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新婚編
リリーナ視点
しおりを挟む円卓会議から帰り、その日はさすがに疲れたので二人で早々に眠った。
次の日、シェリル母様が
「リリーは例の事が落ち着くまではそっちに集中していいわよ。私で出来る事があるならいつでも言ってね。」
と言ってくれたので、作戦を練る事にした。
サイモン様からはまだ連絡は来ていない。
ロイが聞いてくれるだろう。
今の王女の心境を考えよう…。
きっと王女は
“ルイとあの子が婚約を破棄したら私が慰めてあげよう”と思っているだろう。
でも、殿下がトリーの家に言ってから会っていない。
イライラは頂点だろう。
それからどうする?
突撃しても阻まれる。
待ち伏せしても近寄れない。
じゃあ、次は?
人を使うだろう。
誰を?
自分の侍女は使わない。
他のこちら側で付けてる誰か、それも自分と殿下を応援してくれている人だ。
その人に何をさせるか?
私だったら殿下に会えるように誘い出して貰うだろう。
ロイにすぐ手紙を書いて届けてもらう。
王女の近くにいる侍女、メイド、その他使用人で王女の恋を応援してる人を探して欲しい事。そして、居たのなら絶対殿下に接触する筈だから警戒して欲しい事を書いた。
誘い出してからは分からない。
どこまでやるのかはまだ想像出来ない。
でも必ず動く。殿下を自分のモノにする為に。
だって未だに帰らないから。
ひとの恋路を邪魔する者は何人たりとも許さん!
分からないけど、自分だったらと考える。
誘い出してようやく会えたら一気に質問するだろう。
どうして会ってくれないの?
今まではいつも一緒にいてくれたでしょ!
あの子に何か言われたの?
それとも陛下に言われたの?
私はルイの事が好きなの!
昔からずっとルイの事が好きだったの!
私だったらルイを幸せに出来るわ、政治にも詳しいし、外国語も話せるわ、ルイの役に立つと思うの!
辺りかなぁ~
と思っていた所に、
「リリー、今の何?どういう事?」
「え?ロイ、何やってるの?」
「何やってるのじゃないよ、今の何?何でリリーが殿下の事、ルイって呼んでるの?
好きだったのって言ってたよ、どういう事?」
「いやいや、そんな事言ってないし!頭の中で王女が言いそうな事考えてただけだよ。」
「口に出してた!」
「あら、気付かなかった。でもロイはどうしたの?手紙届いてないの?」
「届いたよ、サイモン殿からの報告教えようと思って来てみたら、“ルイの事が好きなの”って言ってた…嘘でも悲しい…」
「嘘嘘、殿下の事好きな訳ないでしょ、ロイが一番好きなんだから!」
「本当に?」
「本当!今度ロイの好きな服着てあげるからね!」
「ほんと?」
「ほんとほんと!」
「じゃあ、許す」
「で、サイモン様の報告は?」
「あーこれこれ」
そしてサイモン様からの報告書を読んだ。
王女はとにかく綺麗な物が好きらしい。
そして自分を甘やかしてくれる人を好み、
注意するような人は苦手。
甘え上手で、回りを取り込むのが上手い。
食べ物は甘い物が好き。
酸っぱい物は嫌い。
動物は苦手。
最近はイライラしている。
オーランドからは帰国するようにとの手紙が来ている。
帰らなければ王太子を行かせる。
王太子は王女に厳しく、王女は王太子には逆らえない。
王太子はヘンリー様と連絡を取り合っている仲。
おおーーーサイモン様凄い!
これだけあれば大丈夫でしょう。
「ロイ、ありがとう。かなり助かったよ。」
「手紙はリリーの予想?」
「うん。でも外れてはいないと思う。」
「分かった。一応サイモン殿には伝えたから大丈夫だよ。」
「その後どうする?」
「ロイはこれからどうするの?戻るの?」
「うん、リリーの話しを聞いたら戻るつもりだった。」
「今、誰と話せるかな?」
「殿下かサイモン殿かな」
「行っても大丈夫かな?」
「リリーは作戦局長なんだから大丈夫だよ。陛下が許可してるから」
「じゃあ一緒に戻ろう。」
二人で殿下の執務室に向かった。
「殿下、手紙読みました?」
「ああ、読んだ。あれはリリーちゃんの予想?」
「そうです。でも外れていないと思います。サイモン様の報告書も読みました。
おそらく誰か使います。」
「誘いに乗らなければいいけど、それからどうするの?リリーちゃん。」
「殿下は本当の最後まで絶対王女とは接触しないで下さい。なんなら体調不良になって下さい。」
「まあ、とにかく接触は俺もしたく無いから良いよ。」
「ヘンリー様に向こうの王太子様が来るとしたらいつになりそうか聞いてもらえますか?」
「それくらいならいいよ。」
「サイモン様は一番王女の願いを叶えそうな人を探して下さい。多数かも知れませんが。」
「良いよ」
「サイモン様以外で殿下に付く人は何人いますか?」
「基本俺とハンスかな。後は交代で色々。」
「なるほど。」
「いつも王女は何をして過ごしているんですか?」
「今までは俺と一緒にいたから今は何してるんだろ?」
「サイモン様は分かりますか?」
「俺が調べてた時は侍女とお茶したり、中庭散歩したりしてたかな。」
「それと言って何もしてないんですね…暇なんですね…
殿下、ロイの仕事は溜まってますよね?」
「そうだな、休みだったからな。でも急ぎの仕事は回さなかったから余裕はあるけど、どうして?」
「ロイを借りたいのです。」
「え?リリー、僕に何させる気?」
「ロイ、もう一度“ローリー”になって!」
「「ハアーーー⁉︎」」
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