私の婚約者の苦手なもの 番外編

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新婚旅行編

イアン視点 男三人の朝

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ジュリアとセバスからの報告があった翌日、
マリアとリリーナが領地へと出発した。

当初はジュリアだけが戻り、ハロルドと交代する予定だった。
サイモンが、万が一、クロがジュリアを拒否したらまた怪我人が出る可能性があるから自分が行くと言い出した。
二人が揉め出したら、それなら、俺もアランを見舞いたいとカイルとリチャードが揉め出した。
俺だって行きたいのに!と思い、狡いぞとそこへ乱入したら、アイリスとシェリルに怒られた。

ロナルドは家から揉めてたみたいだけど。


アイリスがどっちも行って、とにかくハロルドと交代してこい!と締めて、
シェリルは、いい加減にしろと叱っていた。
俺は、貴方が行けるわけないでしょ!と怒られた。

なんとか出発し、ロナルドは仕事にトボトボと戻って行き、俺達三人はこれからのクロの対応をどうするか、話し合う事にした。


邪魔が入らないように、執務室ではなく少人数用の会議室で話し合っている。


「それにしてもクロって…ま、アランが付けたなら仕方ないか、アランは見た目重視だからな。」

「攫われてるのに、洒落た名前付ける余裕ないだろ。俺だったら“クロード”だな。」


「リチャード、お前も黒いからクロードなんだろうが!ダメダメだな、俺なら“リュウ”だ!」

「イアン…それ他国でのドラゴンの呼び名だろ?俺昔、本で読んだことある。」

「じゃあ、カイルは何だよ!」

「俺は“ビビ”だな。」

「「何で?」」

「目の前にいたらビビるだろ、咄嗟に出るのはそれだ!」

「ちょっとビビは可愛いな…」

「はいはい、この話は終わり、真面目にやるぞ、また怪我人出たらどうすんだ。」

「済まん、ちょっと気になった…」

「カイル、ごめん…」

「ほらほら、じゃあ、今後、クロをどう保護するかだな。」

「話しが出来るなら本人・・本竜?に聞くのが一番手っ取り早いよな。人に危害を加えないなら、自由にしていいとか。」

「言い聞かせるのは出来るだろうが、住民や国民がどう思うかだな。それにクロをどうにかしようとする奴らも出て来る、きっと。
他国もそうだ、ドラゴンなんて欲しがりそうな国はある。
それにクロはオーランドから持ち込まれた卵だ。ドラゴン使いがひょっとしたらまだいるかもしれない。
それにクロが捕まって操られたら、何するか分からんぞ。だから保護は絶対必要だ。
しかし、捕まえられない、檻になんか入れられない。

どこで保護するのかが問題だ。

どこかの山間部にでも、そうだな、
例えば今いるワソニック領だ。
あそこにはトーマスもアランもいる。
一番適してはいる。
そうすると、警備をどうするかだ。
今クロがいる場所がどこで、周りの地形がどうなってるのか知りたいな。

保護出来たとしても、警備も必要だ。
今度は人員の問題だ。
クロは人を選ぶ。
まあ、クロに面接して貰えばいいが、極力クロとの接触は少数にしたい。
だが、少数では警備が手薄になる。
悩む所だな…。
少数で警備するとしたら、どうする?」

