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しおりを挟む今日は土曜日なので学校はお休みだ。
なのでまたまた森の湖にピクニックに来ている。
ここでジャンやグレンに会ったが、あれから一度も会ってはいない。
それといって期待はしていなかったが、違う伝手で男性を紹介してもらわなくては!
「姫様、考え事ですか?」
「うん、誰を捕まえて男性を紹介してもらおうかと思って。」
「捕まえるって…。いっそのこと陛下に探して貰えばいいんじゃないですか、いい感じに見繕ってくれるんじゃないですかね」
「う~ん、おじ様だととんでもない人紹介しそうで怖いなぁ」
「確かに…。面白がりそうです。」
「でしょ?ラン兄様は意外と友達少なそうだからなあ~いてもお相手がいる人しかいなそうだし。」
「確かに…。じゃあ王妃様は?」
「おば様かぁ…確かに良い人探してくれそうだけど、万が一お断りする時気を使うなぁ~」
「もう姫様、そんな事言ってたら誰にも頼れませんよ!とにかく探してもらいましょう!集団見合いです!」
「集団見合いって…たくさん求婚者が来たらどうするのよ!」
「来るわけないじゃないですか!来てたら今頃釣書の山が出来てますよ!」
「ひどい…ケイト…私の事そんな風に思ってたんだ…色気のないかつお節女だと思ってたんだ…」
「そんな事一言も言ってないじゃないですか!被害妄想が過ぎますよ!」
“プッ”
近くで誰かが笑った気配がした。
「どなたですか、笑ったのは。」
ガサガサと音がする方を見るとジャンとグレンだった。
「あら、ジャンとグレン久しぶり。」
「お久しぶりです、姫様。」
「お久しぶりです、メアリー様。」
「今笑ったのどっち?盗み聞きは良くないわよ!」
「アハハハ、すみません、私です。あまりにも的を得ているので。」
とジャン。
「え?かつお節女が?だったら容赦しないわよ、私の前歯で噛んでやる!」
「そんな可愛い前歯でなら噛まれてみたいですが、陛下やランバート様、王妃様の事で笑ったんですよ。」
「そうなの?だったら許す!」
「なにそれ、姫様は面白いね」
「そうなのよね~可愛いより面白いね~楽しい子だね~しか言われないのよ…」と耳をヘニョリとさせた。
「うわ、耳、超ー可愛いじゃないですか!」
「耳がね!それ、褒めてないから!ウサギなのに耳褒められなくて何処褒めるって言うのよ!ハア~誰か好きになってくれる人いないかな」
「俺は姫様、可愛いと思うけどなあ~」
「あのね、私は婚約者になってくれる人を探してるんだよ~可愛いって思ってるだけじゃダメなんだよ~ジャン。
あ、そういえばグレンに話しがあったんだ!」
「なんですか、メアリー様。」
「フェリスと仲良くなったんだけど、ローズマリーって子がフェリスを目の敵にしてるの知ってる?」
「え?メアリー様、フェリスと友達なんですか?」
「うん、この間ね、ローズマリー様に校舎裏に呼び出されて、生意気とかブサイクとか暴言を吐いた上に頬を叩いたのよ!
私耳が良いから遠くても聞こえたから、走って行ったけど、叩かれた後で真っ赤になってた…。ナタリーと追っ払ったけど、あの子達ジャンとフェリスの仲を疑ってたわよ。」
「なんですか、それ!聞いてない!」
「まあフェリスなら言わないだろうね…心配かけたくないと思って。教室でも意地悪してたから、追っ払ったけどまだ諦めてなさそうだから、心配なんだよね~私とナタリーがいたら心配ないとは思うんだけど、一人になる時はあるからね…。」
「助けて頂きありがとうございます。
メアリー様とナタリー様が一緒なら心配ないですが、フェリスがそんな辛い思いをしていた事は知りませんでした。教えていただきありがとうございます。」
「でも、どうしてグレンじゃなくてジャンなんだろう?」
「それは俺とフェリスが幼馴染みで家も近いからだと思う。」
とジャン。
「そんな事で?バカじゃないの!」
「バカなんですよ」
「でも心配だよ…なんとかならないの、ジャン、グレン。」
「確かにあの女は危ない感じではあるな」
「婚約が決まって公表したら少しマシになるかな」
「「ダメだよ!」」
「ジャンとグレンは人気No.1、2なんでしょ?だったら今度はグレンのファンがフェリスを狙うよ。」
「じゃあ、どうしたらいいの、姫様!」
「う~ん、誰か学校に守ってくれそうな騎士見習いみたいな人いないの?誰かの弟とか親戚とか」
「あ!ダニエルの弟ってナタリー様と同級生じゃなかったか?」
「あ!そうかも!」
「誰だれ?」
「弟の名前なんて言ったかな…家名はノーズだよ」
「ノーズ・・・あ!あの元気っ子のマルコ・ノーズ!」
「そうそう、そんな名前だった!」
「じゃあマルコ様のお兄様にお願いしてみて、私とナタリーがいない時はフェリスの護衛してって」
「なんか…嫌だな…俺は」
「あーーーグレン、ヤキモチだ!」
「そうです、ヤキモチです。フェリスの側に男がいるのが嫌です!」
「そんな事言ってられないでしょ!ちなみにマルコ様の爵位は?」
「侯爵です」
「じゃあ丁度いいじゃない。ローズマリー様の家も侯爵でしょ?だったら文句言われても反論出来るわ」
「それはそうですが…」
「でもへんてこりんな人だったら嫌だから私が様子見てみるわ。良さげならお願いしてみる!」
「納得しかねますが、仕方ないですね…お願いします。」
「私が守ってあげるから任せて!」
「姫様…そんな他人の事より自分の事なんとかしないとダメなんじゃないの?」
「あーーそうなんだけど、放っておけないでしょ、友達だもの。ウサギになった時はお父様やお母様に面倒みてもらうし、ここにも遊びに連れてきてもらえるし、なんとかなるよ!」
「姫様、私がしっかり面倒みますので!」
「ケイト、ありがとう。ウサギの寿命は短いから、手間もかからないしお願いしようかな。」
「そんな言い方するな!」
「え?どうしたの、ジャン。」
「死んでもいいみたいな言い方するな!命を軽く見るな!」
「そういうわけじゃ…ごめんなさい…。」
「あ…申し訳ありません、こっちこそ不敬でした。」
「・・・・ごめんね…私の言い方が悪かったわ…」
ヘニョリ
「あーあ、ジャンがメアリー様の耳を垂れさせた。可哀想に。」
「いや、あの、俺は騎士だから、場合によっては死ぬ事もあるから、だから…」
「ごめんね、ジャン、私が悪いから気にしないで。久しぶりにちゃんと怒られたから驚いただけ。大丈夫だよ。お仕事大丈夫?長話させてごめんね」
「あ、俺達そろそろ行きますね」
「うん、分かった。グレン、フェリスの事は任せて。ジャンも気にしないでね、またね。」
「姫様…俺…」
「良いから良いから、早く戻らないと!」
二人は走って戻って行った。
ジャンは何度も振り返っていたが、私が手を振ったらニコッと笑って走って行った。
「姫様、大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、ジャンは騎士として私を諭しただけよ、立派なことよ。」
「最初はチャラい人かと思ってましたけど、意外と真面目な方なのかもしれませんね。」
なんとなくお茶をする気にはなれず、私達も片付けて帰った。
その日はなんとなく寝つきが悪く、なかなか眠れなくて夜明け前にようやく眠れた。
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