私の婚約者の苦手なもの 番外編

jun

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新婚旅行編

トーマス視点

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朝食を持ってハロルドおじさんと交代しようとあのだだっ広い場所に行ったらいなかったので、大声で叫んだ。

「おじさーーーーん、朝飯ーーーーー」

と言ってしばらくしたら、

『とーます、おはよー』と言ってきた。

おじさんが教えたんだなと思い、その場で待っていた。

そのうち、クロとおじさんが来た。

「朝飯持って来た。おじさんとクロで食べて。おじさんは戻って休んで。」

「私はクロとぐっすり眠ったから大丈夫だ。」

「そうなの?おじさん、神経質っぽいけどどこでも眠れるんだね。」

「私はベッドで眠る方が少ない。」

「考えてみたらそうかもね。まあまあ、朝飯食べて。クロも食べな。てか、口開けな、入れてあげるから。」

『クロ、とーます、おとうと』

「ん?弟?俺の?そうだな、弟みたいなもんかな、リリーが喜ぶよ、弟出来たって。デカいけど。」

『はろるど、おばさん、さいもん』

「オオーーサイモンも覚えたのかあ~凄いぞ、クロ!」

「昨日、クロにサイモンとトーマスの幼い時にクロは似てると話した。」

「へえ~こんなに可愛かったかぁ、俺。」

「そうだ、サイモンもトーマスも愛らしかった。」

『クロ、あいらしい』

「そうだな、クロは愛らしいな!でも、ジュリアおばさんはおばさんで定着したんだな、笑える!」

「後で、怒られても知らないぞ。」

「おじさんが教えたって言うからいいよ」

『おばさん、とーます、おこる?』

「怒んないよ、大丈夫!」

そんな話しをしながら、朝食を済ませて、ハロルドおじさんが戻ると言うので、

「おじさん、入山禁止にはしたの?」

と聞いたら、

「入山禁止にはした。まあ、クロを恐れて、入ってはこないと思う。」

と言って戻って行った。


「今日辺り、母さん達が来そうだぞ、クロ。」

『かあさん、マリア?』

「そうそう、母さんはマリアね。」

『まりあ、りりーな、くる?』

「うん、来るよ。さて、来るまで何しようか?」

『なに?』

「このクロが倒した木をどうにかするか…」

『きを?』

「この木をね、運ぼう。邪魔だから。」

そして、クロに説明しながら邪魔な木を一箇所に集め終わった頃、

『りりーな、まりあ』

と言った。


母さん達が来たんだ。

大丈夫なんだろうか…
泣きながら来てるんだろうか…
ジュリアおばさんの事怒ってるんだろうか…

そんな事を考えてたら

『とーます、しんぱい?』

「うん、少しね…泣いてるのかなとか、おばさんの事怒ってるのかなとかね…。」

『まりあ、りりーな、楽しい』

「え?楽しい?泣いてないの?」

『りりーな、おとうと、びっくり』

「え?」

『りりーな、まりあ、きゃーきゃー』

「・・・喜んでるのね…向こうでなんかあったんだな…じゃあ、泣いても怒ってもいないんだな、良かった…。」

『とーます?』

「なんでもないよ、そのうちここに来るね。後は誰が来たんだろう?ロイかな?」

『りりー、りりー、だいすき、ぎゅ』

「アハハハ、そうそう。でもね、ロイね、ロイ。」

『ろい』

「そう、ロイね。サイモンかもな。」

『さいもん、はろるど、おばさん』

「クロ、賢いな、じゃあ、陛下を覚えろ、クロ。」

『へいか、いあん、えらい』

「オオオーーーおじさんが教えたな、さすがだな~」


そんな話しを延々してたら、暗くなって来た頃、

『はろるど、おばさん、ひとつ、たのしい』

「ん?おばさん来たんだ…クロ大丈夫?」

『おばさん、ともだち』

