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しおりを挟む食堂に着いたが、昼休みの時間も半分ほどになってしまったので、サンドイッチとジュースを皆で注文し、席についた。
「しかし、いつもあんな事されてるの、フェリス様は?」と聞けば、
「そう…ですね、よくあります…。ですが、叩かれたのは初めてです。」
「あの子は昔から誰にでもああなのよ!
ジャン、ジャン、五月蝿いのよ!」とナタリー。
「そうですね、中等部に入る前からでしたね。」とシャーリー。
「そうなんだ…なんか大変だね…グレンの彼女なのに、ジャンの事で難癖つけられるんだから」
「ジャン兄様は昔から人気がありましたから…。」
「グレン様とは婚約しないの?」
「近々する事にはなってます…」
「まあ、それはおめでたい事ね!」
「ありがとうございます。」と頬を赤らめ微笑むフェリス様は女の私でも惚れそうだ。
ニマニマしていると、
「メアリー…気持ち悪いわよ…」とナタリー。
「だって、フェリス様が可愛らしくて可愛らしくて!」
「メアリー様、恥ずかしいです…」
「クゥー、私が男だったら嫁に貰うのにぃ!」
「フェリス様はグレンのものよ。メアリーは早く結婚相手見つけなさい!」
「だって…誰も男子は寄ってこないのよ…どうやって見つけるのよ…」
サンドイッチを食べながら不貞腐れる。
「メアリー様は結婚相手を探していらっしゃるのですか?」
「そうなの…私ね…人間の男性と結婚して子供産まないとウサギになっちゃうのよ…」
耳がへにょりと垂れ下がってしまう。
「え⁉︎ウサギ⁉︎」
「たまに先祖返りみたいな子が生まれるらしいの。普通は耳と尻尾があるくらいで、ほとんど人族と変わらないのよ。でも私は二十歳までに人族と結婚して血を薄めないと喋るウサギになっちゃうの…」
「喋るウサギ…。それは大変ではありませんか!」
「そうなの…。だから昨日たまたま会ったジャンとグレンに誰か良い人いないか探してもらう事にしたの。試しにジャンに婚約してっていったら速攻で断られたわ。
グレンはきちんと彼女がいるっていってたわよ。」
顔を真っ赤にしたフェリス様は、
「そうなんですね…」
と嬉しそうに笑っている。
「私もお手伝いできる事があればやらせていただきます」
「ありがとう、フェリス様」
「メアリー様、私の事はフェリスとお呼び下さい。」
「じゃあ遠慮なく、フェリス、これからよろしくお願いしますね」
「はい」
うんうん、可愛い子が近くにいるだけで明るくなるね!
「さあ、早く食べないと午後の授業に遅れるわよ。」ナタリーの言葉に皆が慌てて食べ出し、教室へ戻ったが、私達を後ろから睨んでいたローズマリー様の事は誰も気付かなかった。
午後の授業が終わり、ナタリーと教室を出ようとした時、後ろでガターンと音がした。
振り返るとフェリスが倒れていた。
フェリスの横にはローズマリー様が立っていた。
「ごめんなさいね、少しふらついてしまって、ぶつかってしまったの。」
すぐフェリスの側に近付き、手を貸して立たせた。
ドレスは汚れ、腕も赤く擦り傷が出来ている箇所もある。見えないが足も負傷してるかもしれない。
「大丈夫、フェリス?」
「…はい…」
小さな声で涙ぐみながらフェリスが答えた。
「ローズマリー様!百歩譲ってふらついてぶつかったとしても、お優しいローズマリー様なら手を貸してあげるくらいなさっても宜しかったのではないでしょうか?
それともお昼休みにイジメ足りなかったのですか?それとも貧血になられたのでしょうか?それは大変です!
早く医務室にお連れしなければ!
誰か早くローズマリー様を医務室にお連れして下さい。また倒れられては大変ですわ!
誰か、誰かーーーー!」
「ちょ、ちょっとお待ちになってメアリー様、わたくしは大丈夫ですわ、体調がすぐれないようなのでこれで失礼いたします。」
そういうと走って行ってしまった。
教室に残っていた生徒達は、ポカーンとした後、プッと誰かが吹き出した後、大爆笑となった。
「もうメアリー、あなたキレてたでしょ?
耳、ピーンってなってたよ。」
とナタリーが笑いながら寄ってきた。
「メアリー様、ありがとうございました。」
「いやいや、フェリス大丈夫?怪我してるよ」
「大丈夫です、さっき倒された時は怪我より心が痛くて辛かったですが、メアリー様がローズマリー様を言い負かしてる姿を見ていたらスッキリして、痛みも忘れました。」
「だって、あの方、フェリスの横にふんぞり返って“いい様ざますわ”って顔で立ってたんだよ!その顔見たら我慢出来なかったの…」
「メアリーが言わなかったら私が言ってたわ。面白かったし。」
「メアリーもナタリーもあんまり刺激するなよ、あの人執念深いし根に持つタイプだから。」とシリウス様。
「でしょうね。喧嘩売ってくるなら真っ向勝負するまでよ!」
オオーーと歓声が上がり、
「頑張れー」
「応援してます!」
「可愛いーーーメアリー様~」
などと皆に声援してもらった。
みんなローズマリー様には色々溜めてたものがあったんだね。
みんなに手を振りながら、今度こそナタリーと下校した。
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