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チャーリーとリアスとユーリ
しおりを挟む今日はチャーリーとイナダール侯爵邸に来ている。
チャーリーはリアスに会えるから朝からご機嫌だ。かという俺もリリーに会えるからご機嫌なのだが。
それにしても昨日リアスから届いたチャーリーへの手紙という名の絵を見て、お茶を吹き出しそうになり、危うく大事な絵を汚してしまうところだった。
チャーリーはちゃんと自分とリアスだと分かり、きゃっきゃっと喜んでいた。
部屋に飾ってくれとおねだりされたが、さすがに真っ裸なうえ、あんなモノまで描かれた絵など額に入れるわけにはいかんと断ったが、ぐちゃぐちゃになりそうなので、チャーリーの部屋の隅に飾った。
部屋の掃除に入ったメイドは、二度見した後、クスクス笑っていたとイリヤに聞いた。
将来チャーリーとリアスが大きくなった時、あの絵を見てどんな顔をするのか楽しみだ。
そして俺とチャーリーが通されたこの部屋は義父上が、リアスとチャーリー、そしてトーリ兄の子供のユーリが自由に遊べるようにと態々改装して作ってくれたのだ。
転んでも怪我しないようふかふかの絨毯が敷き詰められ、幼児用のテーブルセットや沢山のクッションやおもちゃが揃えられている。
大人は大人用のテーブルセットがあり、遊ぶ様を見守れるようになっている。
お昼寝用のベッドも部屋の隅に用意されている。至れり尽くせりだ。
その部屋には先客のユーリがおもちゃで遊んでいた。
それを見たチャーリーは固まっている。
自分より小さな人間を見たのは初めてだからなのか、目を見開き凝視している。
腕の中にはプチリアス。
そのプチリアスを力の限り抱きしめ、
「ちったいしと・・」と言った。
ちったいしと?
なにそれ?
“ちったい”は小さいってことは知っている。
ならば“しと”とは?
小さいしと・・・・・・・小さい人か⁉︎
小さい人って・・・。
「チャーリー、あの子はユーリだよ。トーリおじちゃんの子供だ。」
「おじちゃ…こもど…ゆーい…」
こもど、て・・・。
ユーリがチャーリーに気付き、コテコテやってくる、
チャーリーはビクッとしながら固まったままだ。
ユーリは途中疲れてストンと座り、ジッとチャーリーを見つめている。
また立ち上がると、こてこて歩きながら、「にーに」と手を出してきた。
条件反射なのか固まったままだったチャーリーはユーリに手を出されたので、自分も空いてる手を出してしまったようだ。
ユーリはチャーリーの所までくるとチャーリーのお腹に抱き付いた。
チャーリーはプチリアスを抱きしめた。
ユーリはご機嫌に「にーに、にーに」とチャーリーを呼びながら、屈伸運動をしている。
チャーリーはどうしていいか分からず、「こーちゃ…たちけて…」と呟いていた。
そこにリリーと手を繋いでリアスが登場。
リアスはユーリに抱きつかれてるチャーリーを見つけ、「ちゃーちゃん!」とかけ出した。
動けないチャーリーは首だけ振り返り、
「こーちゃ!」と声をかけた。
ユーリはお兄ちゃんが増え、喜んでいる。
リアスが来たことでやっとチャーリーの力が抜けたのか、未知の生き物だったユーリへの警戒も薄れたようだ。
俺とリリーは大人用のテーブルでお茶を飲みながら結婚式までにすべき事を話し合っていた。
子供達は子供用の椅子には座らず、リアスを真ん中にユーリとチャーリーがベッタリひっついてクッションの上に座ってお菓子を食べている。
しばらくはお菓子に夢中になっていたが、腹が満たされたユーリは2人が持っている人形に気付いた。
「ちょうーだい!」と愛らしい笑顔で手を出しているが、2人に「「いや!」」と即答され、キョトンとした後、もう一度「ちょーだい?」と手を出した。
「「いや!」」
渡さないとばかりに人形を抱きしめ、離さない2人。
ユーリは貸してもらえないと悟ったのか、「うわーーーーん」と泣き出した。
そりゃそうだ。
自分の分だけないのだから。
失敗したな…ユーリの分を忘れていた・・・。
チャーリーとリアスは大事な人形を渡したくないが、小さい子が泣くのだから貸してあげるべきなのか葛藤しているようだ。
イリヤが俺に近付き、「コーキン様、プチコーキンが馬車にございますので、お持ち致しますか?」と聞いてきたので、至急持ってきてくれと頼んだ。
イリヤが取りに行こうとすると、ジェフリーが、
「念の為、馬車に置き去りにされたプチコーキン様をお預かりしておりました。」とプチコーキンを差し出した。
「でかした、ジェフリー!」
「いえ、ポツンと馬車に置き去りにされたお姿に切なくなり、お帰りまでお預かりしておりました。」
「あーーそうか…昨日からプチコーキンには見向きもしないのだ…。
だが、持ってきて正解だったな!」
まだ泣き喚くユーリにジェフリーがプチコーキンを渡すと、ようやく泣き止んだ。
だが、プチコーキンがユーリの手に渡った途端、チャーリーがポロポロ涙を流した。
「ちゃーちゃん?かなちい?よちよちよ、よちよちよ」
「こーちゃ…」
頭をなでなでしているリアスに抱きつくチャーリー。
そんな2人に抱きつくユーリ。
しばらく3人を見ていると、なにやら会話を始めた。
「ちゃーちゃん、ゆーい、ばぶばぶよ。」
「ヒック・・・ばぶばぶ?」
「ちょーよ、ばぶばぶよ」
「ゆーい・・ばぶばぶ・・」
そして2人はユーリを見た。
「あばばば、ぶーー、にーにー」
プチコーキンと何か喋りながら遊んでいるユーリを見ていたチャーリーは、
「あぶあぶ・・・」と言った。
「ちあうのよ、ばぶばぶよ」とリアス。
ばぶばぶって何?
