠密も殿下が好きだったのか?」
「・・はい。」
「ロイは鈍いよ。だから今回の事、皆んな張り切って頑張ってたのに。気付いてないの、ロイだけだよ。」
「え?会員も知ってたの?」
「そうだよ、空いてる時間にシンシアちゃんとか他の会員の人と、二人の事で盛り上がってたもの。面白かったよ~。」
「ちょっと、待って!」
「何?何聞いたの?オレらそんな変な事してないけど!」
「皆んなで、二人が可愛いって話してただけですよ。さあ、行きましょう。」
「そういえば、タニヤはどうなるのでしょうか?」
「あー、それな。とりあえずしばらく謹慎だ。」
「そうですか…後で少し殿下に話しがあります。」
「ん?何かあったのか。」
「タニヤ親子の事で、ちょっと。」
「親子?まあ後で聞く。」
「お願いします。」
ロイはあの話しを殿下に報告するのだろう。
昨日、帰ってからお父様達にタニヤさんのお母様の話しを聞いた。
私が生まれる前からの因縁が今の状況を作ったなんて、少し怖い。
これから何かありそうで不安になった。
おじ様とお父様が調べるらしいが、その家とは交流がなく難しそうだ。
殿下なら何か解決策を考えてくれるかもしれない。
そう思い、皆んなで教室に向かった。
その日の放課後、ロイは殿下の所に、私はトリーちゃんと教室で二人を待っている。
なので、トリーちゃんに殿下の事を聞こうと思っている。
「トリーちゃん、昨日どんな感じで殿下に告白されたの?」
「リリー様、ど、どんなと言われましても、ふ、普通です。」
「殿下の事だから好きだーーーーって感じかな?」
「それは、その、それです。」
「で、お付き合い始めるんだね。」
「いや、その、あの、プ、プロポーズを、されました…」
「プロポーズ⁉︎プロポーズされたの?いきなり?じゃあ、トリーちゃん、王子妃殿下になるの?」
「リリー様、声が大きいです!」
「誰もいないよ。殿下やるなぁ、いやあ、びっくりしたけど良かった良かった。」
「リリー様はいつから気付いていたのですか?その…わたくしが殿下を好きな事を。」
「だいぶ前かな。トリーちゃん、殿下の前ではよく笑うし、目が優しかったから。私達の前では瞳孔開くほど見開いてるからね。」
「そんなに分かりやすかったんですね、わたくし…」
「トリーちゃん、私ね、ロイとタニヤさんとの時、トリーちゃんが側にいてくれたから今笑っていられるの。
だから、トリーちゃんが困ってる時は絶対助けようと思っていたの。
私、ロイの隣りにタニヤさんがいるのが嫌だった。ロイに触れられるのなんか絶対嫌。
だからトリーちゃんの気持ち分かったよ。
抱きつかれて、触れられて、嫌だったよね?
気付いてあげれなくてごめんね。」
「リリー様…ありがとうございます…。
そんなに気にかけて下さっていたなんて…。
自分の事ばかりで、リリー様のお気遣いに気付きませんでした。
申し訳ありませんでした。」
「トリーちゃんが謝ることないよ、トリーちゃんが元気になったならそれでいいんだから!」
「はい、もう大丈夫です。
それにしても会員達とずいぶん仲が良くなったのですね。」
「うん。シンシアさん面白いね。」
「シンシアさんは、飄々としていますが優秀です。」
「でも、トリーちゃんと違って隠密感はないよね。」
「わたくしは訓練していますから。」
「訓練⁉︎」
「はい。幼い頃から訓練しております。」
「へえ~凄いね~。」
と話しは延々と続いて、気付けばロイと殿下がいたので、下校した。
前を歩くトリーちゃんと殿下は、しっかり手を繋いでいた。
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