番なんていません、本当です!

jun

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ワチャワチャしながら医務室に行くと、リーダーはベッドから身体を起こし、本を読んでいた。

リーダー、字を読めるんだと少し驚いた。

「リーダー、オハヨ」

「おお、おはよう。ちゃんと眠れたか?」

「ウン、リーダーハ?」

「俺も久しぶりにグッスリ眠れた。肩の痛みもマシになった。」

「ヨカッタ」

「俺はここにいて良いのか?どっかに収監しなくていいのかよ。」

「姫様、置いてお前逃げんの?」

「…逃げるなんて言ってねえし。」

「じゃあ、怪我治るまでここにいろ。収監したら姫様に会えなくなるぞ」

「別に姫様に会えなくても…いいし…」

「リーダー、アエナイノ?」

「いや、怪我治るまではここにいるし。」

「ワタチ、コンナダカラ、ココカラ、デラレナイ。ハナチモ、デキナイ、ダカラ、リーダート、ハナツ」

「分かった分かった。しばらくはお世話になるから。」

「ヨカタ!」

「姫様、さあ、帰りましょう。ジェフの怪我にさわりますよ。」

「モウ?」

「そうです、早く治ってもらわないと!」

「ワカタ。リーダー、マタ、クルネ」

「ああ、待ってる」

「グレン、姫様を離れまで連れてってくれ。オレはジェフに話しがある。」

「分かった。メアリー様、行きましょう。」

「ワカタ。ジャン、マタネ」

「はい。後で行きます」


ジャンとリーダー、何を話すんだろう…。


「さあ、姫様、帰りましょう。それとも何処か行きたい所はありますか?」

「オナカスイタ。」

「そうですね、もうお昼ですから帰って何か食べましょう。」

「グレン、フェリス、ゲンキ?」

「フェリスですか?元気ですよ。今朝は姫様が休みだと言ったら寂しがっていましたよ。」

「ワタチモ、アイタイ」

「今度、ここに遊びに誘ったら喜びます・・・・その姿では難しいですね…。
すみません。」

「チカタナイ…。ニンゲンニ、ナイタイ…」

「ないたい…あ、なりたいか。
なんか面白いですね、人間になりたいって。」

「ダッテ、ウタギダト、ドコニモ、イケナイ」

「そうですよね、その姿は極秘事項ですからね。バレてもいいなら連れ回しますが。」

「ベツニ、バレテモ、イイノニ…」

「メアリー様。バレたら速攻攫われますよ。そしてプルームに身代金請求して殺されちゃいます。」

「コワ…」

「悪い奴等はゴロゴロいます。だから絶対バレてはダメなんです。分かりましたね!」

「ハイ…」

「よろしい!」

「グレン、オニイタマ、ミタイ…」

「ランバート様?」

「チガウ、ワタチノ、オニイタマ」

「メアリー様のお兄様だと、ジョージア様ですね。」

「ウン、オニイタマ、ガミガミ、ウルタイ」

「ん?メアリー様、俺がうるさいって言ってます?」

「チ、チガウ…アノ…アノ…グレン、オニイタマ、ミタイデ、ツキ」

「ふぅ~ん、まあいいでしょう、許してあげます。なーんてね。」

「グレン、イジワル」

「メアリー様がジャンばかりと仲良くなって俺とは遊んでくれなかったから、少し意地悪してみました。」

「グレン、フェリスノ、コトデ、アタマ、イッパイ。」

「確かにそうでした…。でもメアリー様やナタリー様のおかげでフェリスが明るくなって良かったです。ありがとうございます。」

「フェリス、カワイイ、ワタチ、ダイツキ!」

「フフ、“だいつき”ですか、ありがとうございます、喜びます。」


二人でフェリスの話しをしていたら離れに着いた。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

*医務室のジャンとジェフ



「隣り街に行ってきた。」

「そうか、話しはついたのか?」

「大人しく捕まったのは半分。半分は抵抗したから斬った。」

「そうか。」

「済まない。説得はしたんだが。」

「俺の指示に従わない奴はいらない。
だからいいんだ。」

「お前はこのままでいいのか?」

「捕まったんだ。どうしようもない。
ただ姫様がもう狙われないようにして欲しい。それだけだ。」

「俺の家は公爵だ。俺専属の部隊が欲しいと思ってたんだけど、お前らどうよ?
その代わり最初は公爵家の騎士隊に入ってもらうけど。めちゃくちゃ強いおっちゃんがいて大変だけどやり甲斐はある。
最初はタダ働き。訓練もしんどい。
ウチに来てくれるなら死ぬまでお前らの面倒はみる。
その代わりなんで今回こんな仕事を受けた?
銀狼は今までこんな仕事してこなかった。
お前達は裏では有名だった。
だから理由を教えろ。」

「お前に面倒みてもらうなんて、サラサラごめんだね。
でも、他の奴等は頼みたい。
俺を信じて付いてきてくれた。」

「言えないってか?」

「・・・・・」

「俺の話しが間違ってるかもだけど、聞いてくれるか?」

「ご勝手に。」

「陛下が学生の頃、平民の女の子と付き合ってた時期があるらしい。
陛下は本気だったけど、平民の女の子はちゃんとした人だったんだろう、ある日陛下の前から消えた。
陛下は探した。
ありとあらゆる手を使って捜したけど見つけられなかった。

それから数年後、その平民の女の子は小さな男の子を連れて実家に帰ってきた。
その男の子の名前が“ジェフ”だ。

父親は分からない事になっていたが、知っている人物が一人だけいた。

ラテリア公爵、俺の親父だ。
ラテリア公爵は当時王太子だった陛下の側近をしていた。

だから陛下のお忍びのデートにも隠れてついて行っていた。

ある日、こっそりその女の子から紙を渡された。
それには、辿々しい字で、“赤ちゃんが出来てしまいました”と書いてあったそうだ。

どうしたもんかと親父は悩んだ。
陛下に言ったら大変だ。
今の婚約者を捨てその子と結婚すると言い出すに決まってる。
陛下の婚約は政略的目的を持つ、重要な婚約だ。
それを反古にしたら内政がめちゃくちゃになる。
学生時代の火遊びと放っておいた罰があたったと後悔しても遅い。
その子も、大それた事は考えていない。
でも子供は産みたいと譲らない。
どうしたもんかと考えた親父は父親、俺の爺さんだ。
爺さんに相談した。
爺さんは赤ん坊に罪はない。
家で保護して時が来たら、家に帰そうとなった。
そして陛下の前からその子は消えた。
極秘に子供を産み、三歳位まで爺さんの領地で育った。

それから実家に帰った所までは把握してたのに、突然、親子が消えた。
親父達は探した。
でも見つからなかった。その後の事は分からずじまい。

俺はお前と遊んだ事がある。覚えている。
爺さんとこに行った時、小さい男の子と遊んだ事がある。
爺さんは、“お前の親戚だ”と言った。

どうよ?
違う?」












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