番なんていません、本当です!

jun

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知らなかった王妃の本性


王妃様、カタリナ様はラン兄様とナタリーのお母様だ。
え?本当はカタリナ様って後妻さん?
血、繋がってないとか?

「メアリー・・・私とナタリーはあの人の子供だよ、悲しい事に。」

「え?」

「心の声がダダ漏れだったぞ、メアリー。」

「でも、今までそんな素振りなかった!」

「みんな大人だ。本音と建前は使い分けている。ショーヤ様とランは王妃の前で嫌悪感なんて出すわけないだろ、ナタリーがいるんだから。」

「メアリー、ナタリーは何も知らないんだ。俺は殆どアリーシャ様に育てて貰ったようなものだからな。
どうして俺は母上に構ってもらえなかったのかついこの間まで分からなかったが、漸く理解した。
あの人がおかしいのは子供の時に理解していたが、なんであんな狂った女になったのかは、父上に外に子供を作っていた事が分かったからだろう。
その時にジェフの母親の後ろ盾となったラテリア公爵家を恨んで、先ずジャンの母上を殺した、薬で徐々に弱らせて。
次に狙ったのはジェフ親子。だが、ジェフは生き残った。
あの人はまだそれを知らない。
でも、お披露目をしたのはもう耳に入ってる。必ずあの人はジェフを狙う。
もうあの人は狂ってるからな。大人しくしてたらいいものを、黙っていられないのがあの人だ。
だから今はその時を待っている。
父上も“黒”を使ってあの人を見張らせている。あの人の手下にも見張りは付いている。
そこで、メアリー。
メアリーを誘拐しようとしたローズマリー嬢、あの子、王妃のお茶会に招待された事があるんだよ。娘のナタリーはそのお茶会の事を知らないのって変だと思わないかい?
同級生が呼ばれているのに。
俺はね、黒幕は王妃だと思ってるんだよ、メアリーの誘拐事件の。」

「嘘・・・・」

「メアリーはジャンの一番近くにいて、それをジャンが許す女性な訳だ。
それを見逃す人じゃない。
自分以外の女に、自分の“男”の子供を産ませる協力をしたラテリア公爵家を憎んでるからね、だからジャンは婚約を躊躇してるってわけ。」

そんな・・・リーダーのお母さんは、ショーヤおじ様にも言わず、でも何れおじ様に隠しきれなくなるかもと思ってジャンのお父様に相談しただけなのに。
その時の状況はよく分からないけど、おじ様はリーダーのお母さんが大好きだったんだろう。相談したら絶対助けてくれた筈だ、おじ様なら。
でもお母さんは相談しなかった。好きだったから相談出来なかったんだろう。
そして、おじ様の大切な人だからジャンのお父様はリーダーのお母さんを密かに助けたのだろう。
愛妾になるわけでもなく、潔く身を引いた女性をいつまでも恨み、挙句に殺して、たった3歳のリーダーまで殺そうとするなんて人間のする事じゃない!

あの王妃様が、と最初は思ったが、してきた事は嫉妬に狂った粘着質な殺人犯だ。

「メアリー、大丈夫か?やっぱ、ショックだよな、お前とナタリーは可愛がられてたから。」

「お兄様・・・・私・・・・せませんわ!」

「え?何だって?」

「私、許せませんわって言ったの!
何なのその話!ただの嫉妬じゃないの!
そんなのおじ様にブチ切れれば良かったじゃないの!
なんでジャンやリーダーのお母さん達がそんな人に殺されなければならないの!
あったま、おかしいんじゃないの!
やってやろうじゃないの、どんとこいだわ!私はジャンの婚約者になるわ!
そんなサイコパスになんか負けない、私の逃げ足舐めんな!」

「待て待て、興奮すんな、肩とか外れるかもしれないだろ!」

「お兄様!巫山戯ている場合じゃないわ!
これは女の闘いです。ナタリーには…ちょっと申し訳ないけど、負ける訳にはいかない闘いなの!
こんな、こんなおかしな人は一刻も早く処罰せねば!」

「だから、落ち着けって!お前、大きな声で言うなよ、ここ何処だと思ってんだよ、誰聞いてるかもわからんのに。」

「あ、ここ防音だし、“黒”が付いてるし。」

「「え?そうなの?」」

「だから安心して。よし、じゃあジャンとメアリーの婚約は決定で良いね。サッサと手続きしよう。
これからメアリーには常に“黒”がつくよ。」

「はい、質問です、ラン兄様。」

「はい、何でしょう、メアリー。」

「“黒”とは何でしょうか?」

「メアリーは知らないよね、えーとジャンとグレンは白騎士って知ってるよね?」

「あ!思い出した!黒騎士か!」

「そうそう、その黒騎士ね。」

「なるほど、こういう時に活躍するんだね、ん?今も何処かにいるの?何処に?」

「それは教えられないよ~、黒専用の通路みたいなもんがあると思ってくれたらいいかな。」

「へえ~知らない事ってたくさんあるんだね。」

「日々勉強だね。」

「ありがとうございます、ラン兄様。」

「あの、勝手に話しが進んでいますが、俺はさっき少し待っていてと言ったんだけど、なんか婚約することになってるんですけど…。」

「ジャン!この千載一遇のチャンスを使わず、いつ使うの、今でしょ!」

「あ、はい。いやいや、分かってる?命を狙われるのは姫様なんだよ?危険なんだ!」

「分かってる。命を軽く見ているわけではないよ、ジャン。
私にはゆっくりしている時間はないの。
だったら出来る事をチャッチャとやらないと。みんないてくれる。
私も油断はしない。今までのように王妃様とは接するよ。
だから、一緒に頑張ろう、ね、ジャンもリーダーも。」

「俺が婚約者になりたかったけど、今はジャンが近くにいた方が安心かもな。俺はお前に協力する。」

「ありがとう、リーダー。」

「俺は・・・姫様を危険に晒したくない。
でも、姫様がそう言ってくれるなら、ここであの人を追い詰めたい。
必ず姫様、いやメアリーを守る。
改めて、メアリー、俺と婚約して下さい。」

「喜んで!よろしくジャン!」

「おおよ!よろしくメアリー!」


こうして、私の婚約者が決まったが、部屋まで送ってくれたジャンと二人きりになってから、ようやく恥ずかしさが蘇ってきた。

「じゃ、じゃ、ジャン、あの、その、あれ、なんだ、その、ホントに私で良いの?
ま、私がこっちに嫁いでくるから騎士を辞める必要はないから良いのかな?」

「俺はメアリーが良い。」

「ちょっと、お聞きしたいのですが、ジャン様と姫様のご関係は何なんですの?」

「あ、俺とメアリーは婚約する事になったから。」

「なんですと⁉︎本当ですか、姫様!」

「まあ、そういう事なんで…」

「こんな色気も何もない姫様をよくぞ選んで下さいました、ジャン様!
これからはジャン様の事は勇者とお呼びし、未来永劫伝えていきましょうぞ!」

「失礼極まりないよ、クロエ。」





そんなこんなで私達は婚約する事になった。

が、あっちからもこっちからも狙われて、こんなに大変だなんて知らなかった。
その事を知るのは、すぐだった。














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