「ひとつ、楽しいって誰だ?」

『さいもん』

「え?サイモン?なんで、クロ分かった?」

『はろるど、こども、さいもん、おーーい』

「・・・・あ!おじさんが叫んでる?」

『おばさん、どくんどくんどくん』

「おばさん、ドクンドクンしてるの?緊張してるのか…クロ、おばさんにクロの声、聞こえるように出来る?おばさんとお話し出来たら楽しいよ。」

『おばさん、たのしい?』

「うん、サイモンも楽しいよ。」

『おばさん、さいもん、たのしい?』

「うん、おばさん、喜ぶよ、サイモンは大喜びだ。」

そして、少し離れた所で三人が止まった。


「クロ、ジュリアとサイモンを連れてきた。話し、出来るか?」

クロは、ジュリアおばさんとサイモンをじっと見ていた。

おばさんは、
「クロ、怖がらせてしまってごめんなさい。もう、絶対、あんな事しないわ!
本当にごめんなさい。」
と言い、

サイモンは、
「俺は、息子のサイモンだ。母が済まなかった。話しが出来たら嬉しい。」
と叫んだ。

クロが、

『おばさん、はろるど、だいじ、』

『さいもん、あいらしい』

と言った。

昨日、クロとおじさんは何を話したのかめちゃめちゃ気になったが、
何故サイモンが愛らしいのか分からん。


「「うわ!聞こえた!」」

「おばさーーん、サイモーーン、こっち来て大丈夫だよーー」

二人は恐る恐る近付いてきた。

「おじさん、昨日クロとどんな話ししたの?ジュリアおばさんの事、大事って言ったの?サイモンは愛らしいの?」

「ああ、ジュリアを心配しているとクロに話している時にジュリアと俺の関係を説明する時に言った。
サイモンは、幼い時は愛らしかったと言ったな。」

「やだ、ハロルド、クロに何教えてるの!」

「俺は今は愛らしくないらしい。」

「クロ、怖くないだろ?」

『おばさん、さいもん、こわない』

「良かったね、ジュリアおばさん。」

「トーマス…本当にごめんなさいね…アラン様にあんな大怪我をさせてしまって…あの時動けなくてごめんなさい…」

「良いのいいの、おばさんがここに来たって事は、母さんもリリーもジュリアおばさんには何の文句もないって事でしょ?
怒ってたら、おばさん来ないだろうから。
だから、俺は大丈夫だよ。」

「お前ら親子は、何、クロみたいに遠くにいても会話出来るの?怖いわ!」

「だってそういう事でしょ?俺は意外と出来る男だからな!」

「そうだな、確かに出来る男だ、ありがとう、トーマス。」
と頭を下げた。

「トーマス…ありがとう…」

『おばさん、かなしい?』

「違うのよ、嬉しいの、クロ」

『おばさん、うれしい?』

「うん、嬉しい。クロは大きいけど可愛いね。」

「本当に子供って感じだな。これから色々覚えていくのに、トーマスが教育係なんてダメだ。」

『とーます、ダメ?』

「そうだよ、クロ。トーマスは適当だから。」

『とーます、てきと?』

「そうだよ、「やめろよ、サイモン、クロが混乱するだろ!」」

「そうだな、ごめん、クロ。今、クロにとってはアラン様とトーマスが一番だからな。」

「そろそろ、俺は出発するから、後はサイモン、頼んだぞ。」

「ああ、分かった。気をつけて。」

「ハロルド、気をつけて。」

「クロ、またな。」

『はろるど、どこ?』

「少し遠くに行く。また、来るよ。」

『また、くる?』

「ああ、トーマスやサイモンの言うこと聞けよ!」

そう言って、おじさんは王都に帰った。
おばさんもおじさんの見送りがてら屋敷に帰るらしい。

これから、サイモンとクロとお喋りしようと思った時、

「お兄ちゃーーーん、クローーー来たよーーーー!」

と夕飯を持って、リリーと母さんが来た。










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