首を傾げた俺にリリーが教えてくれた。
「“ばぶばぶ”は赤ちゃんの事なの。
まどろみ亭のお客さんが赤ちゃん連れの人もいたから、赤ちゃんの事を“ばぶばぶ”って覚えたみたいなのよ。」
なるほど赤ちゃんかあ~。
チャーリーも何故か理解したのか、ばぶばぶだから仕方ないと諦めたようだ。
だが、プチコーキンの手をしゃぶり出したユーリには我慢出来なかったのか、
「めーよ!めっ!」とユーリの口からプチコーキンを離そうと試みた。
リアスも「ばっちばっちよ、ぺっ、ちて!」と自分でぺっとしながらユーリに教えている。
バイ菌扱いのプチコーキン。
なんか・・複雑だ…。
ユーリも「ばっち?」と首を傾げながらも、しゃぶるのをやめた。
今度は人形達をそれぞれ椅子に座らせ、お菓子を食べさせようとしたので、俺とイリヤは急いで三体の人形の背中のボタンを外し、中に詰め込まれた布で作った野菜やお菓子を取り出した。
お腹のポケットに入れて食べさせていたチャーリーは、背中から取り出される食べ物に驚愕していた。
いつも取り出す所を見ていなかったからか、取り出された食べ物を見て小さな声で、
「うんち、ちた・・・」と言った。
実はこの人形は有能なのだ。
チャーリーは際限なく食べ物マスコットをポケットに突っ込む。
パンパンになったポケットが破れたら大変と思ったお針子達は、お腹のポケットを人形の中まで貫通させた。
人形の中の綿は全て食べ物マスコットが小分けにされて詰め込まれている。
なので背中のボタンを外すと、小袋に詰められた食べ物をいつでも出せる仕様になっている。
リアスとユーリは見るのが初めてなので、目新しい食べ物マスコットに喜んでいる。
チャーリーはプチコーキンの排泄に衝撃を受けたようだが、今では2人がポケットに食べ物を詰め込み始めたのを見て、一緒に食事をさせ始めたようだ。
イリヤが小さなコップに水色の毛糸の塊を入れているのを“何それ?”って顔でリアスとユーリは見ていたが、チャーリーがコップを人形の口にあてた後、毛糸をポケットに入れたのを見て、何なのかが分かったのかパアっと目をキラキラさせた後、同じようにコップをあてていた。
これで人形の食事は終了だ。
2人は人形に満足したのか、次は絵本を見始めた。
まだ文字は読めないが、絵だけを見るだけでも楽しいらしい。
ユーリは食べ物マスコットが気に入ったのか、お菓子がのっていたお皿に食べ物マスコットを置いたり、またポケットに入れたりを繰り返し、たまに間違えて自分の口に入れてはべえーと出していた。
一方絵本組は、ごにょごにょ喋りながら絵本を指差し、ニヤニヤしていた。
「とーちゃ、りあちゃ、らっちゅ、ちんえ」
チャーリーが絵を指しながら俺とリリー、ラッシュ、ちんえ・・・
ちんえ?ちんえって何?
気になり、絵本を見に行くと馬に乗った王子様とお姫様と騎士が描かれていた。
俺が王子様でリリーがお姫様、馬がラッシュということは、騎士は・・・シンエイ!
ちんえ・・・シンエイ・・・なるほど!
うんうん頷いていると、リアスが俺の服をツンツンと引っ張った。
「とーちゃ、抱っこ」
俺は目を瞠った。
リアスが自分から俺に抱っこをせがむ事はなかったから。
俺はリアスを抱っこすると、リアスは眠いのかウトウトしだした。
背中をとんとんしているとリアスは眠ってしまった。
お昼寝ベッドに寝かせると、今度はチャーリーがぐずりだし手を伸ばすので、チャーリーを抱っこするとチャーリーもすぐ寝てしまった。
チャーリーも寝かせると、次は案の定、ユーリも手を伸ばし抱っこをねだる。
ユーリはコテンとすぐに眠ってしまったので、またベッドに寝かせてイリヤやフラン達に任せた。
リリーの側に戻ると、リリーはクスクス笑っていた。
「コーキン様はすっかり父親ですね。
手慣れているので驚きました。
それに、リアスはバルさん以外には抱っこさせなかったのですよ。」
その言葉に嬉しくてリリーにチュッっと軽くキスをしたら、リリーに物凄く怒られた。
「人前では嫌なのです…」と真っ赤な顔で可愛いことを言うから、ぎゅうぎゅう抱きしめながら頭や頬にチュッチュッしたらまた怒られた。
結婚式まではまだまだだ。
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