「出入りを一箇所にするしかないだろうな。クロは飛べるから不自由はないだろうし、警備も少数で大丈夫だろう。」

「それが一番だろうな、山や森なんて何処からでも入れる。問題は出入り口以外をどうするかだな。」

「王城の周りは塀があるが、それはすぐには出来んだろ?じゃあ、水堀か?
それも、すぐとはいかんだろ?」

「ワソニック領に滝がある。水はそこから引けるが、堀を掘るのが問題だな。」

「滝があるのか…それを使えるのは大きいな。堀か…人数揃えたとして日数はどれくらいかかるか…。
地形が分からんとダメだな。地図を持って来させよう。」

「俺が持ってくる。」

と言い、リチャードが出て行った。

「カイル、俺かヘンリーを一度クロに会わせるのは可能だと思うか?」

「言い聞かせる事が出来るなら可能だと思うが、何故だ。」

「ワソニックが無理な時、他の場所は王族所有の場所しかないだろう。そこなら警備も万全だ。敷地も広い。
それに竜は長命だ。
俺達が死んでもクロは生きてる。
その時、クロはどうなる?
アランやトーマスが死んだ時、今のままでいられるか?
アランの家系なら大丈夫だとは思う。
だが、全員がアランのような奴ばかりではない。
今後の王族も皆が良いやつばかりではないだろう。
でも、クロの保護は完璧だ。
国に利用されそうな時は逃げろと言い聞かせる。
その為には今、クロと顔合わせしておく必要がある。
それに、アランばかりに負担をかけるのは違うだろ?」

「確かに…。クロもワソニックだけに留まらせておくのも可哀想だしな。
王族の所有地にも行けるなら良いかもな。
そうなると、国王の所有物扱いになる。
公式に発表しないとダメだろうな。
なんて発表する?」

「ドラゴンが新たに産まれた。安全の為に国が保護する事にした。ではダメか?」

「まあ、それは大前提として、反対はあるぞ。クロを処分しろと言う輩もいる。
それらをどう納得させる?」

「それをこれから決める。」

「リチャード、遅いな、何処まで行ったんだよ!」

「まあまあ、リチャードも久しぶりに仲間に入ったんだ、張り切ってんだよ。」

「聞こえてるぞ!折角良い物持ってきたのにお前らにはやらん!」

「あれ?酒とツマミか?お前今、朝だぞ!」

「酒は終わった後だ。腹が減ってはって言うだろ、なんか摘みながら話そう。」

「オオー気が効くな、リチャード、さすがだ!」

「今、イアンと話してた事、説明する。」

そして今話していた内容をカイルが説明した。

「なるほどな、確かにさっきの話しはアランに負担がかかり過ぎるな…。
俺達の後の事もだ。しかし、クロはそれを納得出来るのか?アランから離れないだろう?」

「行き来出来るようにしようと思う。クロだけで移動はさせられないので、誰か騎乗させる事にはなるが、それもクロに説明しなければならない。
だから、今、俺かヘンリーがクロと顔合わせしたいんだ。アランやトーマス以外にも慣れてもらう為に。いずれはルイにも会ってもらう。」

「アランがいるならまだ安心だが…。」

「まあ、現地にいたハロルドの話しを聞いてからだがな。」

「俺はルイジェルド様を最初にした方がいいと思う。」

「カイル、理由は?もし、ルイを軽く思って言ってんなら俺はカイルでも許さねえぞ!」

「軽く思う訳ねえだろうが!でも、万が一何かあった時、国王と次期国王が居なくなったらどうすんだ!殿下だって、可哀想だろうが!クロとの顔合わせは必要な事だ。だが、アランの時のような事がないとは言えないだろ。その事も考えろって言ってんだよ!」

「最後にルイに会わせても、そん時になんかあるかもしれねえだろ!
だったら順番なんて関係ねえよ、国王として、次期国王として顔合わせすんのが、筋ってもんだろうが!」

「ドラゴンに筋なんてもん、分かるか!
クロが例え賢くても、アランは怪我したんだ!」

「まあまあ、落ち着きなさいよ、ほらほら、腹減ってんだよ、食え食え。」

「「・・・・・・」」

「済まない、カイル…少し、苛々してたから当たった…。」

「なんとも思わねえよ、俺も少し苛々してた…済まない。」

「まさか、リチャードがアランの代わりになるとは思わなかった。いつも、喧嘩止めるのはアランだったから。」

「はいはい、アランいないから代わりになるから、落ち着きなさい。」

「済まない、リチャード、ありがとう。」

「カイルもね、お前は幼馴染みだしな、心配なのは分かるよ。」

「ちょっとだけ、飲むか?」

「・・・飲むか?」

「お前ら飲むなら飲むけど。」


そこからはちょっとで済むわけもなく、
結局、オスカーに見つかり怒鳴られ、ヘンリーには呆れられ、アイリスにも怒られた。



アラン抜きの三人の飲み会は盛り上がったが…

やっぱり寂しかった。












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