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傷跡
しおりを挟むロイの病室に全員が入って一斉に泣き出し、また怒られて一旦外に出され、家族から順番に入る事になった。
おじ様達が先ず入った。
しばらくして私とお父様、お母様が入った。
ロイが目を開け、私を見ていた。
涙が溢れ、ロイに駆け寄った。
「ロイ、ごめんね、私が先に帰ったから…待ってたらロイ急がなかったのに…ごめんね…怪我させてごめん…目が覚めて良かった…」
「リリー、僕こそ心配かけてごめんね、リリーの声聞こえてたよ。だから目が覚めた。ありがとう。」
とロイが言ってくれた。
お父様もお母様も良かった良かったとロイに話しかけていた。
殿下達も待っているので外へ出て、交代した。
殿下が、ロイが呼んでると伝えてくれたので病室に入った。
「リリー、こっち来て」
と言うから側に行った。
「リリー、本当に心配かけてごめん。みんながリリーの事を話してくれた。
たくさん心配かけてごめん。
たくさん泣かせてごめん。
でも、おでこにチュッは起きてる時にして欲しかった。」
「え?あの時起きてたの?」
「覚醒はしてたけど、目が開かなかった。
だから話し声は全部聞こえてたよ。
“恥ずか死”、させなくて良かったよ。」
「ロイ、もうこんなのは嫌…絶対もう一人でなんか帰らない!あの時待っていれば良かった…一緒にいたら私が守ってあげられたのに!」
「やめて、僕が守るから。リリーが怪我したら今度は僕が人形みたいになるよ。」
「本当にもう私を一人にしないでね…お願い…」
「お返しね」と言って、
ロイは抱きしめて、私のおでこに口付けた。
ハッとして顔を上げるとロイの顔が間近にあった。
そしてロイが初めて口付けしてくれた。
それを大人達とシアがドアの隙間から覗いていたとトリーから聞いたのは随分経ってからだった。
それから、元気だが、肋骨が折れているのと、頭を強打しているので一カ月は安静に!
とそれはそれは厳しく言われてしまい、ロイは大人しくしている。
少しずつ身体を動かす為、散歩に付き合っている。
ロイはよろけるフリをして、隙あらば抱きついてくるので、シェリルおば様が呆れていた。
一番の問題は、傷跡だ。
ハゲている。
拳くらいの大きさのハゲがある。
最初は包帯を巻いていたし、一週間目はガーゼだけになっても傷は隠れていた。
二週間経って抜糸した時、その場にいた者は固まったという…
大きなハゲがあるという事に。
傷を縫う為に髪を剃られたので、本人からは見えないが、他人には丸わかりの拳大のハゲがある。
誰もその事をロイに言わない。
あの整った顔で、後頭部に“ハゲ”はキツイ。
本人気付いていないのでいいが、
いつバレるか、誰が言うか、かつらを被らせるか、
誰かに会うたびその事を話している。
そんな全員が口を噤んでいた、抜糸してすぐの頃…
お祖父様がお見舞いに来た。
私は学院に行っていて、シェリルおば様だけしかいない時、お祖父様がやって来た。
その時のおば様は、全くハゲの事を忘れていたらしい。
そして、たまたま傷を消毒していた時だった為、
「ロナルド、お前、何針縫ったんだ?こんな大きなハゲ作って。
もう大丈夫なのか?心配したぞ!」
と言ったという…
その時のロイの顔を見ておば様は、
“あんなにロナルドは口が開けられたのね…”
と思ったと言っていた。
それからのロイは病室に篭るようになってしまい、部屋から出すのが大変だった。
私が髪をハーフアップに編み込んであげたり、リボンで隠したりと髪を弄ってあげたら少し機嫌が良くなって外に出るようになった。
もう少しで退院だ!
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